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75. 目覚めの時
しおりを挟む一目でも見たいと思っていたリオンに会う事が出来た。
会う事が叶うと次は触れたくなって、手を伸ばしたが触れる事はできなかった。
どうやら、自分の傷を治すために聖なる魔法を使ったがその為に魔力を大量に失って体力がもたなかったみたいだ。
暫く休んでいれば回復するらしい。
これは、レオンから教えてもらった。
不思議なのだが、レオンと会って以来姿は見えないが、レオンの声が聞こえるようになったのだ。
私にとっては1人ではないという気がして嬉しい。
まだ、目を開けられるくらいの回復はしていない。
だが、眠っているわけではないので意識はしっかりしている。
お姉様がリオンと私を触れさせようとしてくれているのもわかった。
私の顔に温かく小さな手が触れる。
そして、私の頬にリオンがキスをするのもわかった。
はやく、目を覚まして可愛い我が子を抱きしめたいと思っていると、リオンが私をギューといいながら抱きしめてきた。
愛しさが込み上げてくる。
なんて幸せな気持ちになるのだろうか…。
ただ、抱きしめてもらうことが、こんなにも幸せな気持ちになるなんて思ってもみなかった。
リオンはお姉様達のお陰でいい子に育っているのがわかる。
お姉様にも感謝しなければいけない。
リオンの事を忘れてしまっていた私を優しく見守り、そして私の産んだ子供…リオンを何も言わずに育ててくれていた。
両親から守る為に実家に知らせずに養子にまでしてくれていた。
私は両親には恵まれなかったけど、人には恵まれていたのね。
たくさんの助けてくれる人達がいる。
私はこの人達に恩を返さなければいけない。
早く体力を取り戻して元気な姿を見せなければ…。
私は自分の体内で何かが変わっていくのを感じていた。
『レオナ…もう大丈夫だよ。さあ、起きてリオンを思いっきり抱きしめてみたら』
レオンのからかう様な声が聞こえてきた。
『ありがとう、レオン。可愛い息子を抱きしめてみるわ』
私は可愛い我が子の名前を口にした。
「リ…オン」
私が名前を口にすると、リオンが大好きと言いながら私を抱きしめてきた。
リオン…可愛い我が子。
今、貴方を抱きしめてみせるからね。
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