真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

文字の大きさ
86 / 205

第86話「滅ぼす者」

しおりを挟む
 結局……俺のアイディアは採用された。

 アモンは『使い魔』として下級悪魔のインプを召喚、先方の陣へ送った。
 軍使として、一騎打ちの旨を伝える手紙を託したのである。
 
 ちなみに手紙はアモンに書いて貰った。
 彼は旧ガルドルド魔法帝国が使用していた古代文字を知っていたから。

 果たしてどうなるか?
 
 俺は半信半疑であったが、暫くしてインプは無事帰って来た。
 注目の返事だが、何と!
 この申し入れを受けるという。
 その代わり俺達が負ければ、無条件でこの階から撤退するという条件付きだ。

 1時間後―――支度をした俺は、前に進み出る。
 嫁ズの心配そうな視線を背に受けながら。
 
 気になる相手だが、今迄俺達が戦って来た鋼鉄の巨人ソルジャーゴーレムよりひと際大きい。
 形状の全く違う巨人が、ずしずしと地響きを立てながら進み出たのである。

 使われている金属もまるで異なっていた。
 俺の前世で言えば、眩く輝くクロームシルバー仕様。
 和製英語で言えばシルバーメタルゴーレムとでも呼べば良いだろうか。
 
 アモンが「むう」と呟いた。
 表情が少し曇っている。

 何だ?
 アモンの奴、珍しく難しい顔をしているじゃあないか。

「どうしたの?」

「……トール、気をつけろよ。あの巨人《ゴーレム》は悪魔戦を想定して作られた奴等の最終兵器、滅ぼす者デストロイヤーに違いない」

「はぁ!? さ、最終兵器? 滅ぼす者デストロイヤー?」

「ああ……通常タイプの鋼鉄の巨人ソルジャーゴーレムの3倍の強度の対物理、対魔法の魔法障壁を誇る装甲は勿論、機体の自動修復装置と擬似魔法射出装置まで備えている。また奴等の唯一の弱点である関節の裏側も攻撃を殆ど受け付けないように強化されている筈だ」

 えええっ!?
 な、何それ!?
 それって……

「ガルドルド魔法帝国の技術の粋を集めて造った鋼鉄の巨人ソルジャーゴーレムの中でも最高傑作で幻の試作品だ。確かもう1体戦場に投入された時は悪魔数百体を瞬時に殺したと記憶している……こちらも俺が指揮を執って精鋭悪魔の一個大隊でやっと倒した」

「…………」

 確かに俺も邪神様の使徒で人間離れしているのは認めるけどさ。
 ちょっと凶悪過ぎるだろう、それ?

「うむ! 俺も燃えて来た。相手にとって全く不足はない! 真の男であれば燃える相手だな! はっははは!」

 あのね……俺も燃えて来たって、コノヤロ。
 お前は直接戦わないだろ、このド悪魔!
 他人事だと思いやがって!

「まあ、勝てないと思ったら両手を挙げてギブアップしろ……しかし、お前は俺を軽く凌駕した男だ。期待しているからな」

 ええと……もう良いかな?
 俺は即座に手を挙げようとしたら……押さえられた、手を!

「トール、まだ相手と戦ってもいないぞ! 頼むから、俺の期待を裏切るなよ」

 いやぁ、そんな期待に応える義務は全く無いし!
 それに俺だって一応生身の人間だし、あんな化け物とは戦うのは無理無理無理ぃ!

「ねぇ、トール……私、オリハルコン……欲しい」
 
 イザベラの縋るような視線が俺に注がれる。
 
 あれ?
 さっきと態度が違う。
 心配してたんじゃないの?

「え? お、おう……欲しいよな」

 う~……何だよぉ。
 曖昧な返事をする俺。
 そして、イザベラを見たジュリアも遠回しに……戦えと。

「トール、もし危なかったら『負け』って言って良いから」

「…………」

 ……ふ~ん。
 とりあえず全員が俺にチャレンジしろって意見ですか?
 そうですか……

「分かったよ……だけど皆、無茶言うなぁ……」

 皆の期待を背負った俺は一歩前に出て、仕方なく魔剣を構えたのであった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 俺と滅ぼす者デストロイヤーは距離をとって正対した。
 
 相手の武器はと見れば……
 刀身の長さが3m近くはあろうかという、幅広の巨大な剣だ。
 あれで一体どんな攻撃をして来るのか?
 
