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第169話「でも、勘働きスキルで分かる。 ローラン様の話はまだ終わらないと」
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アングラ―ド侯爵家は、スフェール王国譜代の貴族、
建国以来続く、旧い家柄だという。
歴代には傑出した人物も大勢居て、王国に多大な貢献をしたと伝えられる。
しかし、ウジューヌの父である現当主は、聞けば極めて凡庸であり、
そんなに重い役職にはついておらず、言葉は悪いが、誰でもこなせる仕事を、
漠然とこなしていたという。
「子供は親の鏡だ」と言われる。
まあ、そのことわざが、絶対に正しい!とは断言出来ないけど。
子供がどんなに屑でも、立派な親は居るから。
だが、今回の場合、ストーカー化して、
嫌がるオレリアさんに散々しつこくつきまとい、
ローラン様へ対しては、生意気かつ傲岸不遜といえる態度をとった息子ウジューヌを放置していたのだから、アングラ―ド侯爵の器量も推して知るべし。
王国譜代の超上級貴族家当主としては、どう考えても分不相応であるといえよう。
しかし、そうは言っても、このレベルのやらかしで、
「徹底的に叩き潰す」のは疑問が残る。
個人的にはそう思う。
何せ、これでもか!これでもか!というぐらいの処罰をローラン様は行ったから。
侯爵から男爵への降格。
領地を召し上げられ、僻地へ転封、王都からも追放。
降格と転封、王都追放を逆恨みし、馬鹿な行為に走らせないよう、
関係者に公務以外での接近は一切禁止。
違反した場合、莫大な罰金を発生させ、
また悪事を画策し、害を及ぼそうとしたら、厳しく処罰される。
しまいには、もしも転封先で、善政を行わない場合、
アングラ―ド家は爵位召し上げの上、取り潰しとなる!のだ。
どう考えても、他に何か理由がある。
ゴブリン討伐を引き受けたシュエット村に対する悪政はそのひとつだろう。
あの討伐も、単に害為すゴブリンを倒すというより、
シュエット村の現地調査という趣きがあった。
それ以外にも、俺たちがあずかり知らぬ、
アングラ―ド侯爵家のやらかしが、たくさんあるに違いない。
推測だが、ローラン様はそのやらかしの数々を徹底的に調べ上げ、
王国――国王陛下と宰相へ報告し、意見も問われた上で、今回の処罰を決定した。
つまり先に述べた通り、ローラン様が貴族たちの監督査察などを担当する、
『監察官である』とすれば、辻褄が合うのである。
結論!
フェルナンさんの件は、アングラ―ド侯爵家処罰に伴うきっかけにすぎない。
もしくは、ついで?で対応したのだろう。
まあ、きっかけとか、ついででも、
ローラン様が好意的に、フェルナンさんの為に尽力してくれた事に間違いはない。
俺たちは、クランリーダーのローラン様を信じ、ついて行く事が基本スタンス。
但し、考える事を放棄せず、行動とロジックをすり合わせる事は必要。
今回はほぼ納得出来るし、万が一、そうでなければ、疑問が生じれば、
よ~く言葉を選んだ上で、問題提起すればOK。
それもローラン様直接ではなくても良いと思う。
その先は……改めて考えれば良い。
自問自答した俺は、小さく頷いていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……つらつらと考える俺だが、ローラン様の話は続いている。
「念の為、補足すると、息子ウジューヌも父アングラ―ド侯爵とともに王都を追放、条項も父親と同じ内容が適用される。そしてフェルナンとオレリア殿の婚約、結婚は決定した。後の詳細はフェルナンが、お父上、そしてブラントーム伯爵ともろもろ相談の上、進めれば良かろう」
ローラン様の話を聞き、真剣な表情のフェルナンさん。
すっくと立ち、深々と頭を下げる。
「ローラン様、そして皆さん、今回は私の為にご尽力頂き、本当にありがとうございました!」
フェルナンさんのお礼の言葉と仕草を見て、ローラン様は満足そうに頷く。
「うむ! ちなみに今回の決定は、国王陛下がお出しになった最終決定で、宰相閣下からアングラ―ド侯爵家へ通告された。私は侯爵へ、ゴブリン討伐の結果報告をしたのみだ……以上!」
そうローラン様は言った。
以上!という事は、この件はこれで終わり。
でも、勘働きスキルで分かる。
ローラン様の話はまだ終わらないと。
「では諸君、次の話に移ろう。新たに受ける依頼の件だ」
新たに受ける依頼の件。
きっぱり言い切ったローラン様は、
「これも念の為に言っておく。先に完遂したシュエット村のゴブリン討伐とは、全くレベルが違う。特に新人たちは、より一層の気合を持ち、臨んで欲しい」
