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第51話 前編:砂塵の神殿と魔獣の咆哮

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サンドリア大陸へ向かう荒野を進むタクミ一行は、影脈会の分裂(第50話)から新たな仲間を得ていた。砂塵が風に舞い、乾いた土と熱の匂いが鼻を刺す。馬車の荷台で、熔鉄団の10人と共に座る影脈会の5人が自己紹介を始める。リーダー格の男、ガレンが立ち上がり、タクミに頭を下げる。
「俺はガレン、影脈会の元斥候だ。異邦人、俺たちを仲間に加えてくれて感謝する。戦闘は剣と短距離魔術が得意だ。」
隣の瘦せた男、ザインがフードを下ろし、低く言う。
「俺はザイン、暗殺者だ。短剣と毒が武器。貴族の喉を掻き切るなら俺がやる。」
若い女魔導士、ミラが杖を手に、緊張気味に続ける。
「私はミラ、回復と補助魔法が専門です。レオンを…救えなかったのが悔しい…。」
残りの双子、カイルとダインが揃って槍を掲げる。
「俺はカイル」「俺はダイン」「貴族をぶっ刺すのが俺たちの役目だ!」
タクミが彼らを見渡し、熔嵐合金の装甲が砂に映える中、頷く。
「ストームライダーの男、タクミだ。お前らの力、貴族を潰すのに使うぜ。情報も頼む。」  

ガレンが砂塵の向こうを指さし、冷静に言う。
「ダストホロウへ向かう途中、『砂塵の神殿』がある。古代の宝が眠ってると噂だ。貴族が封印した魔脈技術や魔法書があるかもしれない。」
バルドがガレンを鋭く睨む。雷が双剣に走り、砂を焦がす。
「その情報、信用できるのか? 影脈会の残党が貴族の罠を仕掛けてねえとは限らねえ。レオンの死だって、お前らが絡んでた可能性だってあるだろ。」
ガレンがバルドを見つめ返し、目を逸らさず言う。
「疑うのは当然だ。だが、レオンが貴ストームライダーの男を信じたように、俺も信じる。神殿は俺が斥候として確認した場所だ。罠なら俺の命で償う。」  

ガレンが一歩進み出て、砂塵の中へ剣を突き立てる。刃が砂を切り裂く音が響き、彼が吼える。
「俺が証明する! この剣を置いて、神殿への道を先導する。罠なら俺が最初に死ぬ。それで疑いは晴れるだろ?」
ザインが短剣を手に、ガレンの隣に立つ。
「俺も行く。貴族の罠なら、俺の毒で仕返ししてやる。」
ミラが杖を握り、震える声で言う。
「私も…レオンのために、神殿が本物だと証明したい。」
カイルとダインが槍を構え、揃って叫ぶ。
「俺たちが道を開く!」「貴族の罠ならぶっ刺す!」
影脈会の5人が砂塵の中へ進み、タクミたちの前で道を切り開く姿勢を見せる。砂が彼らの足元で舞い、決意が風に響く。  

タクミがガイストに呼びかける。
「ガイスト、こいつらの動きを解析しろ。嘘じゃねえか見極めてくれ。」
ガイストがコックピットで即座に分析を開始。モニターに影脈会5人の心拍数、瞳孔の動き、微細な震えが映し出される。
「解析結果:ガレンの心拍数は安定、瞳孔に動揺なし。ザインの呼吸は一貫、ミラの緊張は感情的真実を示す。カイルとダインの動作に偽装の兆候なし。彼らの言動に嘘は検出されない、タクミ。行動で証明する意志は本物だ。」
タクミがバルドの肩を叩き、ニヤリと笑う。
「バルド、こいつらの目は本物だ。ガイストもお墨付きだぜ。情報が正しけりゃ、神殿で貴族を潰す力が増える。試す価値はある。」
バルドが鼻を鳴らし、双剣を握り直す。
「分かった。だが、裏切ったら俺の剣で斬る。それだけだ。」  

タクミがガイストに確認する。
「神殿のデータは?」
「私のネットワークに該当情報はないが、魔脈反応の痕跡が過去に記録されている可能性がある。ストームライダーの強化素材か、レアなアイテムが手に入るかもしれない。寄り道の価値はあると推測する。」
タクミが馬車を振り返り、仲間たちに吼える。
「これからの戦いに備える。神殿に立ち寄るぞ。貴族をぶっ潰す力が手に入るなら、見逃せねえぜ!」
リアがエーテル・ノヴァを握り、頷く。
 
