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第87話「死闘」
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ガルドルド魔法帝国の最終兵器滅ぼす者。
プライドを傷つけられ、今迄より数倍近い速度で襲い掛かって来た。
隠されていた『ギア』を上げたようだ。
しかし邪神様の使徒として動体視力と敏捷さに秀でた俺にはまだアドバンテージがある。
俺の『動き』からすれば、相手の攻撃を躱すのに充分に対処出来る範囲内。
しかし俺も手詰まり状態。
通常タイプの鋼鉄の巨人なら、致命的な弱点である筈の関節裏。
さっきから何度も攻めているのだが、魔法で処理がしてあるのだろう。
ほんのカスリ傷しかつけられないのだ。
そんなわけで戦局は一進一退である。
武器である大剣を奪われ、怒り狂っているらしい滅ぼす者は攻撃も防御も冷静さを欠いていた。
一見、何の変哲もない人間の俺に翻弄されるのが許せないのであろう。
ここらへんが機械ではなく、妙に人間臭さを感じて俺には少し切なくなるのだ。
いかん!
また感傷に浸ってしまった!
今の相手に、俺が最も気をつける事。
それはアモンが言っていた擬似魔法の直撃を喰らわない事。
そして身体を掴まれて自由を奪われない事である。
とんでもない移動速度を誇る俺に対して、相手は焦り始めていた。
何せ俺が「するりするり」と自分の攻撃を避け続けているのだから。
逆に俺は考えている。
いつ、どのようなタイミングにおいて擬似魔法で攻撃して来るのか?
またそれは具体的にどのようなものなのか?
威力はどこまで凄いのか?
いわゆる相手の奥の手が分からないまま、仕掛けるほど危険な事は無い。
そして遂に……その時は来た。
腹部の一部が小さく開いたかと思うと、サッカーボールくらいの火球が一度に数十発襲って来たのだ。
おおっ、これが擬似魔法か?
確かに結構な威力である。
確かにイザベラの強力な魔法やアモンの灼熱の炎には劣る。
だが結構な威力の火球がこの量で一度に撃ち出されるとは……
多分、下手な魔法使いが100人居るよりも凄いだろう。
魔力波で発射のタイミングと軌道を予測した俺は何と全ての火球を掻い潜った。
だが、奴の狙いはこの擬似魔法で俺を倒す事ではない。
火球を避けた際に出来た隙に乗じて、俺を捕らえ強力な力で圧殺しようとしていたのだ。
更に相手の動きを予測した俺は、凄まじい速度で真っすぐ伸びて捕まえようとする奴の腕をも躱した。
しかし奴もここが攻め時だと考えたようだ。
一気に勝負をつけるつもりらしい。
何と擬似魔法を続けて撃とうとしたのである。
しかし俺も、このタイミングを待っていたのだ。
何せ比較的柔らかい筈の関節裏でさえ、攻撃を受け付けない強固な装甲である。
様々な攻撃を想定した正面の分厚い装甲は、たとえ魔剣でさえ攻撃しても厳しい。
まともに斬りつけてもダメージを与える事はほぼ無理に決まっている。
俺が見るに奴等の弱点は俺が止めを刺してやった魔法水晶――いわば真理と呼ばれる心臓部であろう。
そして擬似魔法の射出孔が開かれた時、そこはほぼ無防備である事も容易に想像出来たのである。
攻撃する唯一の機会は擬似魔法の火球が放出され、閉じられる前の瞬間だけである。
今だ!
俺は自分の最大の攻撃方法を使う。
そう、自分の魔力を剣に篭めて撃ち出す大技を。
これは危険な技である。
危険というのはこの技、下手をすれば枯渇に繋がるくらい、魔力を極端に喰らう。
以前オークを倒した時は、本当に危なかった。
アモンに助けられなければ、俺はオークに確実に殺られていたであろう。
しかし今は状況が違う。
こいつを倒したら他の鋼鉄の巨人が襲って来るという事が無い。(多分)
この滅ぼす者とはタイマン、すなわち1対1の勝負をしているからだ。
だが万が一の場合もある。
俺は魔剣を振りかざし、魔力枯渇にならないように加減して擬似魔法の射出孔に必殺の魔力波の刃を撃ち込んだのである。
すると!
滅ぼす者は何故か腹を押さえ、苦しがった。
俺の打ち込んだ魔力の刃の渦は、擬似魔法の射出孔から奴へ致命傷を与えたのだろうか?
半信半疑の俺は身構えて待っていた。
すると!
俺の魔力波が結構な損傷を与えたらしく、滅ぼす者は「どう」と倒れてしまったのである。
派手な地響きを立てて。
思わず俺は喜びが込み上げる。
苦労した上、遂に強敵を倒した。
悪魔が一個大隊をもってやっと倒した強敵を、俺はたったひとりで倒したのだ。
か、勝った!
俺は勝ったぞ!
「トールの勝ちぃ~!」
「やった~!」
ジュリアとイザベラの嬉しそうな声が聞こえ、アモンの満足そうな魔力波《オーラ》が伝わって来た。
俺が「ホッ」としかけた、その瞬間。
とんでもない危険の予感、いや確信が生じた。
ぞくぞくする恐怖の原因は?
こいつ!?
