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66. クリフ様の作戦
しおりを挟む「え?今、何とおっしゃいましたか?」
私は突然のことに驚いていた。
「だから、レオナのお姉さん達に会ってきたんだよ。リオン…君の甥っ子は僕に懐いてくれてね、いや~可愛かったよ~」
リオンに会った?
クリフ様が?
「ちょっとお願いしたい事があって行ったんだが、リオンに会って癒されたよ~。でも、リオンって僕の幼い頃に似ているんだよね。あっ…レオナは会った事があるの?」
「…いえ、私はまだ会えていないんです。そんなに、クリフ様に似ているのですか?」
「たぶん、僕の隠し子ですって連れて来られたら信じてしまうかもしれないくらいにね」
そう言ってクリフ様は笑っている。
笑い事ではない…本当にあなたの子供なんですと今、言った方が良いのだろうか…。
そんな事をぐるぐると頭の中で考えていた。
「まあ、冗談は置いておいて…ここから、大切な話なんだ。君に関わる事でね」
「私に…ですか」
婚約を解消する方法を思い付いたのだろうか?
「実は、君のお姉さんの嫁ぎ先まで行ってお願いしたのは、レオナを公爵家の養女に出来ないかという話をしに行ったんだよ」
「私を義兄の家の養女にですか?」
どうして、隣国の公爵家まで…。
「今のままでは婚約を解消するのは、おそらく難しいと思う。そこで、この国に存在するレオンは死んだ事にして、隣国でレオナとして生きてもらえないかと思ったんだ」
死んだ事にするのは私も考えたが、それでは両親が納得しないだろう。
私が考えこんでいるのを見たクリフ様は話を続けた。
「レオナが今、考えているのは御両親が納得しないだろう…という事だよね。それも、考えている。お姉さん達に子供が2人出来たら1人はレオナの実家の跡継ぎにすると言って御両親を説得する」
「そんな簡単には両親は納得するとは思えませんが…」
自分達の事しか考えていない、あの両親は読めないのだ。
「そうかな?君の御両親は聞かざるえないと思うよ。なんせ、国を騙していたという事実がわかってしまったんだからね。こちらの出した提案を飲まなければどうなるかな…」
クリフ様の笑顔が不気味に感じます。
「脅すと言うことですか…」
「脅すなんて人聞きが悪いな。交渉するだけだよ。家を取り潰すか、養子を迎え入れるかのね」
こんな時はクリフ様の裏の顔を見ている気がする。
いつもは明るく親しみやすい王子様だが、やはり王族…こういう時の雰囲気はやはり違う。
私も今のクリフ様を見ていると上手く行くかもしれないと思えてしまう。
「大丈夫でしょうか…」
「心配いらないよ。僕に任せておいてよ」
後日、クリフ様が当家を訪れるという手紙がお父様に届いた。
上手くいくだろうか。
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