冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第64話「そしてフェルナンさんは、俺の進捗状況も知りたいらしい」

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本日の訓練を終え、ロッジへ戻ったローラン様と俺であったが……
既に俺たち以外の組は帰還していた。

セレスさん、クリスさんと、シャルロットさんの組。
そして、バスチアンさんとフェルナンさんの組である。

ふたつの組はそれぞれ対照的な雰囲気だった。

シャルロットさんは明るく、笑顔が絶えないのに対し、
フェルナンさんは疲れ切って、暗く、どよ~んとしている。

多分、フェルナンさんは、徹底的にしごかれたのだろう。 

でも、もう嫌だ、帰りたいとなっていないから、頑張っていると思う。

ここで、最後に帰還したローラン様と俺を見て、
ストロベリーブロンドの美しい髪をなびかせ、シャルロットさんは駆けよって来た。

「ローラン様! お疲れ様でえす!」

可愛くぺこっと、お辞儀してあいさつした後、

「ごめんなさあい! ちょっとだけ、話したいんで、エル君と一緒に、失礼しま~す。ミーティングまでには終わりま~す!」

と言い、いきなりぐいっと、俺の手をつかんで引っ張った。

ローラン様から……少し離れた場所へ移動する。

そしてシャルロットさんは、目をキラキラ輝かせて言う。

「ねえねえ! エル君、聞いて! 聞いて! 私さあ!」

おお、この物言いは、何か良い事があったんだろうか?

「ああ、ちゃんと聞くよ。話してごらん」

と言えば、シャルロットさんは、うんうんと頷く。

「うん! 私ね! 実は複数属性魔法使用者マルチプルだってさ! 火以外に、風属性も持ってるって、魔法杖を使った訓練中、クリスさんから言われたわ!」

おお! そりゃ凄い!
本当に凄い!

俺は素直に祝福する。

「シャルロット! そりゃ、凄い! おめでとう!」

「うふふふ♡ あ、ありがと!」

補足しよう。

この世界で才能の適性があり、魔法使いと認定された者は、
まず生活魔法と呼ばれる魔法を初歩魔法を習得する。

例えば、地であれば農地耕作の為の穴を掘る。
水であれば、飲み水くらい、少量の水を出す。
風であれば、洗濯物を乾かすくらいのそよ風を起こす。
火であれば、かまどに点火するくらいの種火を起こす。

そこで初めて、もっとも得意とする属性が認定され、
その後は適性な属性で修行が行われる。

個人的な差はあるが、各自必要量の修行を経て、
最終的に、魔法使いの、適性たる属性が確定する事となる。

そして一番大事な事。
世の魔法使いの80%は属性がひとつ。
まあ、一般的な魔法使いだ。

残りの20%が属性がふたつ以上。
今回、シャルロットさんが認定された、
複数属性魔法使用者マルチプルと呼ばれる魔法使いとなる。

そしてわずか5%がみっつ以上の属性の持ち主。
複数属性魔法使用者マルチプルの中でも稀に現れる更に上位の存在だ。

更に更に!
究極の存在は、全ての属性が行使可能な、
全属性魔法使用者オールラウンダーという存在。

この全属性魔法使用者オールラウンダーは、世界には数人レベル。
滅多に現れないと言われているのだ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

シャルロットさんの声は、周囲に大きく響いていたらしい。

え?
という感じで、離れた場所に居たフェルナンさんも、息を切らせるくらいに慌てて、
俺たちの方へ駆けて来た。

目を丸くして、シャルロットさんへ詰め寄り、尋ねる。

「シャ、シャルロットさん!」

「はあい、何? フェルナンさん」

「な、何じゃないよ! シャルロットさん! 君が、複数属性魔法使用者マルチプルだと言われたのは、本当かい?」

「ええ、本当よ。元々、私の素質を見抜いたのは、ローラン様らしいわ」

「うお! すっげえ! ローラン様に見込んで貰えたの」

「ええ、ローラン様のスキル、相人眼で見抜いたって! 今日、クリスさんから言われて、セレスさんも同意したの。まだ素質は眠っている状態だけど、いずれ私は、風の魔法もガンガン行使出来るって」 

成る程。

俺の素質を見抜いたように、シャルロットさんの素質も見抜いたのか。
あの『相人眼』のスキルで。

本当に凄いスキルだと思う。

一方、フェルナンさんは、心底うらやましそうだ。

がっくりして、大きなため息を吐く。 

「はあ、そうかあ……となると、複数属性魔法使用者マルチプルとなったシャルロットさんは、いずれ火と風の魔法を自由自在に行使出来るんだ。お、おめでとう……」

「ありがと! で、フェルナンさんはどうだった?」

「う、うん……バスチアンさんに剣でびしばし鍛えられた 。残念ながら、今日の模擬戦では1本も打ち込めなかったけど……ぶっ続けでやって、思いっきり疲れたよ」

やっぱり、想像通りだった。
バスチアンさん、容赦なく鍛えた感じだ。

そしてフェルナンさんは、俺の進捗状況も知りたいらしい。

「と、ところで! エ、エルヴェ君はどうだった? ローラン様から稽古して頂き、何か収穫はあったのかい?」

と、尋ねられたので、

「ええ、俺も剣の模擬戦で、めちゃくちゃガンガンやられましたけど、まぐれで何本か、入れる事が出来ましたよ」

あまり傷つけないよう、言葉を選び、俺がそう言うと、

「えええ!!?? エ、エルヴェ君が!!?? ロ、ローラン様へ!!?? な、な、何本もおお!!??」

フェルナンさんは、やはりというか、大いに驚いてしまったのである。
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