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第70話「絶対に阻止します」
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午後3時過ぎ……
シモンとエステルは、商業ギルドから戻って来た。
想定した帰庁予定時間を大幅に過ぎている……
モルガーヌ、ペリーヌの姉妹と話が弾み、盛り上がってしまったからだ。
「エステル」
「はい」
「予想以上に、たっぷり話し込んでしまったなあ」
「はい、局長。私達マスターのモルガーヌ・オリオールさんに、とても気に入られてしまいましたね」
「ああ、良かったな」
「そして、ウチの局員として彼女の妹さん、サブマスターのペリーヌさんに来て頂ける事となりました。彼女も凄く好意的でしたし、これで商業ギルドは王国復興開拓省に全面協力して頂けると思います」
「だなっ! あの様子だと、いろいろと提案して貰えるだろう。但し、丸投げではなく、こちらも気合を入れて考えないといけないな」
「はい。ペリーヌさんが居るから心強いです。それと……」
「ん?」
「局長が、モルガーヌさんからヘッドハンティングされた事も、ウチの上席3人のお耳へ入れておくべきだと」
「そうか」
「はい、後々行き違いを避ける為には、誤解を生むような話をひとり歩きさせない事が肝要です」
「分かった! エステル」
「はい」
「次官補へ本日の商業ギルドとのやりとりを報告する際、一緒に伝えておこう」
「了解しました。一旦秘書ルームへ行き、私が確認したところ、次官補は在室されております。次官補にお時間があれば、すぐご報告のアポイントを取ります。ちなみに私も同席させて頂きます」
「頼むよ」
「それとアレクサンドラ長官から明日の段取りの指示も入っておりました」
「明日って……ああ、そうか」
「はい、明日土曜日11時に、長官と局長、私エステルの3名で、アンドリュー・ラクルテル公爵邸を訪問致しますので」
「だったなあ……はあ」
「局長」
「禍を転じて福と為すと言います」
「いやあの、クラウディア様が禍って、えっと……その心は?」
「今回の件がきっかけで、ラクルテル公爵ともしも懇意になれば、冒険者ギルド、商業ギルドと並び、騎士隊及び王国軍と強力なパイプが作れますよ」
「まあ……それは確かになあ……課題のひとつ『武』に関しては、大きなアドバンテージになる」
「はい、その通りです。ええっと、明日の土曜日11時に公爵邸へ伺う約束ですけど、10時20分に王国復興開拓省ロビー1階に集合。長官のご手配された馬車に乗り、全員で一緒に行くそうです」
「成る程」
「公爵邸までの所要時間を考えれば、余裕を見て、10時30分に出発すると、約束の11時より15分は早く到着する予定です」
「分かった。明日10時20分、庁舎の1階ロビーに集合だな」
「はい、遅刻は厳禁……ですね」
エステルはそう言うと、シモンへ向かい柔らかく微笑んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
1時間後……
シモンとエステルはアポイントを取り……
次官補室にて、レナことエレン・デュノア次官補へ、本日の『成果』を報告している。
商業ギルドのギルドマスターに大層気に入れられた上、全面的な協力を約束して貰った。
当然、報告を聞いたレナの機嫌もすこぶる良い。
「シモン君、エステル君、良くやってくれた。商業ギルドが全面的に協力し、あの『小村』を上手くケア出来れば、弾みがつく、幸先が良くなる」
「はい、来週月曜日には、イネス・アントワーヌ、バルテレミー・コンスタン、ジョゼフ・オーバン、加えてペリーヌ・オリオールも含め、局員4名が出揃います。商業ギルドのプランニングと並行して、こちらでも自由討議形式で、局員全員で意見を出し合おうと思います」
「はい、いよいよ支援開発戦略局の本格的な発進です」
「うむ、求人票を出した王国労働局からもおいおい人事部経由で応募の連絡があるだろう。支援開発戦略局にもう少し人数が揃えば、円滑に業務を処理出来るようになる。それと」
何故か、レナは話を一旦止めた。
悪戯っぽく笑っている。
「それと?」
「何でしょう?」
「ふふふ、明日の土曜日、長官とともに、アンドリュー・ラクルテル公爵閣下にお会いするのだろう?」
「うっわ、ご存じでしたか」
「まあ、上手く行けばというくらいの感じですね」
「ああ、エステル君の言う通りだ。冒険者ギルドのように、すぐ出向とはいかないかもしれないが、騎士隊や王国軍と何らかのつながりは出来るかもしれん」
「心がけておきます」
「同じくです」
「まあ、アンドリュー・ラクルテル公爵は可愛い娘の恩人とはいえ、公私混同はしない方だ。大きな期待はしないほうが賢明さ」
「ですね! あ、そうだ。レナさん」
「何だ?」
「商業ギルドの話に戻りますが、遠回しとかでなく、ど直球で誘われました。役所勤めが嫌になったら商業ギルドへ来いって」
「次官補、私も聞きました。ギルドマスターが高給で局長を迎えるからと、おっしゃっていました」
シモンが「ヘッドハンティング」された話を聞いてもレナはさほど驚かない。
高らかに笑う。
「ははははは! 今のシモン君ならば、どこからでも誘われる。だが、いくら誘われても、心は動かんだろう?」
「はい、まだウチの仕事自体が始まっていませんからね。来たばかりだし、転職なんて全然考えられませんよ」
「大丈夫ですよ、次官補」
「おお、エステル君、大丈夫とは何だい?」
「局長がよそへ行くなど、私が絶対に阻止します。ギルドマスターへもはっきりそう伝えましたので!」
商業ギルドでも、ギルドマスターへ抗議したエステル。
