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第159話「モーリスの決意①」
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ゲルダへ告げた通り……
ダンはリョースアールヴの国イエーラと、アイディール王国王宮へ行き、
任された『大役』を務めあげねばならない。
デックアールヴ達が住まう新たな地上の国を創る為……
3つの種族の絆を……
古に交わした約束を、再び遂行して貰うのだ。
だが、その前に、行かねばならない場所がいくつかある。
まずはニーナの父親代わりである、居酒屋英雄亭の店主モーリス・ワイルダーに会う。
昨日、ニーナをピックアップした際、時間の関係でモーリスへはちゃんとした報告を入れてはいない。
ルネ達生存の事実も、モーリスへ伝えないよう、ニーナに口止めしている。
ヴィリヤの屋敷で、早めの朝食を済ませ、ダン達はすぐ出発した。
今回はダン、エリンとニーナだけではない。
リョースアールヴふたり……
新たに、ダンの妻となったヴィリヤ、そしてヴィリヤにずっと付いて行くと決めたゲルダも同行している。
既にモーリスにはアポイントを取ってあり、ランチの仕込みが始まる前の、午前8時に会って、話をする事となっていた。
馬車は、順調に王都の道を進み、約束の時間前に『英雄亭』に着いたのである。
出迎えてくれたモーリスは、いつものメンバーに、『エルフ』ふたりが加わっているのを見て、少し怪訝な顔をしたが……
何はともあれダン達一行を、英雄亭2階の住居部分にある自分の居間へ、迎え入れたのである。
昨日ダンは、モーリスへ、ひと言だけ伝えたのだ。
「万事が上手く行った」と。
笑顔を浮かべたダンの言葉を聞き、とりあえずモーリスは安心した。
同じく笑顔のエリンも一緒に、無事、戻って来ていたからだ。
だが、上手く助けた筈の? クラン炎のチャーリー達は、昨日も今日も同行していない。
モーリスは、再度不可解に思った。
だが、とりあえずダンの報告を聞く事にしたのである。
「さて! モーリスさん、済まなかった。昨日はいろいろ立て込んでいた」
まずダンは深く頭を下げ謝罪し、迷宮探索の『結論だけ』をごくシンプルに告げる。
「実は、ニーナの兄ルネは生きていた。チャーリー達も無事だ」
「な!?」
モーリスは絶句した。
上手く行ったというダンの言葉に、何となく予想はしていたが……
いきなり重要な情報が、前振りもなく、ど真ん中へ投げ込まれたからだ。
しかし、ダンは呆気に取られるモーリスを華麗にスルー。
一方的に、話を続けて行く。
「俺とエリン、ヴィリヤは彼等に直接会った。ニーナにも兄の様子を報告し、伝言を伝えた」
「おいおい! ダン、お前、話がストレート過ぎるぞ。ニーナには言ったのか?」
「ああ、申し訳ない、ニーナにはもう伝えた。モーリスさんには改めて、ちゃんと説明するよ」
尋ねられたダンは、にっこり笑い、続いて衝撃的な発言をする。
「聞いてくれ、モーリスさん。英雄の迷宮最下層から更に地下に、失われた民の街があった」
「はぁ!? め、迷宮の更に地下? 失われた民だとぉ?」
「ああ、その民のひとりが、今ここに居る」
「え? ここ? そんな奴、どこに居る?」
見た事もない異民族がこの部屋に、今、目の前に居る。
ダンはそう言うのだ。
思わずモーリスは、きょろきょろしたが……
部屋に居るのは、人間族にエルフ族。
失われた民などは居ない。
ここでダンは、再び尋ねて来る。
「俺が種明かしをする前に……モーリスさんに聞きたい」
「な、何だよ? ダン、一体何を聞くんだ?」
モーリスはさっきから、ずっとダンの話に巻き込まれっ放しだ。
反論しようにも、話が見えない。
防戦一方のモーリスは、ただシンプルに質問をするしかない。
そのダンは何故か、悪戯っぽく笑う。
「うん、最近……悪い事ってあったか? モーリスさんの料理の腕が落ちて、この店がヤバイ。もしかして潰れそうになっているとか?」
「んな事あるか! ニーナに聞いてないのか?」
「ほう」
人を食ったような、とぼけたダンの答え。
にやにやが止まらないにダンを見て、モーリスはますますむきになる。
「バカヤロ、ダン! ほう、じゃねぇ! 英雄亭は毎日、大忙し、大繁盛だよ。飯食いに来た客が入りきれなくて、店の外に行列が出来てらぁ!」
きっぱりと言い切ったモーリスに対し、一転ダンは真面目な表情となった。
声の口調も、全く変わってしまう。
「そうか……不幸な事は一切無しだな? モーリスさんが病気したとか?」
念を押しすぎるくらい、繰り返し聞くダン。
さっきから全く話が見えて来ないので、モーリスの気持ちも限界に達している。
「しつけ~な、一切ね~よ」
それでも我慢した、モーリスが吐き捨てるように、返事をした、その時。
「うふふ」
「ふふふ」
「うふ」
「ぷ」
いきなり室内に、女性の含み笑いが響く……
大笑いではないが、可笑しくて堪らない。
そういう雰囲気である。
ハッとしたモーリスが見れば、何と!
