冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第143話「口調こそ淡々としているが、ローラン様は、もの凄く怒っている」

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3日後、俺たちグランシャリオは王都へ帰還。

休む間もなく、すぐに冒険者ギルドへ。

アングラ―ド侯爵邸へ報告へ行かないのは、
今回の依頼が侯爵から直接の依頼ではなく、冒険者ギルドを介したものだからだ。

その冒険者ギルドには、グランシャリオの専用室がある。

俺も本契約を結んでから、数回行ったが、ローラン様の為の執務室、
クランメンバーの為の個室、そして応接室、会議室、倉庫等が備えられている。

俺たち新人3人が加わったので、近いうちに隣の部屋を空け、
クランメンバーの為の個室を増やす予定だと聞いている。
冒険者ギルドに自分の部屋が持てるなんて、本当に楽しみだ。

さてさて!

今回の依頼の完遂報告であるが、グランシャリオの専用室の会議室で行うという。
偉そうな言い方だが、専用室まで職員を「呼びつける」形だ。

通常ならば、1階の総合受付け経由で業務部へ申請し、
迎えに来た担当職員の案内でギルドの一般会議室にて行うから、全く違う。

俺たち新人は、仮所属時代、依頼の完遂報告には立ち会った事はない。
生まれて初めて立ち会う完遂報告が、
専用会議室へ職員を「呼びつける」ものなんて、凄すぎる。

わくわくしながらクランメンバー全員が、会議室で待っていたら、
来たのは何と何と何と、冒険者ギルドの長たるギルドマスターに、
ナンバーツーのサブマスター、業務部長に、担当職員が5名の計8名という大所帯。

すっごいメンバーだな、これ。

そして、そして、そして、驚いた事に、
まずギルドマスターが深々と頭を下げ、開口一番。

「ローラン様! 依頼のご完遂、誠にお疲れ様でございました!」

するとサブマスター以下7名が、

「「「「「「「依頼のご完遂、誠にお疲れ様でございました!」」」」」」」

と一斉に言い放った。

なんつ~か、儀式っぽい。
いっつもそうなんだろうか?

俺たち新人が呆気に取られていると、ローラン様が言う。

「ありがとう! ゴブリンは全滅させたが、問題が発生しましたよ」

ローラン様の顔を見ると、ニヤニヤしている。

俺の勘働きスキルには、問題とは何か、という事と、
ローラン様が一計をめぐらせている事が伝わって来る。

まず問題だが、ズバリ!
アングラ―ド侯爵の虚偽申請である。

もう皆さんは、お分かりかもしれないが、
シュエット村へ赴いたら、依頼書の内容が、実際の状況と大きく異なっていたのだ。

ゴブリンの総数約100体……実際には500体強。

村民の犠牲者、軽傷者のみ若干名……実際には、死者20名、重軽傷者50名。

アンベール村長のサインが入った完遂報告書と、
アングラ―ド侯爵の依頼書を見せながら、ローラン様が告げた。

「あまりにも依頼書の内容が違いすぎる。害を為していたゴブリンの総数は5倍以上、そして被害者の数、状況も全く違う。いかにアングラ―ド侯爵のシュエット村統治がいい加減で、ずさんか、を証明している」

ローラン様の話を聞き、ギルドマスター以下も、うんうんと納得し頷いている。

「依頼の虚偽申請はあってはならない事だ。今回に関しても、現地の被害に対するケア、冒険者の命にかかわる安全面の問題もある。よって、アングラ―ド侯爵へは重いペナルティを課そうと思う」

依頼書の虚偽申請でアングラ―ド侯爵へ重いペナルティか!

大賛成!

犠牲になった村民の遺族は大変気の毒だったし、
依頼書の5倍の数のゴブリンなんて、もしもウチのクランでなければ、
返り討ちになっていたかもしれない。

納得する話だし、ぜひ課すべきだ。

しかし、相手はアングラ―ド侯爵、腐っても上級貴族、
どう処理をするつもりだろう。

俺は興味津々で、ローラン様の話を聞いていたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ギルドマスター以下に対し、ローラン様の話は続いている。

会話は、ローラン様とギルドマスターのやりとりだ。

「マスター、私はね、被害をこうむったシュエット村の村民たちへ、今回のゴブリンの被害に対するケア実施を、そしてアングラ―ド侯爵へ善政をするように促すと約束した。それをそのまま、侯爵へ伝えようと思う」

「賢明なご判断です」

「うむ、その前に、マスターから、アングラ―ド侯爵へ、完遂報告を伝えて欲しい」

「はい、当然ですね。冒険者ギルドが預かり、ローラン様へ仲介した依頼ですから」

「うむ、それで我々グランシャリオが受諾し、ゴブリン討伐は完遂した。だが、ご提出して頂いた依頼書の記載内容と現況が著しく異なっていた……私ローランからそのような報告を受けたと、アングラ―ド侯爵へ伝えてくれないか」

「分かりました。ギルドからの、依頼書の虚偽申請通告に対し、アングラ―ド侯爵がどのような態度を取るのか、見極めるのですね?」

「ああ、ギルドの通告を受け、アングラ―ド侯爵が殊勝な態度を取り、現況が違っていた事を素直に謝罪。その後、シュエット村へ適切な対応をするのなら、侯爵には、やり直しのチャンスを与える」

「成る程」

「だが……アングラ―ド侯爵が虚偽申請をまっこうから否定し、反省の色が全く見えず、謝罪をしなかったり指摘を無視したり、領民たるシュエット村の村民たちを思いやらない場合、徹底的に鉄槌をくだそうと思う」

徹底的に鉄槌をくだす、か。

放つ波動で分かる。

口調こそ淡々としているが、ローラン様は、もの凄く怒っている。

平民の出身という事もあるが、理不尽に弱き者を虐げる強者を許せない。
マグマのような激しい憤怒の波動を感じてしまうのだ。

しかし……徹底的に鉄槌をくだすって、
もしやアングラ―ド侯爵家を潰すまで、やるって事?

以前感じた通り、やはりローラン様には、冒険以外の『顔』がある。

俺はつらつら考えながら、やりとりを聞いていたのである。
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