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第555話「あははは、どきどきねえ。ヒルデガルド、本当に貴女はちょろいんね。リオにベタぼれの私と同じくらいに♡」
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またもまたも! 周囲の景色が一瞬にして変わり、
リオネルとヒルデガルドは、青々とした芝生の上に立っていた。
「こ、ここは!? な、中庭っ!?」
「はい、中庭へ戻りました」
「むむむ、これは何かの間違いとかではありませんね」
「はい」
「こうなると、おじいさまのお手紙の内容を信じるしかないようですわ」
仕方ないという雰囲気で、ヒルデガルドは頷いた。
「信じる? イェレミアスさんからの手紙ですか?」
「ええ、最初は全く信じられませんでした。アクィラ王国フォルミーカ迷宮の底で、私を遥かに超える人間族の魔法使いに出会ったって! 底知れないその人を連れて来るって!」
「イェレミアスさんより遥かに上? 底知れない? いや、それは大袈裟ですよ」
「ううん! 大袈裟じゃない! 失われた古代魔法たる転移魔法なんて、おじいさまも使えやしない。それも無詠唱でぱぱっと使うなんて凄すぎます!」
凄すぎます!
と言う、ヒルデガルドの目はキラキラしていた。
やはりと言うか、ヒルデガルドは自分の見たものしか信じないらしい。
苦笑したリオネルは、「自分の魔法を見せる」という作戦が正しかったと、
確信した。
「ははは、ぐだぐだ説明を受けるより、見て体験した方が早い。まさに論より証拠ですね」
「うふふ、確かに! おじいさまのお手紙を信じられなかった私も、都合3回、転移魔法を体験すれば、さすがに納得致しました」
そんな会話をしたリオネルとヒルデガルドだが、
事務官に頼んだお茶の支度はまだ途中である。
にっこり笑ったリオネルは、ヒルデガルドを誘う。
「では、ヒルデガルドさん。お茶の準備が整うまで、少し中庭を散歩しましょうか」
「はい! リオネル様! 喜んで、お供いたしますわ!」
え?
ありえない!
という感じでアールヴたちが驚き、じ~っと、ヒルデガルドを見つめていた。
そもそもヒルデガルドは、とんでもないおじいちゃんっ子だ。
しばらくぶりと言っていい、大好きで大好きでたまらない、
祖父イェレミアスとの再会である。
いつものヒルデガルドなら、イェレミアスおじいちゃんにべったりのはず。
散歩もイェレミアスとするはずだ。
それがそれが!なんとなんと!
満面の笑みをリオネルへ向け、散歩の誘いに応じたのだ。
リオネルとヒルデガルドは、緑の芝生の上を並んで歩き出す。
しばし歩いたところで、ヒルデガルドが話しかけて来る。
「リオネル様」
「はい」
「おじいさまのお手紙には、こうも書いてありました」
「どう、書いてあったのです?」
「はい、お前が最初に見るであろうリオネル様の魔法は、ほんの一部分に過ぎない。リオネル様が魔法を使うたびに、お前は、ず~っと驚く事になるだろうって」
「成る程」
「私! おじいさまがお認めになったリオネル様に、大変興味が湧いて来ました! ず~っと驚くなんて! 本当に楽しみですわっ!」
ヒルデガルドはそう言うと、リオネルへ、ぴたっと寄り添ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
10分と少し、中庭を散歩して、リオネルとヒルデガルドは戻って来た。
リオネルにぴたっと寄り添うヒルデガルドを見て、
ティエラとイェレミアスは苦笑する。
「うわ! イェレミアス! 見て見て! リオったら、ヒルデガルドにあんなに懐かれてる!」
「ははは、ティエラ様。孫娘は相当リオネル様が気に入ったようですな」
「もう! あの子、ちょろいんすぎるでしょ!」
「申し訳ございません。男子に免疫がないんでしょうなあ」
そんな会話をティエラとイェレミアスがしている中、
リオネルとヒルデガルドが、ふたりの前へ戻って来た。
「ティエラ様、イェレミアスさん、ただいま戻りました」
「戻りましたわ」
ふたりを見て、ティエラが言う。
「小娘、いえ、素直になったから、特別に名前で呼んであげる。ヒルデガルド・エテラヴオリ」
リオネルの真髄に触れたヒルデガルドは、
広範囲鎮静魔法をあっさりと行使したティエラに対しても、
畏敬の念を持ったらしい。
素直に返事をする。
「は、はい」
「という事で、お茶の前に、自己紹介するわね。私とリオの」
「はいっ! 宜しくお願い致します!」
「うふふ♡ 素直な子。ようやくリオの素晴らしさに気が付いたみたいね」
「はいっ! 気が付きました! 私、分かりました! 心の底から! リオネル様の素晴らしさが! すっごくどきどきしておりますわあ!」
「あははは、どきどきねえ。ヒルデガルド、本当に貴女はちょろいんね。リオにベタぼれの私と同じくらいに♡」
「貴女様が、この私と同じとは、こ、光栄です!」
「うふふふ♡ 私と同じで光栄って言ったわね。気に入ったわ。リオにぞっこんなら、これから少しくらいは可愛がってあげるわよ」
「は、はいっ! あ、ありがとうございます!」
「良い? よく聞いて、ヒルデガルド。私は地属性の至高たる最上位精霊ティエラ。高貴なる4界王のひとり、大地を統べる者、地界王アマイモンの娘よ」
「え!!?? えええええ!!?? ち、ち、地界王アマイモン様の!!??」
目の前に居るティエラが、相当の上位精霊だと、
認識していたヒルデガルドであったが……
とんでもなく想定外の答えを聞き、大いに驚いたのである。
リオネルとヒルデガルドは、青々とした芝生の上に立っていた。
「こ、ここは!? な、中庭っ!?」
「はい、中庭へ戻りました」
「むむむ、これは何かの間違いとかではありませんね」
「はい」
「こうなると、おじいさまのお手紙の内容を信じるしかないようですわ」
仕方ないという雰囲気で、ヒルデガルドは頷いた。
「信じる? イェレミアスさんからの手紙ですか?」
「ええ、最初は全く信じられませんでした。アクィラ王国フォルミーカ迷宮の底で、私を遥かに超える人間族の魔法使いに出会ったって! 底知れないその人を連れて来るって!」
「イェレミアスさんより遥かに上? 底知れない? いや、それは大袈裟ですよ」
「ううん! 大袈裟じゃない! 失われた古代魔法たる転移魔法なんて、おじいさまも使えやしない。それも無詠唱でぱぱっと使うなんて凄すぎます!」
凄すぎます!