 そして問題は俺が相手よりどれだけ早く動けるか。
 また攻撃をある程度読み切って避けられるかである。
 
 が、ちゃり!
 がっしゅうううううう……

 俺がそう考えていると滅ぼす者デストロイヤーが起動する。

 緊張の一瞬だ!

 だだだだだだ!

 そこからワンテンポおいて滅ぼす者デストロイヤーは地響きを立てながら結構な速さで俺に迫って来た。
 おお、奴の脚の回転が速い。
 
 だが俺にとって幸いだったのが、想像していた半分くらいの速度という事。
 あと、やはりと言うか、攻撃の意思を示す魔力波オーラが立ち昇る。
 これなら相手の攻撃がある程度予測出来るというもの。

「よっと!」

 滅ぼす者デストロイヤーは巨大な剣を軽々と振り回し、俺の首を刎ねようとした。
 俺は、亀の子のように首を引っ込めてそれを躱《かわ》す。
 と、同時にさっと奴の傍から離れた。
 
 本来ならカウンター的に魔剣で一撃を加える所だが、あの硬い装甲にどこまで通じるか、分からない。
 魔剣が万が一折れたりでもしたら、目も当てられないからやめておく。

 幸い邪神様から与えられた身体は常人より遥かにスタミナがある。
 少々動いたくらいでは全くこたえない。

 しかし守ってばかりでは、相手を倒せない事も確かだ。
 普通に考えれば通常の鋼鉄の巨人ソルジャーゴーレムと同様に関節の裏側を攻めれば良い。

 相手は俺の動きに驚いたようで、すぐに守りを固めた。
 奴の中身も人間なんだよな……
 敵の力を推し量りながら勝機を待つ……さすがは滅ぼす者デストロイヤーを任されたガルドルド魔法帝国の軍人だ。
 
 さぞかし名のある有能な軍人だったのだろう。
 愛する家族だって居ただろうに……
 そう思うと俺は少し物悲しくなった。

 いかん!

 感傷に浸っている暇は無かった。
 俺はじっくりと攻める事にする。
 相手も迂闊に攻めて来ないので、暫し睨み合いが続く。

 誘いを掛けてみるか?

 剣の腕は知られていても、相手は俺がどのような魔法を使うか知らない。
 ちょっとした思い付きで、俺はイザベラの火炎の魔法の真似をする事にした。
 彼女の繰り出す業火に比べれば、ガスライターの炎を最大限強力にしたような『しょぼい炎』なのだが……フェイントになれば御の字。

 いけ~!
 猛炎よ!

 しかし俺が発した炎を見た滅ぼす者デストロイヤーは、アモンの放つ地獄の業火を思い浮かべたのであろう。
 両手をがっちり交差させて、魔法障壁まで可動させたのである。

「今だ!」

 俺は全速で滅ぼす者デストロイヤーの下に潜り込む。
 と同時に、奴の片足を掴んで、思い切り転ばした。
 いくら重い鋼鉄の巨人ソルジャーゴーレムと言っても上級悪魔に腕相撲で楽に勝てる俺の膂力《りょりょく》。

 滅ぼす者デストロイヤーは派手な音をたてて、思い切り転がり、巨大な剣を放したのだ。
 俺はすかさずその剣を両手で掴んで、思い切り遠くに投げ飛ばした。
 これで奴の攻撃手段をひとつ奪った。
 武器が無ければ、戦局はだいぶこちらに有利になる筈だから。
 
 しかしこの攻撃が相手の怒りに火を点けてしまう。
 考えてみたらみっともない。
 転がされて、武器を奪われたなんて。
 怒るのは当然だろう。

 ぶっしゅうううううう!

 滅ぼす者デストロイヤーは思いのほか素早く立ち上がり、排気口から大量の蒸気を噴射した。
 
 そして両手を広げると、さっきより全然早い速度で俺に襲い掛かって来たのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...