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第30話「将軍、作戦、大成功です!」
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【大門寺トオルの告白⑮】
ヴァレンタイン王国武家の名門。
カルパンティエ公爵家の御曹司。
数多《あまた》ある王国軍部隊の要。
その王都騎士隊隊長の意外な趣味……
硬派で武骨な男が、これまでおくびにも出さなかった甘党の嗜好。
大好きなお菓子の話題で、シュザンヌさんへ話し始めたジェロームさん。
女子に対しての『ぎこちなさと口下手』がまるで嘘のように、喋りまくった。
お菓子の話だけでいえば、まるでディベートの達人である。
片や、シュザンヌさんもまんざらではなさそう。
ぎこちなかった顔付きが、徐々に笑顔となり……
遂には身を乗り出すくらい熱心に菓子の話を聞いていた。
聞き手がこうなれば、ジェロームさんの話は益々熱を帯び、口調はとても滑らかとなる。
こうして……
完全に『合コン覚醒』したジェロームさんは菓子の様々な話を振り……
頃合いを見て、途中から俺とリンちゃんが入り、
4人で展開された会話は、異様に盛り上がった。
改めて4人で、じっくりといろいろと話してみて、
更に吃驚!
まずジェロームさんは、様々なお菓子の作り方に精通していた。
それどころか、王都のありとあらゆる製菓店の情報にも詳しかった。
よくよく聞けば……
休みの日はこっそりと、ひとりで食べ歩きまでしているという。
長い付き合いである副長の俺でさえ、硬派で武骨なジェロームさんにこのような趣味があったとは全然知らなかった。
そこらへんを突っ込んだら、知り合いに出くわしても絶対にばれないよう、
バッチリ変装していたという。
普通、そこまでする?
凄いよ。
この人は立派な菓子オタク、
否!『菓子マニア』だ。
でも……
どこぞのお洒落なパティシエみたいに厨房でお菓子を作るのはともかく……
ガタイの凄く逞しい騎士が、ひと目を避け、変装までし、
こっそりとひとりで食べ歩く……というのが、少し笑える。
でも『ギャップ萌え』というか、可愛いというか……とても、微笑ましいじゃない。
俺は、今迄とはまた違う意味で、ジェロームさんを見直した。
案の定、シュザンヌさんも晴れ晴れとした笑顔となっている。
ジェロームさんへの印象が一転、「がらり!」と変わったと見た。
盛り上がる会話の中、ジェロームさんはきっぱりと言い放つ。
「この俺が保証しよう。現在この王都で1番の菓子店と言えば金糸雀だな」
「ああ、そのお店なら……聞いた事があります」
すかさず反応したのは……
やはりシュザンヌさん。
この人も、俺とリンちゃん以上に甘党だって分かった。
であれば、ジェロームさんとは相性抜群。
これは……素敵な予感がする。
つらつら考える、俺を放置し……
ジェロームさんとシュザンヌさんは、お菓子の話を重ねて行く。
「うむ! シュザンヌさんはご存知だったか? 実はまだ知る人ぞ知るという店なのだ」
「知る人ぞ知る……ですか?」
「うん、これも貴女はご存知かもしれないが、金糸雀のパティシェは、女性だけ。全員、情熱を持って仕事をしている素晴らしい女子達だ」
「素晴らしい女子達……」
「ああ、俺は働く女性を尊敬している。彼女達の作る焼き菓子は王都では味もセンスも抜群。その上、手頃な価格で飲食出来る、小さなカフェも併設しているぞ」
ほう!
成る程!
前世でも経験があるけど、こういうのはとても有益な情報だ。
ジェロームさんの話は、お菓子に対する真摯な愛情が満ちていたもの。
そんな菓子命の人が、力を入れて推薦する店である。
100%とは言わないが、それに近い確率で『当たり』ではあるはずだ。
閃いた!
俺もぜひ、リンちゃんを金糸雀へ連れて行こう。
そう思って彼女を見たら、すぐに伝わったみたいでウインクしてる。
ああ、可愛いな。
シュザンヌさんも、一気に機嫌が良くなったみたい。
笑顔のジェロームさんと、仲良く話している。
徐々に話題は変わり、お互いの仕事に関してという雰囲気。
騎士と聖女って、結構接点がある。
前にも言ったけど、クリスの知識によれば……
現代、この異世界では昔と違い、戦争は殆ど無い。
騎士の仕事の大部分は魔物討伐である。
その際、聖女は回復役として戦場に同行する。
今回のセッティングも、そのつながりから起こったものだろう。
ジェローム将軍!
