星の下の太陽

金平糖

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叔母の家から出ていって2週間が経過していたが、やっとの思いで仕事を見つけてもすぐに役立たずという理由で解雇されてしまっていた。
生活保護や募金で何とか生きていけているが、飢えを凌ぐだけでどんどん心身は疲弊していった。

「はぁ、はぁ、喜一さん!やっと見つけた。」
叔母の親友である良子さんが、ぜーぜーと息を切らして走ってきた。その顔は今にも泣きそうだ。なぜか、私の心臓はどくどくと大きな音を立てて騒ぎ出した。

「洋子ちゃんが!洋子ちゃんがぁ!」
その名前を聞いただけで吐き気がした。私はその場から逃げ出したくなった。

「結核にかかちまった!今家でずっと苦しんでるんだよ!」
世界が時間を止めてしまったかのようだ。私の心は何かに握りつぶされて息もできぬほど苦しくなった。良子さんは親友が重い病にかかってしまったことに絶望し涙を流している。

結核を治すためには莫大な金がかかる。どうすればいいか分からない。仕事を探したってすぐに解雇されてしまう。そんなとき、あの時の男が頭をよぎった。もうここには居ないかもしれない、でも、一番可能性がある。

そう思えばすぐに足は動いていた。ふらふらとしていた足取りを嘘のように忘れ、戦場で駆け回っていたころの感覚を思い出し、人をかき分け以前あの男と会った場所を目指す。

無我夢中になっていると、突然腕を強い力で掴まれた。振り返れば、そこにはあの時の男がいた。

「やっぱりまた会いましたね?」
私は男がまるで神のように見えた。迷わずに助けを求めた。男はまるでそれが分かっていたかのようにすんなりと受け入れ、薬を持ってきてあげようと約束してくれた。

「ありがとう。ありがとう。なんとお礼を言ったらよいか。私は叔母の様子を見に行く。住所を渡すから薬が用意できたらすぐに来てほしい。」
私は逸る気持ちを抑えながら、住所を渡し、叔母のもとへ急いだ。

「もう住所は知っていたのだが、まぁいいか。」
男はくしゃくしゃの紙を大事そうに折りたたみ、ポケットへ入れた。


「叔母さん!」
私は叔母の家に着くなり叔母に抱き着いた。叔母の体は以前よりもさらに細くなっていた。

「喜一さん…。ごめんなさい。私…。私。」
涙が叔母のこけた頬を伝う。そんな光景に私も思わず涙が流れる。

「叔母さん。あのな、結核の薬。手に入るんだ。進駐軍の人が持ってきてくれるって。」
叔母はそれを聞いて驚いて、騙されてないか、対価はどうするんだと聞いた。確かに、焦っていてお金や対価のことなど何も聞いていなかった。

でも、今は叔母の心身のほうが私にとって優先だったので、大丈夫だと嘘をついた。

「喜一さん。ありがとう。あーもう、こんなにコケてしまって、ご飯もろくに食べれていないんだろう。私、喜一さんが出ていった日からずっと心配だったんだ。」
ひんやりとした皮と骨だけの手が頬を包み、折れてしまいそうな手首を掴むこともできない。

「ごめんさい。私ずっと喜一さんに酷いことを言っていたね。ずっと疲れていて、私も辛かったんだ。許しておくれ…。」
叔母さんはやっぱり優しいと思った。家族を失ったあの日からずっと私を第一に考えて生きてくれていた。

その日は、少し話した後、移ってしまうかもしれないからと、良子さんの家に泊めてもらうことになった。
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