頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第60話「面接の申し出」

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 翌朝午前8時15分……
 ちなみに定時は8時30分、早すぎず、遅すぎず……
 シモンとエステルが決めた時間に、きっちりと、ふたりは出勤していた。

「局長、おはようございます!」

「おはよう、エステル」

「朝一番で早速ですが、ご報告申し上げます」

「お疲れ様。じゃあ、聞かせてくれるか」

「はい、王国労働局への求人票は長官の決済を終えましたので、私の方で人事部へ申請致します。問い合わせ、応募があれば、人事部から即、こちらへ連絡が入る事となっております」

「よし、そっちは連絡待ちだ」

「次に、その人事部から回って来た局員候補者リストからピックアップしたふたりに異動の意思はありという事で、早速面接の手配を致します」

「面接か……何度も受けたけど、『逆』はない。俺、試験官をやるのは生まれて初めてだな」

「うふふ、もしも局長がOKならばスケジュール調整の上、すぐに面接をセッティング致します」

「了解。俺は君にスケジュール管理を任せてある、悪いが頼む」

「かしこまりました。冒険者ギルド、商業ギルドへの訪問日も決まりました。前者が明日午前11時、後者は明後日午前11時、打合せの所要時間は各2時間ずつ、ともに先方手配で、懇親のランチを兼ねた打合せになりそうです」

「そうか。『メシ食いながら仲良くしましょう』って感じなんだな」

「はい、そうです。それに、局長」

「何だい?」

「昨日、残念ながらトラブルはありましたが、風車亭はとても素敵なお店です。料理が美味しいのは勿論、店主のアルバンさん始め、皆さん温かい方ばかりですし、またぜひ連れて行ってください……約束ですよ、局長」

 エステルは念を押して来た。
 女子の積極的なアプローチ……
 臆してしまうシモンであったが、無論異存はない。

「りょ、了解! ま、また行こうな」

「うふふ、凄く楽しみです。では……当面の案件の完遂に取り組みましょう。オークを討伐した小村の復興プラン立案と、いくつかの魔物討伐案件の精査、実行に向けてのこれまたプランニングです」

「了解。小村の復興プランに関してだが……村の概要と問題点を明確にし、それに対しての対応策と手配を考えたい」

「了解です。局長がおっしゃる通り、小村の衣食住、そして武に関して詳細にチェックし、優先順位をつけ立案するのが望ましいと考えます。私の方でデータをまとめておきます」

「OK! この小村への対処が今後の見本となるな」

「はい、おっしゃる通りです。討伐案件のデータに関しては、既にまとめてあります」」

「よし、小村のデータ作成を急いで頼む。作成してくれた魔物の討伐案件の資料には、早速目を通しておこう」

「こちらです、局長」

「ありがとう。読ませて貰う」

 シモンは、エステルから魔物討伐依頼の資料を受け取ると……
 じっくりと読みだしたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 事務作業をしていると、あっという間に12時を過ぎ、『お昼』となった。

「エステル、ひと休みだ。メシに行こうか」

「はいっ! 喜んでっ!」

 午後も事務作業が山積みである。
 今日は外食をする余裕はなかった。

 という事で……
 王国復興開拓省職員食堂でのランチである。

 食堂は職員でいっぱいだった。
 身内とはいえ、仕事の具体的な内容を話すわけにはいかない。
 シモンとエステルの話題は他愛ない事となる。

「局長は、お休みの日とか、何をしてお過ごしになっています?」

「休みかぁ……いろいろな本を読んでいるなあ。いわゆる乱読だよ」

「乱読……ですか?」

「ああ、魔導書は勿論だけど、最近は仕事柄、各地の風土記みたいなものが多いかなあ。時間がなくなって、大好きな小説を読む時間が減ったのは残念だ」

「小説? わあ! 私も本が大好きで、特に小説が大好きなんです。お気に入りの作家さんは……」

 シモンとエステルが食事をしながら、『小説ネタ』で盛り上がっていると……
ふたりの男女が近付いて来た。

 男の方がシモンへ話しかけて来る。
 茶色の短髪。
 ひと目で分かる、引き締まった身体をしていた。
 背はシモンよりやや低い。

「失礼致します。お食事中、申しわけありませんが……シモン・アーシュ局長で宜しいでしょうか」

「ああ、俺がシモンだけど……君達は」

 シモンが肯定すると、ふたりはお辞儀をして名乗る。

「はい、自分は審査部付き、バルテレミー・コンスタンです」
「私も同じ審査部付きです。イネス・アントワーヌと申します」

 イネスは金髪碧眼。
 スレンダーな美女である。
 
 多分、バルテレミーも、イネスも、シモンやエステルより年上に違いない。

 ふたりの名前にシモンとエステルは憶えがあった。
 人事部から回って来たリストでピックアップした職員のふたりである。
 農業と建築の専門家のはずだ。

「局長からお声がかかる前に、いかがなものかとは思いましたが、少しでも早くおめにかかりたかったので」
「はい、失礼な事は重々承知しております。ぜひ私達とお話をして頂きたく……何卒宜しくお願い致します」

 役所という組織でいえば、大いにルール違反かもしれない。
 しかしふたりの表情は真剣そのものである。

 シモンはふたりの前向きさ、心意気を好ましく思う。
 ちらと見れば、エステルも微笑み頷いている。

「君達、今日の午後は? 予定はどうなっている?」

「はい、上司のボードレール次官にはOKを頂いております」
「局長にご迷惑はおかけしません」

「よし、では午後1時30分に局長室へ来てくれるか? 個別にいろいろ話を聞きたいんだ」

「それは……面接だと認識して宜しいでしょうか?」
「何か、我々が用意するものはありますか?」

「ああ、面接と受け取って貰って構わない。君達が用意するのは……何か自分のスキルをアピールしたり、俺とエステルが理解出来るような資料があったら持って来てくれ。所要時間はそうだな……各自1時間ずつ、トータル2時間ほどみてほしい」

「あ、ありがとうございます! 了解しましたっ!」
「ありがとうございますっ!」

 こうして……
 局員候補、バルテレミーとイネスのふたりと……
 シモンとエステルは「面接する」事となったのである。
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