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第509話「しかし! リオネルの強さは底が知れない。 まだまだ修行中だというから恐れ入る」
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『ムラマサ、ご苦労様。こちらこそ、ありがとう。俺、また一段、階段を上がったから』
リオネルはムラマサを労りつつ、柔らかく微笑んでいた。
『おお! リオネル様! 今の戦いで、お強くおなりになったのですか?』
『え? おいおい、ムラマサ。お前、何で、いきなり敬語に変わっているんだ?』
そんなリオネルの問いかけをスルー。
ムラマサの真摯な思いが伝わって来る。
『今まで……申し訳ございませんでしたっ! 自分は! 偉大なるサムライマスターに対し、大変失礼なふるまいを致しておりましたっ!』
『そんな事ないって。俺は魔法とスキルに助けられ、地道にコツコツやって来た18歳の小僧だし、これまでと同じ物言いで構わないよ』
『いけません! 自分は今後、絶対に! 言動を改めさせて頂きますっ!』
ムラマサの決意は固いようだ。
リオネルを主と認めた際は、「合格だ」という上から目線であったが……
自分をたずさえ、ヤマタノオロチに酷似した巨大なヒュドラを、リオネルが瞬殺した事で、強いリスペクトの気持ちが生まれたらしい。
『……分かった、ムラマサ。俺は交わした約束を守ってさえくれれば、良いよ』
リオネルがムラマサに課した事……
ムラマサを特別扱いしないし、わがままも一切受け入れない前提。
そして3つの約束を交わした。
指示に従い、約束を守る。
仲間たる精霊、妖精、魔物とは争わず、相手を尊重して礼を尽くし、力を合わせ助け合い、仲良くする。
リオネルとかかわり、絆を結んだ者を種族を問わず、守る。
『了解致しました! リオネル様! 改めて! 厳守致しますっ!』
ムラマサの畏怖と敬慕の念が強い波動となって、リオネルに伝わって来た。
主従として、心の距離は確実に縮まり、絆も結びつつある。
そうリオネルは実感した。
で、あれば、ムラマサにとって良き主でありたい!とリオネルも決意する。
『分かった! これから頼りにするぞ。宜しくな、ムラマサ』
リオネルの言葉通り、ムラマサはとても頼りになりそうだ。
ヒュドラをあっさり斬り捨てた時に分かった。
ヤマト皇国ナンバーワンの刀匠が鍛えに鍛えし魔導鋼の切れ味は凄まじい。
そして破邪の魔力を帯びた白銀色に光るムラマサの刀身は、
退魔刀、斬鬼刀の異名にふさわしいと、リオネルは思う。
『ありがたきお言葉! このムラマサ! リオネル様に付き従い! 忠実に! 精一杯お仕えさせて頂きますっ!』
『ありがとう、ムラマサ。移動する前に毒と瘴気に穢されたこの沼地を浄化するぞ』
『え? リオネル様?』
リオネルにとっては、当たり前の事でも、ムラマサにとっては驚きの連続である。
『地の管轄者ティエラ様の名のもとに! 我リオネル・ロートレックが! 大いなる加護を与えよう! 汝らに、恵みよ、あれ!』
その瞬間!
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっっっっっっっ!!!!!
リオネルの言霊に応えるよう、ヒュドラに穢された沼地全体が、
まばゆい白光に包まれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
猛毒の巨竜ヒュドラを倒したリオネルはムラマサを腰に差し、
地下143階層の探索を再開した。
リオネルの探索ペース、パターンは変わらない。
仲間達を先行させつつ、いつものようにシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
障害物があれば、ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、
木登りし樹上にての軽業など、確信を得た超人的な身体能力を行使し、
楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
ヒュドラを倒した後も、リオネルは、魔物と遭遇。
ノーマルタイプのドラゴン、両頭のレッドドラゴンであるアンフィスバエナ、
オーガの最上位種オーガキング、妖精の成れの果てと言われるトロルを倒した。
レベルアップしたばかりなので、さすがにすぐリオネルのレベルは上がらない。
一方、リオネルの戦いぶりをすぐそばで見やるムラマサは、驚愕の連続である。
まずは圧倒的なリオネルの強さ。
魔法、スキル、卓越した身体能力は、人間の域をが遥かに超えていた。
まさに魔人!!
ヤマト皇国では全く遭遇した事がない竜族、巨人族どもをリオネルは、
あっさりと屠って行くのだ。
特にリオネルが行使する失われた古代魔法には言葉を出せず、絶句した。
飛翔魔法だけではない。
瞬時に全く違う場所へ移動する転移魔法にである。
ムラマサの人間に対する限界値は、前マスターのサムライが基準である。
長き時を厳しい修行に捧げ、心身ともに鍛え研ぎすましたマスターのサムライは、
人間の能力を超えていた。
常に沈着冷静で、鬼、物の怪などものともしない強さであった。
そんなマスターとともに戦うのがムラマサの無情の喜びであった。
しかし!