一行が砂塵の神殿へ向かう道中、オアシスの水面が不気味に揺れ、魔脈感知が反応する。ガイストの警告音がコックピットに鋭く響く。
「魔獣5体、距離150メートル! 魔脈波動が異常だ、タクミ!」
タクミがモニターを睨み、叫ぶ。
「また魔獣か! ガイスト、ターゲットロックしろ!」
「了解。魔脈波動の異常パターンを検出。外部からの制御が疑われる。解析を進める。」  

砂塵が渦を巻き、ヴォルガノスとテンペスタが群れで襲来。溶岩を滴らせた巨体が熱風を巻き上げ、雷を帯びた翼が風を切り裂く。タクミがストームライダーを旋回させ、魔鋼剣を振り下ろす。刃がヴォルガノスの腕を切り裂くが、傷口から魔脈エネルギーが溢れ、即座に再生する。
「何!? いくら倒しても再生しやがる! どうしたらいいんだ!?」  

熔鉄団の戦士たちが馬車から飛び出し、熔雷槌で牽制。カイルとダインが槍を突き刺し、ヴォルガノスの動きを抑えるが、魔獣が魔脈鉱石を食らい、炎と雷を増幅。熱波が馬車を焦がし、戦士の一人が吹き飛ばされ、砂に叩きつけられる。ガレンが剣を手に魔術を放ち、足止めを試みる。
「異邦人、こいつら普通じゃねえ! 何かおかしいぞ!」
ザインが短剣を投げ、テンペスタの目に命中させるが、傷が瞬時に癒える。ミラが「癒しの聖域よ、命を灯せ——ヒール・ルミナス!」と唱え、白い魔法陣が広がり傷ついた熔鉄団の戦士の傷を癒すが、叫ぶ。
「魔獣が強すぎる…! このままじゃ…!」  

バルドが突進し、雷を帯びた剣で斬りかかる。
「雷嵐双刃——サンダーストーム・スラッシュ!」
雷が渦を巻き、テンペスタの翼を両断。魔獣が砂に墜ちるが、群れが再生し、バルドを押し返す。
「貴族の操り人形か…! 何だこの再生力は! 」
ヴォルガノスの溶岩がバルドの足元を焼き、熱が鎧を焦がす。彼が膝をつき、歯を食いしばる。  

リアがエーテル・ノヴァを掲げ、涙をこぼしながら魔法を放つ。
「燃え盛る深淵よ、紅蓮を呼び起こせ——フレア・テンペスト!」
炎の魔法陣が広がり、渦がヴォルガノスを焼き焦がすが、再生が止まらない。
「凍てつく虚空よ、嵐を解き放て——アイシクル・ストーム!」
青白い魔法陣から氷の刃がテンペスタを凍結させるが、すぐに溶け出す。彼女が叫ぶ。
「貴族は罪だよ! 兄ちゃんや影脈会を犠牲にして…こんな魔獣にまで…! どうしてこんなことに…!」  

タクミがストームライダーを旋回させ、焦りを抑えきれず吼える。
「ガイスト、どうなってんだ!? いくら倒してもキリがねえ! 何か手がかりをくれ!」
ガイストが解析を進め、冷静に答える。
「魔脈波動の異常を追跡中。魔獣の再生速度は外部からのエネルギー供給を示唆する。オアシスの地下に高濃度の魔脈鉱石結晶体を検出。それが供給源だ、タクミ。」
タクミが目を細め、モニターを確認する。
「地下か…! それが魔獣を動かしてるってのか!?」
「その通り。貴族の魔脈操作で結晶体が魔獣にエネルギーを供給している。結晶体を破壊すれば再生は止まるが、魔脈エネルギーが強大だ。直接攻撃にはリアの魔法付与が必要と推測する。」  

タクミがリアに叫ぶ。
「リア、持ちこたえてくれ! 供給源を叩くぞ!」
リアが涙を拭い、エーテル・ノヴァを握り直す。
「うん…タクミ、私、やるよ…!」
戦場は混乱に包まれ、魔獣の咆哮が響き渡る。タクミたちは供給源破壊への一手を模索し、苦戦の中でも希望を見出そうとしていた。
(後編へ続く)


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