と言う、ヒルデガルドの目はキラキラしていた。
やはりと言うか、ヒルデガルドは自分の見たものしか信じないらしい。
苦笑したリオネルは、「自分の魔法を見せる」という作戦が正しかったと、
確信した。
「ははは、ぐだぐだ説明を受けるより、見て体験した方が早い。まさに論より証拠ですね」
「うふふ、確かに! おじいさまのお手紙を信じられなかった私も、都合3回、転移魔法を体験すれば、さすがに納得致しました」
そんな会話をしたリオネルとヒルデガルドだが、
事務官に頼んだお茶の支度はまだ途中である。
にっこり笑ったリオネルは、ヒルデガルドを誘う。
「では、ヒルデガルドさん。お茶の準備が整うまで、少し中庭を散歩しましょうか」
「はい! リオネル様! 喜んで、お供いたしますわ!」
え?
ありえない!
という感じでアールヴたちが驚き、じ~っと、ヒルデガルドを見つめていた。
そもそもヒルデガルドは、とんでもないおじいちゃんっ子だ。
しばらくぶりと言っていい、大好きで大好きでたまらない、
祖父イェレミアスとの再会である。
いつものヒルデガルドなら、イェレミアスおじいちゃんにべったりのはず。
散歩もイェレミアスとするはずだ。
それがそれが!なんとなんと!
満面の笑みをリオネルへ向け、散歩の誘いに応じたのだ。
リオネルとヒルデガルドは、緑の芝生の上を並んで歩き出す。
しばし歩いたところで、ヒルデガルドが話しかけて来る。
「リオネル様」
「はい」
「おじいさまのお手紙には、こうも書いてありました」
「どう、書いてあったのです?」
「はい、お前が最初に見るであろうリオネル様の魔法は、ほんの一部分に過ぎない。リオネル様が魔法を使うたびに、お前は、ず~っと驚く事になるだろうって」
「成る程」
「私! おじいさまがお認めになったリオネル様に、大変興味が湧いて来ました! ず~っと驚くなんて! 本当に楽しみですわっ!」
ヒルデガルドはそう言うと、リオネルへ、ぴたっと寄り添ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
10分と少し、中庭を散歩して、リオネルとヒルデガルドは戻って来た。
リオネルにぴたっと寄り添うヒルデガルドを見て、
ティエラとイェレミアスは苦笑する。
「うわ! イェレミアス! 見て見て! リオったら、ヒルデガルドにあんなに懐かれてる!」
「ははは、ティエラ様。孫娘は相当リオネル様が気に入ったようですな」
「もう! あの子、ちょろいんすぎるでしょ!」
「申し訳ございません。男子に免疫がないんでしょうなあ」
そんな会話をティエラとイェレミアスがしている中、
リオネルとヒルデガルドが、ふたりの前へ戻って来た。
「ティエラ様、イェレミアスさん、ただいま戻りました」
「戻りましたわ」
ふたりを見て、ティエラが言う。
「小娘、いえ、素直になったから、特別に名前で呼んであげる。ヒルデガルド・エテラヴオリ」
リオネルの真髄に触れたヒルデガルドは、
広範囲鎮静魔法をあっさりと行使したティエラに対しても、
畏敬の念を持ったらしい。
素直に返事をする。
「は、はい」
「という事で、お茶の前に、自己紹介するわね。私とリオの」
「はいっ! 宜しくお願い致します!」
「うふふ♡ 素直な子。ようやくリオの素晴らしさに気が付いたみたいね」
「はいっ! 気が付きました! 私、分かりました! 心の底から! リオネル様の素晴らしさが! すっごくどきどきしておりますわあ!」
「あははは、どきどきねえ。ヒルデガルド、本当に貴女はちょろいんね。リオにベタぼれの私と同じくらいに♡」
「貴女様が、この私と同じとは、こ、光栄です!」
「うふふふ♡ 私と同じで光栄って言ったわね。気に入ったわ。リオにぞっこんなら、これから少しくらいは可愛がってあげるわよ」
「は、はいっ! あ、ありがとうございます!」
「良い? よく聞いて、ヒルデガルド。私は地属性の至高たる最上位精霊ティエラ。高貴なる4界王のひとり、大地を統べる者、地界王アマイモンの娘よ」
「え!!?? えええええ!!?? ち、ち、地界王アマイモン様の!!??」
目の前に居るティエラが、相当の上位精霊だと、
認識していたヒルデガルドであったが……
とんでもなく想定外の答えを聞き、大いに驚いたのである。
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