作戦は大成功ですね。
しかし、この後の詰めが大事ですよ。
何かあれば、相談に乗りますからね。
心の中から呼びかけた俺がにっこりすれば、リンちゃんもにっこり。
お互いに、先輩が幸せになるのを見て、嬉しいみたい。
そんなこんなで……
まもなく、10分が経つ。
アランが次の席替えに指定した時間だ。
店の壁に掛かっている魔導時計を見たら、
丁度秒針を指すと同時に、アランがすっくと立ち上がった。
さすが赤い流星。
中央広場での集合時間には遅れたが……
このような約束の時間には超が付く正確さ。
標的のジョルジェットさんは、というと……
夢見るような顔付きで頬を紅くし、ぽ~っと、アランを見つめている。
完・全・撃・破!!!
『ひと仕事』を終えたアランは、カミーユを促して立たせると、左側に座った。
枢機卿の孫娘ステファニー殿の正面である。
やっと!
カミーユから『解放』された……
ステファニー殿はようやく席替えをして貰い、はっきりと安堵の表情が見える。
一方のカミーユは……
『ど』が付くストライクで、好みらしいステファニー殿に対し、
未練たらたら……
仕方なくといった感じで、回り込んでシュザンヌさんの前に座る。
こうして……
俺はジョルジェットさんの前、ジェロームさんはリンちゃんの前に座り、食事会は再開された。
「ええっと! こんばんわ、! ジョルジェットさん」
アランの合図で席替えをした俺は……
向かい側に座ったジョルジェットさんへ、元気に挨拶した。
ジョルジェットさんも、アランからかけられた甘い言葉の余韻が残っているのだろう。
すこぶる上機嫌である。
「こんばんわ、クリス様。うふふ、先輩達と盛り上がっていたわね。楽しそうで羨ましかったわ」
おお、そう来たか!
いつもは屈託のないアランが見せた、真剣過ぎる様子を考えると……
相手が相手だけに、慎重に受け答えしなければならない。
このような時、アランとの間に何があったのか……
ワイドショーのリポーターみたいな事を聞くのは絶対にご法度。
無難な、切り返しがベストだ。
かと言って、『嘘』だけはまずい。
なので、少し悩みどころである。
「ええ、お菓子の話で盛り上がりましたよ。全員甘党だったもので……」
「うふ、私も甘党です」
「そうなんですか?」
「ええ、大きな声だから、こちらへも聞えましたけど……ジェローム様って、お菓子にとても詳しそうですね。私も色々と聞いてみようかしら?」
おおっと!
今度は、そう来たか!
じゃあ、こういう切り返しって、どうですか?
「ジェロームさんとアランは、とっても仲が良いみたいです」
「そうなのですか?」
「はい、だから、お菓子の情報も、色々と共有しているんじゃないですかね?」
「へぇ! だったら、アランに聞いてみようかな?」
ここでジョルジェットさんの言葉を、ただ聞き流してはいけない。
彼女は様を付けず『アラン』と呼び捨てにした。
という事は……結構親しい間柄になった証拠である。
ここでは、アランのフォローだ。
それで良い。
「ジョルジェットさんの仰る通り! 何かあれば、すべてアランに聞くのが良いと思います」
そのアランは……
俺の声、いやジョルジェットさんとの会話を、ちゃんと聞いていたらしい。
大きく頷くのが、気配で分かる。
ここで、ジョルジェットさんは話題を変えて来た。
無難な仕事ネタだ。
「ねぇ? クリス様は騎士隊の副長ですって?」
「はい! まだまだ未熟者ですが、ね」
ここは俺も無難に切り返そう。
同じく仕事ネタで。
「ジョルジェットさんは、創世神様に仕える聖女様ですよね。お仕事は大変でしょう?」
さりげない切り返しだ。
しかし、このひと言が、大騒ぎの原因になるとは……
誰にも運命なんて、分からない。
……その格言通りだったのである。
ヴァレンタイン王国武家の名門。
カルパンティエ公爵家の御曹司。
数多《あまた》ある王国軍部隊の要。
その王都騎士隊隊長の意外な趣味……
硬派で武骨な男が、これまでおくびにも出さなかった甘党の嗜好。
大好きなお菓子の話題で、シュザンヌさんへ話し始めたジェロームさん。
女子に対しての『ぎこちなさと口下手』がまるで嘘のように、喋りまくった。
お菓子の話だけでいえば、まるでディベートの達人である。
片や、シュザンヌさんもまんざらではなさそう。
ぎこちなかった顔付きが、徐々に笑顔となり……
遂には身を乗り出すくらい熱心に菓子の話を聞いていた。
聞き手がこうなれば、ジェロームさんの話は益々熱を帯び、口調はとても滑らかとなる。
こうして……
完全に『合コン覚醒』したジェロームさんは菓子の様々な話を振り……
頃合いを見て、途中から俺とリンちゃんが入り、
4人で展開された会話は、異様に盛り上がった。
改めて4人で、じっくりといろいろと話してみて、
更に吃驚!
