最弱の俺が神の血を継いで世界を救う旅に出る(仮)

RYOアズ

文字の大きさ
210 / 242

175話「裂け目の門」

しおりを挟む
ゼイクは星舟アストレイアの甲板に立ち、雲海を切り裂く風を感じていた。銀と青の船体が低く唸り、天空の裂け目へと向かう。眼下には聖域大陸の聖峰山脈が霞み、遥か上空に浮かぶ崩れた石橋と宙を漂う鎖が見えてきた。鎖はまるで生き物のように揺れ、不気味な金属音を響かせる。ルミスからの指令――新たな使徒「ミラージュ・ガーディアン」の討伐任務が、ゼイクの胸を熱くしていた。

  「天空か……俺の庭だぜ!」  シエルが弓を手に甲板を歩き、金髪を風になびかせる。緑の忍装束が軽やかに揺れ、ヴェントス・グリフォンがその背後で翼を広げた。ゼイクが笑う。「シエル、お前が落ちなきゃいいけどな」シエルがニヤリと返す。「お前こそ、白マントが風に持ってかれんなよ、リーダー!」  「あんた達、ふざけるのやめなさいよ!」  リノアが鍛冶場で強化した杖を握り、赤い軽鎧を鳴らして近づく。「天空の裂け目がどんなとこか分からないんだから、もっと真剣に準備しなさい! 私の炎がなければ、あんた達すぐやられちゃうよ!」その情熱に、ガルドが盾を担いで笑う。「リノア、落ち着けって。お前が燃えすぎて船が落ちなきゃいいぜ!」リノアが目を吊り上げる。「あんた、私をからかう気!?」  エルヴィが図書室から出て、小さな声で割り込む。

「あの……天空の裂け目って、昔、雷神トーランペクスが戦った場所らしいよ。石碑に『迅さが闇を貫く』って書いてあったって……」緑のローブが風に揺れ、彼女の純粋な瞳が仲間を見回す。ミリエが治療室から出て頷く。「エルヴィちゃん、すごいね。私も調べたよ。使徒が目覚めたなら、きっと何か大きな力が働いてるんだね」  ゼイクが剣を握り、「トーランペクスか……俺の雷も試されるな」と呟く。星舟が裂け目に近づき、船体が微かに震えた。甲板の庭に植えた花が風に揺れ、雲海が渦を巻く。シエルが弓を構え、「着いたぜ。行くか、リーダー!」ゼイクが頷き、「全員、準備しろ!」と叫ぶ。一行は石橋に飛び移り、鎖が軋む音に身構えた。  突然、雲海から鏡のような光が浮かび上がる。

「ミラージュ・ガーディアン」だ。姿はゼイクたちを映し、剣を握るゼイク、弓を構えるシエル、杖を振るリノア……全員の分身が現れた。だが、目だけが赤く光り、不気味な静けさが漂う。シエルが「迅風の舞!」と風刃を放つが、分身が同じ技で跳ね返す。「何!? 俺の技が俺に当たったぜ!」  「テラ・イグニス!」  リノアが炎を放つが、分身が同じ炎で迎撃。「あんた達、私の炎までコピーする気!? ふざけないでよね!」ガルドが盾を構え、「アース・ウォール!」と壁を展開するが、分身の壁が逆に一行を閉じ込める。「くそっ、俺の壁が裏目に出たぜ!」ゼイクが「ルミナス・ブレイズ!」と光弾を放つが、分身の光が跳ね返り、仲間がかろうじて避ける。  「待って、みんな!」  エルヴィが叫び、緑のローブを握り締める。「この敵、心を見てるよ……力じゃなくて、私たちの気持ちを映してるんだ!」その言葉に、ミリエが「ヒーリング・タイド!」と水流で仲間を癒す。「エルヴィちゃんの言う通りだよ。この使徒、戦うだけじゃダメなんだね」ゼイクが剣を構え直し、「心か……どうすればいい?」  分身が一斉に攻撃を仕掛ける。

シエルの分身が風刃を、ガルドの分身が土壁を繰り出し、混乱が広がる。エルヴィが目を閉じ、「木霊の矢!」と蔓を放つが、分身も同じ技で応戦。「違う……私たちの弱さが映ってる。私が怖がってるから、こうなるの……」彼女の声が震え、涙がこぼれる。  「エルヴィちゃん、大丈夫だよ!」  ミリエが駆け寄り、エルヴィの手を握る。「あなたは弱くない。私たちと一緒にいるから強いんだよ」その優しい声に、エルヴィが頷く。「うん……仲間がいるから、私、頑張れるよ」彼女が再び呪文を唱える。「フォレスト・ブレス!」緑の光が仲間を包み、分身の動きが一瞬止まる。だが、使徒の本体はまだ姿を見せず、雲海の奥から不気味な笑いが響いた。  ゼイクが叫ぶ。「まだ終わってない! こいつの本体がどこかにいるはずだ!」石橋が揺れ、次の試練が待っていることを告げるように、鎖が激しく鳴り響いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...