俺は思わず目の前に倒れた滅ぼす者を凝視したのであった。
プライドを傷つけられ、今迄より数倍近い速度で襲い掛かって来た。
隠されていた『ギア』を上げたようだ。
しかし邪神様の使徒として動体視力と敏捷さに秀でた俺にはまだアドバンテージがある。
俺の『動き』からすれば、相手の攻撃を躱すのに充分に対処出来る範囲内。
しかし俺も手詰まり状態。
通常タイプの鋼鉄の巨人なら、致命的な弱点である筈の関節裏。
さっきから何度も攻めているのだが、魔法で処理がしてあるのだろう。
ほんのカスリ傷しかつけられないのだ。
そんなわけで戦局は一進一退である。
武器である大剣を奪われ、怒り狂っているらしい滅ぼす者は攻撃も防御も冷静さを欠いていた。
一見、何の変哲もない人間の俺に翻弄されるのが許せないのであろう。
ここらへんが機械ではなく、妙に人間臭さを感じて俺には少し切なくなるのだ。
いかん!
また感傷に浸ってしまった!
今の相手に、俺が最も気をつける事。
それはアモンが言っていた擬似魔法の直撃を喰らわない事。
そして身体を掴まれて自由を奪われない事である。
とんでもない移動速度を誇る俺に対して、相手は焦り始めていた。
何せ俺が「するりするり」と自分の攻撃を避け続けているのだから。
逆に俺は考えている。
いつ、どのようなタイミングにおいて擬似魔法で攻撃して来るのか?
またそれは具体的にどのようなものなのか?
威力はどこまで凄いのか?
いわゆる相手の奥の手が分からないまま、仕掛けるほど危険な事は無い。
そして遂に……その時は来た。
腹部の一部が小さく開いたかと思うと、サッカーボールくらいの火球が一度に数十発襲って来たのだ。
おおっ、これが擬似魔法か?
確かに結構な威力である。
確かにイザベラの強力な魔法やアモンの灼熱の炎には劣る。
だが結構な威力の火球がこの量で一度に撃ち出されるとは……
多分、下手な魔法使いが100人居るよりも凄いだろう。
魔力波で発射のタイミングと軌道を予測した俺は何と全ての火球を掻い潜った。
だが、奴の狙いはこの擬似魔法で俺を倒す事ではない。
火球を避けた際に出来た隙に乗じて、俺を捕らえ強力な力で圧殺しようとしていたのだ。
更に相手の動きを予測した俺は、凄まじい速度で真っすぐ伸びて捕まえようとする奴の腕をも躱した。
しかし奴もここが攻め時だと考えたようだ。
一気に勝負をつけるつもりらしい。
何と擬似魔法を続けて撃とうとしたのである。
しかし俺も、このタイミングを待っていたのだ。
何せ比較的柔らかい筈の関節裏でさえ、攻撃を受け付けない強固な装甲である。
様々な攻撃を想定した正面の分厚い装甲は、たとえ魔剣でさえ攻撃しても厳しい。
まともに斬りつけてもダメージを与える事はほぼ無理に決まっている。
俺が見るに奴等の弱点は俺が止めを刺してやった魔法水晶――いわば真理と呼ばれる心臓部であろう。
そして擬似魔法の射出孔が開かれた時、そこはほぼ無防備である事も容易に想像出来たのである。
攻撃する唯一の機会は擬似魔法の火球が放出され、閉じられる前の瞬間だけである。
今だ!
俺は自分の最大の攻撃方法を使う。
そう、自分の魔力を剣に篭めて撃ち出す大技を。
これは危険な技である。
危険というのはこの技、下手をすれば枯渇に繋がるくらい、魔力を極端に喰らう。
以前オークを倒した時は、本当に危なかった。
アモンに助けられなければ、俺はオークに確実に殺られていたであろう。
しかし今は状況が違う。
こいつを倒したら他の鋼鉄の巨人が襲って来るという事が無い。(多分)
この滅ぼす者とはタイマン、すなわち1対1の勝負をしているからだ。
だが万が一の場合もある。
俺は魔剣を振りかざし、魔力枯渇にならないように加減して擬似魔法の射出孔に必殺の魔力波の刃を撃ち込んだのである。
すると!
滅ぼす者は何故か腹を押さえ、苦しがった。
俺の打ち込んだ魔力の刃の渦は、擬似魔法の射出孔から奴へ致命傷を与えたのだろうか?
半信半疑の俺は身構えて待っていた。
すると!
俺の魔力波が結構な損傷を与えたらしく、滅ぼす者は「どう」と倒れてしまったのである。
派手な地響きを立てて。
思わず俺は喜びが込み上げる。
苦労した上、遂に強敵を倒した。
悪魔が一個大隊をもってやっと倒した強敵を、俺はたったひとりで倒したのだ。
か、勝った!
俺は勝ったぞ!
「トールの勝ちぃ~!」
「やった~!」
ジュリアとイザベラの嬉しそうな声が聞こえ、アモンの満足そうな魔力波《オーラ》が伝わって来た。
俺が「ホッ」としかけた、その瞬間。
とんでもない危険の予感、いや確信が生じた。
ぞくぞくする恐怖の原因は?
こいつ!?
俺は思わず目の前に倒れた滅ぼす者を凝視したのであった。
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