転生したオトギ魔法少女は死んでも願いを叶えたい

聖せろり

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Magic1 ようこそマジカルキングダムへ!

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その丸っこく肩に乗りそうなサイズの狐のような犬のような白い小動物はこう言った。
「おめでとう! この魔法が溢れる夢の国、マジカルキングダムに転生した君達は見事、魔法少女となる資格を得ました!」
何も知らない集められた多勢の変わった服装の少女達が戸惑い混乱し、
「おうちに帰りたい!」と泣き出す子もいる中、13歳の双子の姉妹は気味が悪い程冷静だった。
「私、怖い」
不思議の国のアリスを彷彿とさせるエプロンドレス風の白めの洋服を着た妹が、本当に怖いのかと疑ってしまう程無表情にそう言った。
そんな妹の手を妹と同じデザインの服だが色違いの黒の服を着た姉が、妹の左手をギュッと握りしめる。
「大丈夫。何があっても君は絶対、僕が守るから」
よく映画とかアニメとかで嫌という程開いてきたこの臭い台詞を、まさか自分の大好きな妹に言う時が来ようとは思っていなかった。
白い小動物は楽しそうに続ける。
「僕の名前は、エトワール! 気軽にエルって呼んでね! さて、ここに集まった新たな魔法少女のみんな! みんなは自分の最期の瞬間をちゃーんと覚えているよね?」 
エルのその言葉を聞いた少女達の多くは、困惑から絶望の表情に変わった。
一部の少女達を除いて。
何故なら彼女達は鮮明に覚えていたからだ。
自分達がどんな風に最期を迎え、どんな未練を残して死んでいったかという事を。
それは、双子の姉妹も同じだった。
2人は別々の場所で、違う時に、違った未練を残しながら死んでいった。
だが、こうして再び新たな別の世界で2人は生を受けた。
姉は彼女さえいればそれで良かった。
他に何もいらなかった。
だからこそ、今のこの状況は満足と言えるものではなかった。

何の非も無い彼女がどうして死ななければならなかったのか?

姉はどうしてもその事実が許せなかった。
彼女を死に追いやった人間を殺してやりたかった。
妹はそんな姉の心情を何となく察しているようだった。
心配してか悲しんでか無表情な為どちらの感情からかは分からないが、妹はギュッと姉の手を握り返した。
「君達はみんな前の世界、二ホンという国で強い願いを持ちながら死んでいったんだよ! だからマジカルキングダムの心優しいとある魔女が、可哀想な君達にもう一度チャンスを当たえる事にしてくれたよ! 良い人だよね~僕のご主人様なんだ!」
少女達の状況を知ってか知らずかエルは気にせず、えへん! と自慢気に語った。
「はれて魔法少女となった君達に僕から最初のプレゼント~!」
ポンッという音と真っ白な煙と共に少女達それぞれの目の前に現れたのはキラキラとピンク色に輝くハート型のコンパクトだった。
エル曰く、これは「プリティーパレット」という名前だそうだ。
真ん中に大きなハート型のピンクの宝石が埋まっており、側面には押したらコンパクトが開きそうなボタンが備わっていた。
姉がポチっとボタンを押すと、想像通りプリティーパレットが開いた。
中には、クローバーのように並ぶ4つのハート型のボタンと筆のようなものが付属していた。
姉は絵を描く筆にしては短いと言うと、妹は
「それ多分、アイシャドウのブラシだよ。まぶたに塗るやつ」と訂正したので姉は赤面し
「知ってるし!」と何故かツンデレっぽい台詞で返した。
双子がこんなやり取りをしている間にも、エルはプリティーパレットの使い方の説明を続けた。
とりあえず双子達は言われた通り、上のハートのボタンを押した。
するとパァーと一瞬パレットが白い光に包まれ、光が消えたかと思うとパレットの中から不思議な事に、何か文字が映像のように飛び出していた。
その文字は魔法少女全員違っていた。
「サンドリヨン」という名前の少女もいれば、「ブラッディ・レディ」という不気味な名前の少女もいた。
双子も勿論、それぞれ違っていた。
姉のパレットには「セーレムアリス」、妹は「アリスアンジュ」という文字が浮かび上がっていた。
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