またもきっぱりと言い切り、シモンへ向けて微笑んだのである。
シモンとエステルは、商業ギルドから戻って来た。
想定した帰庁予定時間を大幅に過ぎている……
モルガーヌ、ペリーヌの姉妹と話が弾み、盛り上がってしまったからだ。
「エステル」
「はい」
「予想以上に、たっぷり話し込んでしまったなあ」
「はい、局長。私達マスターのモルガーヌ・オリオールさんに、とても気に入られてしまいましたね」
「ああ、良かったな」
「そして、ウチの局員として彼女の妹さん、サブマスターのペリーヌさんに来て頂ける事となりました。彼女も凄く好意的でしたし、これで商業ギルドは王国復興開拓省に全面協力して頂けると思います」
「だなっ! あの様子だと、いろいろと提案して貰えるだろう。但し、丸投げではなく、こちらも気合を入れて考えないといけないな」
「はい。ペリーヌさんが居るから心強いです。それと……」
「ん?」
「局長が、モルガーヌさんからヘッドハンティングされた事も、ウチの上席3人のお耳へ入れておくべきだと」
「そうか」
「はい、後々行き違いを避ける為には、誤解を生むような話をひとり歩きさせない事が肝要です」
「分かった! エステル」
「はい」
「次官補へ本日の商業ギルドとのやりとりを報告する際、一緒に伝えておこう」
「了解しました。一旦秘書ルームへ行き、私が確認したところ、次官補は在室されております。次官補にお時間があれば、すぐご報告のアポイントを取ります。ちなみに私も同席させて頂きます」
「頼むよ」
「それとアレクサンドラ長官から明日の段取りの指示も入っておりました」
「明日って……ああ、そうか」
「はい、明日土曜日11時に、長官と局長、私エステルの3名で、アンドリュー・ラクルテル公爵邸を訪問致しますので」
「だったなあ……はあ」
「局長」
「禍を転じて福と為すと言います」
「いやあの、クラウディア様が禍って、えっと……その心は?」
「今回の件がきっかけで、ラクルテル公爵ともしも懇意になれば、冒険者ギルド、商業ギルドと並び、騎士隊及び王国軍と強力なパイプが作れますよ」
「まあ……それは確かになあ……課題のひとつ『武』に関しては、大きなアドバンテージになる」
「はい、その通りです。ええっと、明日の土曜日11時に公爵邸へ伺う約束ですけど、10時20分に王国復興開拓省ロビー1階に集合。長官のご手配された馬車に乗り、全員で一緒に行くそうです」
「成る程」
「公爵邸までの所要時間を考えれば、余裕を見て、10時30分に出発すると、約束の11時より15分は早く到着する予定です」
「分かった。明日10時20分、庁舎の1階ロビーに集合だな」
「はい、遅刻は厳禁……ですね」
エステルはそう言うと、シモンへ向かい柔らかく微笑んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
1時間後……
シモンとエステルはアポイントを取り……
次官補室にて、レナことエレン・デュノア次官補へ、本日の『成果』を報告している。
商業ギルドのギルドマスターに大層気に入れられた上、全面的な協力を約束して貰った。
当然、報告を聞いたレナの機嫌もすこぶる良い。
「シモン君、エステル君、良くやってくれた。商業ギルドが全面的に協力し、あの『小村』を上手くケア出来れば、弾みがつく、幸先が良くなる」
「はい、来週月曜日には、イネス・アントワーヌ、バルテレミー・コンスタン、ジョゼフ・オーバン、加えてペリーヌ・オリオールも含め、局員4名が出揃います。商業ギルドのプランニングと並行して、こちらでも自由討議形式で、局員全員で意見を出し合おうと思います」
「はい、いよいよ支援開発戦略局の本格的な発進です」
「うむ、求人票を出した王国労働局からもおいおい人事部経由で応募の連絡があるだろう。支援開発戦略局にもう少し人数が揃えば、円滑に業務を処理出来るようになる。それと」
何故か、レナは話を一旦止めた。
悪戯っぽく笑っている。
「それと?」
「何でしょう?」
「ふふふ、明日の土曜日、長官とともに、アンドリュー・ラクルテル公爵閣下にお会いするのだろう?」
「うっわ、ご存じでしたか」
「まあ、上手く行けばというくらいの感じですね」
「ああ、エステル君の言う通りだ。冒険者ギルドのように、すぐ出向とはいかないかもしれないが、騎士隊や王国軍と何らかのつながりは出来るかもしれん」
「心がけておきます」
「同じくです」
「まあ、アンドリュー・ラクルテル公爵は可愛い娘の恩人とはいえ、公私混同はしない方だ。大きな期待はしないほうが賢明さ」
「ですね! あ、そうだ。レナさん」
「何だ?」
「商業ギルドの話に戻りますが、遠回しとかでなく、ど直球で誘われました。役所勤めが嫌になったら商業ギルドへ来いって」
「次官補、私も聞きました。ギルドマスターが高給で局長を迎えるからと、おっしゃっていました」
シモンが「ヘッドハンティング」された話を聞いてもレナはさほど驚かない。
高らかに笑う。
「ははははは! 今のシモン君ならば、どこからでも誘われる。だが、いくら誘われても、心は動かんだろう?」
「はい、まだウチの仕事自体が始まっていませんからね。来たばかりだし、転職なんて全然考えられませんよ」
「大丈夫ですよ、次官補」
「おお、エステル君、大丈夫とは何だい?」
「局長がよそへ行くなど、私が絶対に阻止します。ギルドマスターへもはっきりそう伝えましたので!」
商業ギルドでも、ギルドマスターへ抗議したエステル。
またもきっぱりと言い切り、シモンへ向けて微笑んだのである。
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