柔らかな笑みを浮かべながらも、鋭い視線を投げかけたのである。
建国以来続く、旧い家柄だという。
歴代には傑出した人物も大勢居て、王国に多大な貢献をしたと伝えられる。
しかし、ウジューヌの父である現当主は、聞けば極めて凡庸であり、
そんなに重い役職にはついておらず、言葉は悪いが、誰でもこなせる仕事を、
漠然とこなしていたという。
「子供は親の鏡だ」と言われる。
まあ、そのことわざが、絶対に正しい!とは断言出来ないけど。
子供がどんなに屑でも、立派な親は居るから。
だが、今回の場合、ストーカー化して、
嫌がるオレリアさんに散々しつこくつきまとい、
ローラン様へ対しては、生意気かつ傲岸不遜といえる態度をとった息子ウジューヌを放置していたのだから、アングラ―ド侯爵の器量も推して知るべし。
王国譜代の超上級貴族家当主としては、どう考えても分不相応であるといえよう。
しかし、そうは言っても、このレベルのやらかしで、
「徹底的に叩き潰す」のは疑問が残る。
個人的にはそう思う。
何せ、これでもか!これでもか!というぐらいの処罰をローラン様は行ったから。
侯爵から男爵への降格。
領地を召し上げられ、僻地へ転封、王都からも追放。
降格と転封、王都追放を逆恨みし、馬鹿な行為に走らせないよう、
関係者に公務以外での接近は一切禁止。
違反した場合、莫大な罰金を発生させ、
また悪事を画策し、害を及ぼそうとしたら、厳しく処罰される。
しまいには、もしも転封先で、善政を行わない場合、
アングラ―ド家は爵位召し上げの上、取り潰しとなる!のだ。
どう考えても、他に何か理由がある。
ゴブリン討伐を引き受けたシュエット村に対する悪政はそのひとつだろう。
あの討伐も、単に害為すゴブリンを倒すというより、
シュエット村の現地調査という趣きがあった。
それ以外にも、俺たちがあずかり知らぬ、
アングラ―ド侯爵家のやらかしが、たくさんあるに違いない。
推測だが、ローラン様はそのやらかしの数々を徹底的に調べ上げ、
王国――国王陛下と宰相へ報告し、意見も問われた上で、今回の処罰を決定した。
つまり先に述べた通り、ローラン様が貴族たちの監督査察などを担当する、
『監察官である』とすれば、辻褄が合うのである。
結論!
フェルナンさんの件は、アングラ―ド侯爵家処罰に伴うきっかけにすぎない。
もしくは、ついで?で対応したのだろう。
まあ、きっかけとか、ついででも、
ローラン様が好意的に、フェルナンさんの為に尽力してくれた事に間違いはない。
俺たちは、クランリーダーのローラン様を信じ、ついて行く事が基本スタンス。
但し、考える事を放棄せず、行動とロジックをすり合わせる事は必要。
今回はほぼ納得出来るし、万が一、そうでなければ、疑問が生じれば、
よ~く言葉を選んだ上で、問題提起すればOK。
それもローラン様直接ではなくても良いと思う。
その先は……改めて考えれば良い。
自問自答した俺は、小さく頷いていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……つらつらと考える俺だが、ローラン様の話は続いている。
「念の為、補足すると、息子ウジューヌも父アングラ―ド侯爵とともに王都を追放、条項も父親と同じ内容が適用される。そしてフェルナンとオレリア殿の婚約、結婚は決定した。後の詳細はフェルナンが、お父上、そしてブラントーム伯爵ともろもろ相談の上、進めれば良かろう」
ローラン様の話を聞き、真剣な表情のフェルナンさん。
すっくと立ち、深々と頭を下げる。
「ローラン様、そして皆さん、今回は私の為にご尽力頂き、本当にありがとうございました!」
フェルナンさんのお礼の言葉と仕草を見て、ローラン様は満足そうに頷く。
「うむ! ちなみに今回の決定は、国王陛下がお出しになった最終決定で、宰相閣下からアングラ―ド侯爵家へ通告された。私は侯爵へ、ゴブリン討伐の結果報告をしたのみだ……以上!」
そうローラン様は言った。
以上!という事は、この件はこれで終わり。
でも、勘働きスキルで分かる。
ローラン様の話はまだ終わらないと。
「では諸君、次の話に移ろう。新たに受ける依頼の件だ」
新たに受ける依頼の件。
きっぱり言い切ったローラン様は、
「これも念の為に言っておく。先に完遂したシュエット村のゴブリン討伐とは、全くレベルが違う。特に新人たちは、より一層の気合を持ち、臨んで欲しい」
柔らかな笑みを浮かべながらも、鋭い視線を投げかけたのである。
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