まずジェロームさんは、様々なお菓子の作り方に精通していた。
それどころか、王都のありとあらゆる製菓店の情報にも詳しかった。
よくよく聞けば……
休みの日はこっそりと、ひとりで食べ歩きまでしているという。
長い付き合いである副長の俺でさえ、硬派で武骨なジェロームさんにこのような趣味があったとは全然知らなかった。
そこらへんを突っ込んだら、知り合いに出くわしても絶対にばれないよう、
バッチリ変装していたという。
普通、そこまでする?
凄いよ。
この人は立派な菓子オタク、
否!『菓子マニア』だ。
でも……
どこぞのお洒落なパティシエみたいに厨房でお菓子を作るのはともかく……
ガタイの凄く逞しい騎士が、ひと目を避け、変装までし、
こっそりとひとりで食べ歩く……というのが、少し笑える。
でも『ギャップ萌え』というか、可愛いというか……とても、微笑ましいじゃない。
俺は、今迄とはまた違う意味で、ジェロームさんを見直した。
案の定、シュザンヌさんも晴れ晴れとした笑顔となっている。
ジェロームさんへの印象が一転、「がらり!」と変わったと見た。
盛り上がる会話の中、ジェロームさんはきっぱりと言い放つ。
「この俺が保証しよう。現在この王都で1番の菓子店と言えば金糸雀だな」
「ああ、そのお店なら……聞いた事があります」
すかさず反応したのは……
やはりシュザンヌさん。
この人も、俺とリンちゃん以上に甘党だって分かった。
であれば、ジェロームさんとは相性抜群。
これは……素敵な予感がする。
つらつら考える、俺を放置し……
ジェロームさんとシュザンヌさんは、お菓子の話を重ねて行く。
「うむ! シュザンヌさんはご存知だったか? 実はまだ知る人ぞ知るという店なのだ」
「知る人ぞ知る……ですか?」
「うん、これも貴女はご存知かもしれないが、金糸雀のパティシェは、女性だけ。全員、情熱を持って仕事をしている素晴らしい女子達だ」
「素晴らしい女子達……」
「ああ、俺は働く女性を尊敬している。彼女達の作る焼き菓子は王都では味もセンスも抜群。その上、手頃な価格で飲食出来る、小さなカフェも併設しているぞ」
ほう!
成る程!
前世でも経験があるけど、こういうのはとても有益な情報だ。
ジェロームさんの話は、お菓子に対する真摯な愛情が満ちていたもの。
そんな菓子命の人が、力を入れて推薦する店である。
100%とは言わないが、それに近い確率で『当たり』ではあるはずだ。
閃いた!
俺もぜひ、リンちゃんを金糸雀へ連れて行こう。
そう思って彼女を見たら、すぐに伝わったみたいでウインクしてる。
ああ、可愛いな。
シュザンヌさんも、一気に機嫌が良くなったみたい。
笑顔のジェロームさんと、仲良く話している。
徐々に話題は変わり、お互いの仕事に関してという雰囲気。
騎士と聖女って、結構接点がある。
前にも言ったけど、クリスの知識によれば……
現代、この異世界では昔と違い、戦争は殆ど無い。
騎士の仕事の大部分は魔物討伐である。
その際、聖女は回復役として戦場に同行する。
今回のセッティングも、そのつながりから起こったものだろう。
ジェローム将軍!
