上 下
17 / 80
第4章 神様のいなくなった日常の始まり

17.俺専用のネットショップを始めよう。ショップ名は、マグロの神様?ではなく。〈神棚〉!俺のネットショップ、大人気にならないかな?

しおりを挟む
俺が、俺を雇うには?

俺が、俺に、自己アピールをする。

俺、何が出来るんだろう?

したいことは、決まっている。

出来ること?

思いつかない。

出来ることがないから、内定が出ない?

バイトとは違うから、何が出来ないと内定が出ないのか、分からない。

資格?

資格より経験、という人もいる。

今から資格をとる勉強をして、三月までに、試験に合格して、内定がとれる資格って何がある?

どんな資格に合格して、内定がとれた、としても、俺のしたい仕事に繋がらないと思うと、資格の勉強をする気にならない。

俺って面倒なやつだな、と自分で思う。

好きなことを仕事にできる人は、一握りだから、趣味でいいんじゃないか、と助言されたこともある。

好きなことを趣味で終わらせたくない。

俺は、求められなかった。

でも、俺の求めているものは、俺が自分で手に入れたから、誰に取られる心配もしなくていい、と安心したいんだ。

仕事は、家族じゃない。

家族は、期待しても、何も返ってこない。

仕事は、成果を期待してもいいくらいだけ頑張ったら、返ってくると思うんだ。

初志貫徹。

俺、好きなことを仕事にする。

自分で店を出して、自分で売る。

実店舗なくても、俺が一人で、俺のペースで、商売するんだ。

俺専用のネットショップを作る。

俺は、ネットショップを作ると決めてから、調べてみた。

俺専用にするなら、ホームページがあった方がいい。

個人で売り買いするなら、ホームページはなくてもいい。

俺は、
『これが俺の仕事だ。』『俺の商品を扱っている店だ。欲しかったら、俺の店で注文してくれ。』
と外で言いたい。

三月の卒業までに、就活で内定もらうことを目標にするのを辞めて、自営一本に絞るなら、時間はある。

俺専用のホームページ、俺が自分で作ってもいいかも?

始まりは、ホームページって、自分で作るものだったはず。

自分でホームページを作ろう。

マグロのぬいぐるみが置いてある神棚も、誰かの手作り。

文明開化は、自作することから始まったに違いない。

俺は、誰かのお手製の神棚にいた神様の姿を思い起こしながら、ホームページ作りに着手した。

山のふもとの家から出歩かずに、調べて比べて、試して失敗して、を繰り返す。

出来た!

ブラッシュアップはしていくけれど、初めて作ったにしては、店らしくなっている。

お次は、商品だ。

売るものは、決めている。

俺が書いたイラスト。

俺、人間やキャラの絵は、ほとんど書かない。

風景画オンリー。

漫画家のアシスタントさんになったら、重宝されたかな?

人を見て書くのが、苦手なんだ。

風景画は、筆がのるんだけど。

ショップ名は、何にしよう。

神棚を意識しながら、作ったし。

マグロの神様?
マグ神?

釣りゲームっぽい。
止めよう。

そうだ!
〈神棚〉
にしよう!

初商品イラストは、何がいいかな?

俺は、自分のイラストを見比べてみる。

神様を見送った海のイラスト。

俺の中で、外すことが出来ない一枚。

コレから、始めよう。

神様、常世は、どんなところ?

俺は、ネットショップを作って、自作イラストを売ることにした。

神様を見送った海を描いたんだ。

いつか神様に見てほしい。

何十年先になってもいい。

神様が、常世から、我が家へ遊びに来たらいいな。

商品イラストを見せて、仕事が楽しいんだ、と、神様に話したら、神様は、喜んでくれるかな。

ネットショップは、本日、オープン。

閉店しなくていいように、頑張ろう。

イラストの注文が殺到して、一年待ちとか、大人気になるかも。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私が王女です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,145pt お気に入り:293

雑多掌編集v2 ~沼米 さくらの徒然なる倉庫~

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:482pt お気に入り:6

処理中です...