リオネルの強さは底が知れない。
まだまだ修行中だというから恐れ入る。
そして、リオネルは事前に断った通り、ムラマサを贔屓して使わなかった。
魔法、スキル、他の武技、体術等をまんべんなく使い、敵を倒したのである。
……トロルを倒したリオネルは、愛用の魔導懐中時計を見る。
『おお、もう午後5時だ』
『む?』
『この地下143階層の探索を終了していないが、ほぼ予定をクリアした。今日は探索終了だな』
リオネルはそう言うと、柔らかく微笑んだのである。
リオネルはムラマサを労りつつ、柔らかく微笑んでいた。
『おお! リオネル様! 今の戦いで、お強くおなりになったのですか?』
『え? おいおい、ムラマサ。お前、何で、いきなり敬語に変わっているんだ?』
そんなリオネルの問いかけをスルー。
ムラマサの真摯な思いが伝わって来る。
『今まで……申し訳ございませんでしたっ! 自分は! 偉大なるサムライマスターに対し、大変失礼なふるまいを致しておりましたっ!』
『そんな事ないって。俺は魔法とスキルに助けられ、地道にコツコツやって来た18歳の小僧だし、これまでと同じ物言いで構わないよ』
『いけません! 自分は今後、絶対に! 言動を改めさせて頂きますっ!』
ムラマサの決意は固いようだ。
リオネルを主と認めた際は、「合格だ」という上から目線であったが……
自分をたずさえ、ヤマタノオロチに酷似した巨大なヒュドラを、リオネルが瞬殺した事で、強いリスペクトの気持ちが生まれたらしい。
『……分かった、ムラマサ。俺は交わした約束を守ってさえくれれば、良いよ』
リオネルがムラマサに課した事……
ムラマサを特別扱いしないし、わがままも一切受け入れない前提。
そして3つの約束を交わした。
指示に従い、約束を守る。
仲間たる精霊、妖精、魔物とは争わず、相手を尊重して礼を尽くし、力を合わせ助け合い、仲良くする。
リオネルとかかわり、絆を結んだ者を種族を問わず、守る。
『了解致しました! リオネル様! 改めて! 厳守致しますっ!』
ムラマサの畏怖と敬慕の念が強い波動となって、リオネルに伝わって来た。
主従として、心の距離は確実に縮まり、絆も結びつつある。
そうリオネルは実感した。
で、あれば、ムラマサにとって良き主でありたい!とリオネルも決意する。
『分かった! これから頼りにするぞ。宜しくな、ムラマサ』
リオネルの言葉通り、ムラマサはとても頼りになりそうだ。
ヒュドラをあっさり斬り捨てた時に分かった。
ヤマト皇国ナンバーワンの刀匠が鍛えに鍛えし魔導鋼の切れ味は凄まじい。
そして破邪の魔力を帯びた白銀色に光るムラマサの刀身は、
退魔刀、斬鬼刀の異名にふさわしいと、リオネルは思う。
『ありがたきお言葉! このムラマサ! リオネル様に付き従い! 忠実に! 精一杯お仕えさせて頂きますっ!』
『ありがとう、ムラマサ。移動する前に毒と瘴気に穢されたこの沼地を浄化するぞ』
『え? リオネル様?』
リオネルにとっては、当たり前の事でも、ムラマサにとっては驚きの連続である。
『地の管轄者ティエラ様の名のもとに! 我リオネル・ロートレックが! 大いなる加護を与えよう! 汝らに、恵みよ、あれ!』
その瞬間!
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっっっっっっっ!!!!!
リオネルの言霊に応えるよう、ヒュドラに穢された沼地全体が、
まばゆい白光に包まれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
猛毒の巨竜ヒュドラを倒したリオネルはムラマサを腰に差し、
地下143階層の探索を再開した。
リオネルの探索ペース、パターンは変わらない。
仲間達を先行させつつ、いつものようにシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
障害物があれば、ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、
木登りし樹上にての軽業など、確信を得た超人的な身体能力を行使し、
楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
ヒュドラを倒した後も、リオネルは、魔物と遭遇。
ノーマルタイプのドラゴン、両頭のレッドドラゴンであるアンフィスバエナ、
オーガの最上位種オーガキング、妖精の成れの果てと言われるトロルを倒した。
レベルアップしたばかりなので、さすがにすぐリオネルのレベルは上がらない。
一方、リオネルの戦いぶりをすぐそばで見やるムラマサは、驚愕の連続である。
まずは圧倒的なリオネルの強さ。
魔法、スキル、卓越した身体能力は、人間の域をが遥かに超えていた。
まさに魔人!!
ヤマト皇国では全く遭遇した事がない竜族、巨人族どもをリオネルは、
あっさりと屠って行くのだ。
特にリオネルが行使する失われた古代魔法には言葉を出せず、絶句した。
飛翔魔法だけではない。
瞬時に全く違う場所へ移動する転移魔法にである。
ムラマサの人間に対する限界値は、前マスターのサムライが基準である。
長き時を厳しい修行に捧げ、心身ともに鍛え研ぎすましたマスターのサムライは、
人間の能力を超えていた。
常に沈着冷静で、鬼、物の怪などものともしない強さであった。
そんなマスターとともに戦うのがムラマサの無情の喜びであった。
しかし!
リオネルの強さは底が知れない。
まだまだ修行中だというから恐れ入る。
そして、リオネルは事前に断った通り、ムラマサを贔屓して使わなかった。
魔法、スキル、他の武技、体術等をまんべんなく使い、敵を倒したのである。
……トロルを倒したリオネルは、愛用の魔導懐中時計を見る。
『おお、もう午後5時だ』
『む?』
『この地下143階層の探索を終了していないが、ほぼ予定をクリアした。今日は探索終了だな』
リオネルはそう言うと、柔らかく微笑んだのである。
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