作戦は大成功ですね。
しかし、この後の詰めが大事ですよ。
何かあれば、相談に乗りますからね。
心の中から呼びかけた俺がにっこりすれば、リンちゃんもにっこり。
お互いに、先輩が幸せになるのを見て、嬉しいみたい。
そんなこんなで……
まもなく、10分が経つ。
アランが次の席替えに指定した時間だ。
店の壁に掛かっている魔導時計を見たら、
丁度秒針を指すと同時に、アランがすっくと立ち上がった。
さすが赤い流星。
中央広場での集合時間には遅れたが……
このような約束の時間には超が付く正確さ。
標的のジョルジェットさんは、というと……
夢見るような顔付きで頬を紅くし、ぽ~っと、アランを見つめている。
完・全・撃・破!!!
『ひと仕事』を終えたアランは、カミーユを促して立たせると、左側に座った。
枢機卿の孫娘ステファニー殿の正面である。
やっと!
カミーユから『解放』された……
ステファニー殿はようやく席替えをして貰い、はっきりと安堵の表情が見える。
一方のカミーユは……
『ど』が付くストライクで、好みらしいステファニー殿に対し、
未練たらたら……
仕方なくといった感じで、回り込んでシュザンヌさんの前に座る。
こうして……
俺はジョルジェットさんの前、ジェロームさんはリンちゃんの前に座り、食事会は再開された。
「ええっと! こんばんわ、! ジョルジェットさん」
アランの合図で席替えをした俺は……
向かい側に座ったジョルジェットさんへ、元気に挨拶した。
ジョルジェットさんも、アランからかけられた甘い言葉の余韻が残っているのだろう。
すこぶる上機嫌である。
「こんばんわ、クリス様。うふふ、先輩達と盛り上がっていたわね。楽しそうで羨ましかったわ」
おお、そう来たか!
いつもは屈託のないアランが見せた、真剣過ぎる様子を考えると……
相手が相手だけに、慎重に受け答えしなければならない。
このような時、アランとの間に何があったのか……
ワイドショーのリポーターみたいな事を聞くのは絶対にご法度。
無難な、切り返しがベストだ。
かと言って、『嘘』だけはまずい。
なので、少し悩みどころである。
「ええ、お菓子の話で盛り上がりましたよ。全員甘党だったもので……」
「うふ、私も甘党です」
「そうなんですか?」
「ええ、大きな声だから、こちらへも聞えましたけど……ジェローム様って、お菓子にとても詳しそうですね。私も色々と聞いてみようかしら?」
おおっと!
今度は、そう来たか!
じゃあ、こういう切り返しって、どうですか?
「ジェロームさんとアランは、とっても仲が良いみたいです」
「そうなのですか?」
「はい、だから、お菓子の情報も、色々と共有しているんじゃないですかね?」
「へぇ! だったら、アランに聞いてみようかな?」
ここでジョルジェットさんの言葉を、ただ聞き流してはいけない。
彼女は様を付けず『アラン』と呼び捨てにした。
という事は……結構親しい間柄になった証拠である。
ここでは、アランのフォローだ。
それで良い。
「ジョルジェットさんの仰る通り! 何かあれば、すべてアランに聞くのが良いと思います」
そのアランは……
俺の声、いやジョルジェットさんとの会話を、ちゃんと聞いていたらしい。
大きく頷くのが、気配で分かる。
ここで、ジョルジェットさんは話題を変えて来た。
無難な仕事ネタだ。
「ねぇ? クリス様は騎士隊の副長ですって?」
「はい! まだまだ未熟者ですが、ね」
ここは俺も無難に切り返そう。
同じく仕事ネタで。
「ジョルジェットさんは、創世神様に仕える聖女様ですよね。お仕事は大変でしょう?」
さりげない切り返しだ。
しかし、このひと言が、大騒ぎの原因になるとは……
誰にも運命なんて、分からない。
……その格言通りだったのである。
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