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第24話「魚に夢中②」
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「うわあっ」
エリンは叫ぶ。
握った竿が信じられないくらいの力で引っ張られるのだ。
「いやいやいや~っ! ダメ~ッ」
首を激しく振るエリンへ、ダンがアドバイスを送る。
「エリン、焦るな。さっき俺がやったのを見ていただろう。万が一逃がしたって構わない、じっくりと頑張ってみろ」
「うう~っ、ダン、この魚、凄いよ。凄い力でエリンを引っ張るよぉ」
「そりゃ、そうさ。魚もエリンに食べられたくない、釣りだって狩りなんだ」
「うううっ、釣りは狩りなの? あ、こ、こらっ、魚め。大人しくしろっ」
ダンに試してみるように言われ、エリンは生まれて初めて魚釣りに挑戦したのである。
言われた通り、針に餌を付けて湖へ投げ込むと、すぐに魚が食いついた。
エリンは、吃驚してしまう。
ダンは簡単にやっていたが、見るのとやるのでは大違いだったからだ。
魚が思った以上に強い力で暴れ、エリンに抵抗したのである。
「エリン、思い出せ。俺は竿を立てたり、左右に振ったりしていただろう? そうやって魚を疲れさせるんだ」
「う、うんっ! エリン、やってみるよ」
エリンは、暫く魚と『格闘』する。
そのうち、だんだんエリンの竿捌きが、スムーズになって来た。
応用力に優れたエリンは、すぐコツを掴んだらしい。
「はっ、さっ、よしっと」
エリンは魚を水面に浮かせると、徐々に岸へ引き寄せる。
「良いぞ、エリン。一気に引き上げろ」
「はいっ!」
ダンに言われ、エリンは思い切り魚を引き上げた。
褐色の魚体が踊り、鱒は岸に落ちた。
「あはっ、やった、やった! エリンが釣ったよぉ、魚」
「ああ、良くやった。エリン、偉いぞ」
「うふふ、ダン。もっともっと褒めてっ!」
褒められて嬉しそうなエリンに、ダンは微笑む。
実際、エリンの竿捌きは、初めてとは思えない見事なものであった。
「おお、褒めるぞ、初めてにしてはバッチリだ。エリンは釣りの天才だな」
「ホント? エリンは釣りの天才? えっへん!」
得意げなエリン。
頃合いだと見たダンは、魚を食べる事を打診する。
「よ~し、俺も腹が減った。二匹釣ったから俺とエリンで一匹ずつ食べよう」
「ど、どうやるの?」
「可哀そうだけど……こうさ……ありがとう! お前の命を貰うよ」
「あ!?」
エリンは、思わず声を上げた。
ダンは、ナイフで跳ねていた魚に『とどめ』を刺したのである。
「見たか、エリン。俺達はこうやって他者の命を貰い、命を支えている。感謝するんだ」
「そう……だね。……分かった、エリン、魚にありがとうって言うよ」
「ああ、偉いぞ、エリン」
どうやらエリンは、生きる為に食べる『本当の意味』が分かったようであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
まずダンは、魔法で火を起こす。
集めた小枝に炎が燃え上がった。
そして小枝を削り、一方を尖らせた。
最後に、魚を捌《さば》くのである。
「じゃあ俺が鱒を捌くから、エリンも見ていてくれ」
「了解」
ダンはそう言うと、ナイフを使って器用に魚を捌き始める。
「まずこうやって表面の鱗を取る。鱗というのは、動物や魚などの身体を守る為のものだ。俺達が食べる時には、基本的に邪魔になるからあらかじめ取っておくのさ」
「うん! 了解」
「次に尾に近いお腹から割いて行く。魚の顎の下まで割くんだ」
「ふむふむ」
「次に内臓を取り出す。ナイフでやって、取れなければ手も使う」
ダンの『処理』を見て、エリンが美しい眉を顰める。
「う、結構グロテスクだね」
「ああ、内臓はな……取り終わったら、水でお腹の中を洗う」
「うん、綺麗になった」
エリンの言う通り、魚は鱗と内臓を取られて、即焼ける状態になった。
次は……
「よっし、エリンも自分で食べる魚の処理をやってみようか?」
「え? う、うん……エリンもやらなくちゃ、ダメ?」
「ああ、やらなきゃ駄目だ。でも魚に慣れれば肉も捌けるようになる」