エリン、ヴィリヤ、ニーナ、そしてゲルダまでが「にこにこ」していた。
ダンだけではない。
その場の女子全員が、悪戯っぽく笑っていたのであった。
ダンはリョースアールヴの国イエーラと、アイディール王国王宮へ行き、
任された『大役』を務めあげねばならない。
デックアールヴ達が住まう新たな地上の国を創る為……
3つの種族の絆を……
古に交わした約束を、再び遂行して貰うのだ。
だが、その前に、行かねばならない場所がいくつかある。
まずはニーナの父親代わりである、居酒屋英雄亭の店主モーリス・ワイルダーに会う。
昨日、ニーナをピックアップした際、時間の関係でモーリスへはちゃんとした報告を入れてはいない。
ルネ達生存の事実も、モーリスへ伝えないよう、ニーナに口止めしている。
ヴィリヤの屋敷で、早めの朝食を済ませ、ダン達はすぐ出発した。
今回はダン、エリンとニーナだけではない。
リョースアールヴふたり……
新たに、ダンの妻となったヴィリヤ、そしてヴィリヤにずっと付いて行くと決めたゲルダも同行している。
既にモーリスにはアポイントを取ってあり、ランチの仕込みが始まる前の、午前8時に会って、話をする事となっていた。
馬車は、順調に王都の道を進み、約束の時間前に『英雄亭』に着いたのである。
出迎えてくれたモーリスは、いつものメンバーに、『エルフ』ふたりが加わっているのを見て、少し怪訝な顔をしたが……
何はともあれダン達一行を、英雄亭2階の住居部分にある自分の居間へ、迎え入れたのである。
昨日ダンは、モーリスへ、ひと言だけ伝えたのだ。
「万事が上手く行った」と。
笑顔を浮かべたダンの言葉を聞き、とりあえずモーリスは安心した。
同じく笑顔のエリンも一緒に、無事、戻って来ていたからだ。
だが、上手く助けた筈の? クラン炎のチャーリー達は、昨日も今日も同行していない。
モーリスは、再度不可解に思った。
だが、とりあえずダンの報告を聞く事にしたのである。
「さて! モーリスさん、済まなかった。昨日はいろいろ立て込んでいた」
まずダンは深く頭を下げ謝罪し、迷宮探索の『結論だけ』をごくシンプルに告げる。
「実は、ニーナの兄ルネは生きていた。チャーリー達も無事だ」
「な!?」
モーリスは絶句した。
上手く行ったというダンの言葉に、何となく予想はしていたが……
いきなり重要な情報が、前振りもなく、ど真ん中へ投げ込まれたからだ。
しかし、ダンは呆気に取られるモーリスを華麗にスルー。
一方的に、話を続けて行く。
「俺とエリン、ヴィリヤは彼等に直接会った。ニーナにも兄の様子を報告し、伝言を伝えた」
「おいおい! ダン、お前、話がストレート過ぎるぞ。ニーナには言ったのか?」
「ああ、申し訳ない、ニーナにはもう伝えた。モーリスさんには改めて、ちゃんと説明するよ」
尋ねられたダンは、にっこり笑い、続いて衝撃的な発言をする。
「聞いてくれ、モーリスさん。英雄の迷宮最下層から更に地下に、失われた民の街があった」
「はぁ!? め、迷宮の更に地下? 失われた民だとぉ?」
「ああ、その民のひとりが、今ここに居る」
「え? ここ? そんな奴、どこに居る?」
見た事もない異民族がこの部屋に、今、目の前に居る。
ダンはそう言うのだ。
思わずモーリスは、きょろきょろしたが……
部屋に居るのは、人間族にエルフ族。
失われた民などは居ない。
ここでダンは、再び尋ねて来る。
「俺が種明かしをする前に……モーリスさんに聞きたい」
「な、何だよ? ダン、一体何を聞くんだ?」
モーリスはさっきから、ずっとダンの話に巻き込まれっ放しだ。
反論しようにも、話が見えない。
防戦一方のモーリスは、ただシンプルに質問をするしかない。
そのダンは何故か、悪戯っぽく笑う。
「うん、最近……悪い事ってあったか? モーリスさんの料理の腕が落ちて、この店がヤバイ。もしかして潰れそうになっているとか?」
「んな事あるか! ニーナに聞いてないのか?」
「ほう」
人を食ったような、とぼけたダンの答え。
にやにやが止まらないにダンを見て、モーリスはますますむきになる。
「バカヤロ、ダン! ほう、じゃねぇ! 英雄亭は毎日、大忙し、大繁盛だよ。飯食いに来た客が入りきれなくて、店の外に行列が出来てらぁ!」
きっぱりと言い切ったモーリスに対し、一転ダンは真面目な表情となった。
声の口調も、全く変わってしまう。
「そうか……不幸な事は一切無しだな? モーリスさんが病気したとか?」
念を押しすぎるくらい、繰り返し聞くダン。
さっきから全く話が見えて来ないので、モーリスの気持ちも限界に達している。
「しつけ~な、一切ね~よ」
それでも我慢した、モーリスが吐き捨てるように、返事をした、その時。
「うふふ」
「ふふふ」
「うふ」
「ぷ」
いきなり室内に、女性の含み笑いが響く……
大笑いではないが、可笑しくて堪らない。
そういう雰囲気である。
ハッとしたモーリスが見れば、何と!
エリン、ヴィリヤ、ニーナ、そしてゲルダまでが「にこにこ」していた。
ダンだけではない。
その場の女子全員が、悪戯っぽく笑っていたのであった。
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