お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

縁 遊

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85. ランチデートです

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「やっぱり難しい…」

あれからメイクの研究をしていますが地味と可愛いの絶妙なバランスをとるのが難しいです。

深いわ…。

「お嬢様そろそろ出ないと約束の時間に間に合いませんよ」

静さんが鏡越しに教えてくれた。

時計を見て驚きましたわ。

「え!もうこんな時間になっていましたの。急がないと…」

今日はランチを島岡さんと一緒に行く約束をしているのです。

11時30分に私の住んでいるマンションの下に車で迎えに来てくれることになっています。

それなのに、時計は11時20分を指しています。

島岡さ…いえ、賢人さんは時間に余裕をもって10分前には到着しているはずですわ。

私はバタバタと準備して慌てて下に降りた。

やっぱり賢人さんが待っています。

「すいません、お待たせしてしまって…」

私の姿を確認すると車から降りてきて助手席のドアを開けてくれた。

「ううん、僕もさっき到着した所だから気にしないで良いよ」

…と笑顔で賢人さんは言っていますが、絶対に嘘ですね…。

賢人さんの気遣いを無駄にしてはいけませんね。

「そうなんですね。良かったです」

私も笑顔で返答しました。

「今日は雰囲気がいつもと違うね」

あ、さっそく気がついてくれたのですね。嬉しい。

「少しメイクを変えたんですけど…変ですか?」

「いや、菫ちゃんはいつも可愛いよ。今日は可愛いと言うより綺麗かな」

シートベルトを締めながら最後はしっかりと私の目を見ながら言ってくれました。

賢人さん…女性に慣れすぎていませんか?

私…今絶対に顔が真っ赤になっていますよね。

あっ、ファンデーションが厚いので賢人さんには分かりにくいかしら。

「ほら、菫ちゃんもシートベルトして…」

賢人さんは先程したばかりのシートベルトをはずしました。

不思議に思っていると…。

賢人さんの言葉で動きが止まっている私に覆い被さる様にして私のシートベルトをしてくれようとしています。

いや…自分でしますよ!

賢人さん顔が近い!

…と思った瞬間に賢人さんと目が合ってしまいました。

キャー、ダメです!キャパオーバーしそうですわ!

「…菫ちゃん、そんなに見つめられると僕も照れる」

…照れている賢人さん…可愛いですわ!!

こんな賢人さんが見られて嬉しいです。

ガチャ。

お互いに顔を赤くしながらシートベルトを締めてやっと車が出発します。

車内はなんともいえない雰囲気が…。

このままで大丈夫?



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