「あう~、で、でも頑張る! エリンは、ダンの為に頑張るよ」
宣言通り、エリンは頑張って鱒を捌いた。
「うう、やったよ。やっぱり内臓が気持ち悪かった!」
「頑張ったな、エリン。じゃあ、いよいよ焼くぞ」
「焼くの? どうやって?」
「さっき、俺が削った小枝があっただろう」
「これ?」
「ああ、そうだ。これを鱒の口から入れて刺す。尾の手前に抜けるように刺すんだ」
「うん、やった!」
エリンは言われた通りに鱒に小枝を刺して、ダンに見せた。
「よっし、OK! じゃあこれをたき火のやや外の地面に刺す。たき火も最初は煙だけだから火がしっかり回ってから焼くんだぞ」
「えっと、ダン。魚は火にかざして直接焼かないの?」
「ああ、こうしても充分焼けるから大丈夫」
ダンがこれからやろうとしているのは、『強火の遠火』という焼き方である。
火を強くし、魚を火から少し離した適度な距離で焼くと、全体に均等近い熱を与えることが出来る。
その為に、魚本来の旨味を逃がさず隅々までしっかりと火を通し、表面の焼き色など見栄えも良くなるのだ。
「う、うん……じゃあ、やってみるよ」
エリンはダンに言われた通り、半信半疑で鱒を刺し小枝を地面に突き立てた。
当然ダンも同じようにして、自分の魚をエリンの隣に突き立て、焼き始める。
やがて……
魚を焼く香ばしい匂いが、辺りに漂い始めた。
「うっわぁ、良い香り!」
「だろう?」
「は、早く! エリン、早く食べたいよう」
「ははは、ちゃんと焼けるまでちょっと待て」
魚には、寄生虫が居る事がある。
しっかり火を通して、焼かないといけないのだ。
「ううう、ダンの意地悪」
魚の焼ける匂いで、もうエリンのお腹は鳴りっ放しだ。
暫し経って、やっとダンのお許しが出た。
慌てて食べ、やけどをしないよう注意されて、エリンはそっと小枝を掴んだ。
「うふふ、食べるぞ~」
ばくっ!
エリンは、豪快に魚をかじる。
すると……
「あふあふあふ! 熱いよぉ! そして、お、美味しい~っ、すっごく美味しいよ、ダ~ン」
「ははは、良かったな、エリン」
「うんうん、エリンは魚に夢中だよ。大好き、ダンの次に大好き!」
大喜びして焼いた鱒を頬張るエリンを、ダンは優しく見守っていたのであった。
エリンは叫ぶ。
握った竿が信じられないくらいの力で引っ張られるのだ。
「いやいやいや~っ! ダメ~ッ」
首を激しく振るエリンへ、ダンがアドバイスを送る。
「エリン、焦るな。さっき俺がやったのを見ていただろう。万が一逃がしたって構わない、じっくりと頑張ってみろ」
「うう~っ、ダン、この魚、凄いよ。凄い力でエリンを引っ張るよぉ」
「そりゃ、そうさ。魚もエリンに食べられたくない、釣りだって狩りなんだ」
「うううっ、釣りは狩りなの? あ、こ、こらっ、魚め。大人しくしろっ」
ダンに試してみるように言われ、エリンは生まれて初めて魚釣りに挑戦したのである。
言われた通り、針に餌を付けて湖へ投げ込むと、すぐに魚が食いついた。
エリンは、吃驚してしまう。
ダンは簡単にやっていたが、見るのとやるのでは大違いだったからだ。
魚が思った以上に強い力で暴れ、エリンに抵抗したのである。
「エリン、思い出せ。俺は竿を立てたり、左右に振ったりしていただろう? そうやって魚を疲れさせるんだ」
「う、うんっ! エリン、やってみるよ」
エリンは、暫く魚と『格闘』する。
そのうち、だんだんエリンの竿捌きが、スムーズになって来た。
応用力に優れたエリンは、すぐコツを掴んだらしい。
「はっ、さっ、よしっと」
エリンは魚を水面に浮かせると、徐々に岸へ引き寄せる。
「良いぞ、エリン。一気に引き上げろ」
「はいっ!」
ダンに言われ、エリンは思い切り魚を引き上げた。
褐色の魚体が踊り、鱒は岸に落ちた。
「あはっ、やった、やった! エリンが釣ったよぉ、魚」
「ああ、良くやった。エリン、偉いぞ」
「うふふ、ダン。もっともっと褒めてっ!」
褒められて嬉しそうなエリンに、ダンは微笑む。
実際、エリンの竿捌きは、初めてとは思えない見事なものであった。
「おお、褒めるぞ、初めてにしてはバッチリだ。エリンは釣りの天才だな」
「ホント? エリンは釣りの天才? えっへん!」
得意げなエリン。
頃合いだと見たダンは、魚を食べる事を打診する。
「よ~し、俺も腹が減った。二匹釣ったから俺とエリンで一匹ずつ食べよう」
「ど、どうやるの?」
「可哀そうだけど……こうさ……ありがとう! お前の命を貰うよ」
「あ!?」
エリンは、思わず声を上げた。
ダンは、ナイフで跳ねていた魚に『とどめ』を刺したのである。
「見たか、エリン。俺達はこうやって他者の命を貰い、命を支えている。感謝するんだ」
「そう……だね。……分かった、エリン、魚にありがとうって言うよ」
「ああ、偉いぞ、エリン」
どうやらエリンは、生きる為に食べる『本当の意味』が分かったようであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
まずダンは、魔法で火を起こす。
集めた小枝に炎が燃え上がった。
そして小枝を削り、一方を尖らせた。
最後に、魚を捌《さば》くのである。
「じゃあ俺が鱒を捌くから、エリンも見ていてくれ」
「了解」
ダンはそう言うと、ナイフを使って器用に魚を捌き始める。
「まずこうやって表面の鱗を取る。鱗というのは、動物や魚などの身体を守る為のものだ。俺達が食べる時には、基本的に邪魔になるからあらかじめ取っておくのさ」
「うん! 了解」
「次に尾に近いお腹から割いて行く。魚の顎の下まで割くんだ」
「ふむふむ」
「次に内臓を取り出す。ナイフでやって、取れなければ手も使う」
ダンの『処理』を見て、エリンが美しい眉を顰める。
「う、結構グロテスクだね」
「ああ、内臓はな……取り終わったら、水でお腹の中を洗う」
「うん、綺麗になった」
エリンの言う通り、魚は鱗と内臓を取られて、即焼ける状態になった。
次は……
「よっし、エリンも自分で食べる魚の処理をやってみようか?」
「え? う、うん……エリンもやらなくちゃ、ダメ?」
「ああ、やらなきゃ駄目だ。でも魚に慣れれば肉も捌けるようになる」
「あう~、で、でも頑張る! エリンは、ダンの為に頑張るよ」
宣言通り、エリンは頑張って鱒を捌いた。
「うう、やったよ。やっぱり内臓が気持ち悪かった!」
「頑張ったな、エリン。じゃあ、いよいよ焼くぞ」
「焼くの? どうやって?」
「さっき、俺が削った小枝があっただろう」
「これ?」
「ああ、そうだ。これを鱒の口から入れて刺す。尾の手前に抜けるように刺すんだ」
「うん、やった!」
エリンは言われた通りに鱒に小枝を刺して、ダンに見せた。
「よっし、OK! じゃあこれをたき火のやや外の地面に刺す。たき火も最初は煙だけだから火がしっかり回ってから焼くんだぞ」
「えっと、ダン。魚は火にかざして直接焼かないの?」
「ああ、こうしても充分焼けるから大丈夫」
ダンがこれからやろうとしているのは、『強火の遠火』という焼き方である。
火を強くし、魚を火から少し離した適度な距離で焼くと、全体に均等近い熱を与えることが出来る。
その為に、魚本来の旨味を逃がさず隅々までしっかりと火を通し、表面の焼き色など見栄えも良くなるのだ。
「う、うん……じゃあ、やってみるよ」
エリンはダンに言われた通り、半信半疑で鱒を刺し小枝を地面に突き立てた。
当然ダンも同じようにして、自分の魚をエリンの隣に突き立て、焼き始める。
やがて……
魚を焼く香ばしい匂いが、辺りに漂い始めた。
「うっわぁ、良い香り!」
「だろう?」
「は、早く! エリン、早く食べたいよう」
「ははは、ちゃんと焼けるまでちょっと待て」
魚には、寄生虫が居る事がある。
しっかり火を通して、焼かないといけないのだ。
「ううう、ダンの意地悪」
魚の焼ける匂いで、もうエリンのお腹は鳴りっ放しだ。
暫し経って、やっとダンのお許しが出た。
慌てて食べ、やけどをしないよう注意されて、エリンはそっと小枝を掴んだ。
「うふふ、食べるぞ~」
ばくっ!
エリンは、豪快に魚をかじる。
すると……
「あふあふあふ! 熱いよぉ! そして、お、美味しい~っ、すっごく美味しいよ、ダ~ン」
「ははは、良かったな、エリン」
「うんうん、エリンは魚に夢中だよ。大好き、ダンの次に大好き!」
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