いなくなって、若返ったお父さんは、私のヒーローになって、永遠の共犯者になった。

かざみはら まなか

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第3章 混じり気のない黒は、濁りのない白と同じくらい純粋で強烈。だから、惹きつけられる。

35.疑惑と疑念から逃げられるなんて思わないで。不安に押し殺されそうになって。何を信じたらいいか分からないくらい、不安に苛まれてほしいよ。

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まず、家を出ていったお父さんとの家族仲は、決して悪くないと、男の人に印象づける。

「お母さん、お父さんとの別居は解消して。

お父さんが家に戻ってきてお父さんと私達四人が一つの家に住めば、お父さんの住居費の負担がなくなるの。

私の大学進学費用と、くーちゃんのこれからを考えたら、お父さんとお母さんが別居しているより、経済的に楽になるよ。

これからの家のことは、お父さんお母さん、私とくーちゃんの四人で相談して、分担しよう。

お母さんが、こちらの男の人とデートする日の分担は、デートしない日に倍にして終わらせたらいいんだよ。

お母さんには、私とくーちゃんの進学を真剣に考えてほしいの。

お母さんがお父さん以外の男の人と仲良くすることについては。

お母さんが、家庭を犠牲にしない限り、目を瞑ることも考えているよ、私はね。

でも、中学生のくーちゃんを巻き込んで、お母さんの不倫の免罪符にしないで。

真新しい服や靴を中学生のくーちゃんに買い与えて、お母さんの不倫相手に紹介する食事会。

それから?

その後は?

お母さん、さっき、くーちゃんは帰らない、と言ったよね?

くーちゃんは、今日、家に帰らずに、誰とどこに行くことになっているの?」

私は、一息に言ってから、横にいる妹を見つめる。

真新しいワンピースに身を包んで、ウキウキとお母さんの隣を歩いていた妹は、ワンピースのスカート部分を握りしめていた。

「くーちゃん、話は聞いていたよね?
中学生のくーちゃんなら、はっきりと言わなくても、意味は分かるよね。」

疑念は、一度、植え付けられたら消えることはないの。

いつ芽吹くか、だけ。

「今日は、お母さんとお母さんのお友達と食事をする、と聞いていた。

お姉ちゃんは、来ないって聞いていたのに。
楽しみにしていたのに。

なんで、お姉ちゃんがいるの。
お姉ちゃんには秘密にしていたのに。」
と妹は、恨み言をぼそぼそ。

お母さんと妹は、今日の食事会を二人だけの秘密にしていた。

家族の二人に隠し事をされて、私は悲しかった。

前に言ったのは、お母さんと妹が二人だけで成り立たせたい会話は、私のいないときに、二人で済ませておいて、という意味であって。

私を省いて生活して、という意味じゃないの。

「くーちゃんは、お姉ちゃんが来ないことに疑問を持とうよ。

私も、お母さんの娘なの。
くーちゃんがいて、私がいないのはおかしいの。

くーちゃんとお母さんは、私の家族。

家族の中で、秘密にできることなんか、一つもないんだよ。

後、今日が、ご飯を食べるだけで済んだかどうかはわからなかったよ。

私が来なかったら、ね。

くーちゃんは、中学生になっても、お母さんに言われて、お洒落して、知らない男の人に会って、ご飯たべてって、それだけで済むと思っているの?」

不安にならないわけがないよね、くーちゃん。

「お母さん?」
と妹は、上目遣いで聞いている。

「実月、くるみちゃんにおかしな妄想を吹き込まないの!
お母さんが、くるみちゃんにそんなことをさせるわけないでしょう。」
とお母さん。

お店の中だから、一喝出来なくてやり辛いよね、お母さん。

「お母さん。」
と妹は、ほっとしている。

安心するのは、まだ早いよ?

まだまだ、手は緩めないよ。

もっともっと、疑心暗鬼になろうね、くーちゃん。

私の狙い通りに、ね?

「くーちゃん、信じたい方を信じようとする前に。

思い出して。

お母さんは、お母さんの不倫相手との顔合わせだと説明せずに、くーちゃんを連れてきたんだよ。

朝からお母さんの機嫌が良かった日で、帰りが遅かったとき。

お母さんは、こちらの男の人と楽しく過ごしていた。

前に、くーちゃんは、お母さんの一番を聞いていたよね。

お母さんの今の一番はね。

今日、お母さんのお隣に座っている。
お母さんの不倫相手の男の人だよ。」

妹は、お母さんの不倫相手の男の人や、不倫したお母さんじゃなく、私に腹を立てている。

「不倫だと分かっていて、お母さんを止めなかったの?」
と妹は、私を非難した。

「くーちゃんも見ていたよね?
私が止めても、お母さんは、私の言葉を聞いてくれないの。

お母さんは、お父さんが家に帰ってくるのは、くーちゃんのためにならないから、くーちゃんのことを考えなさい、と私に話したんだよね。

お父さんに帰って来てもらおうとしたときに。

お父さんがいるときに、くーちゃんを不倫相手に紹介したら、お父さんは、父親として怒るから、当然なんだけど。」

私とお母さんと妹で盛り上がりすぎたみたい。

「娘さんが混乱している。母と娘で話し合いをしてからの方がいい。」
と男の人は、席を立とうとしている。

「いいえ。食事会ですよね?
お母さんの不倫相手の人と対面で話す機会は、今までありませんでした。

食べながら話す機会に、私達が、仲良くお話しするのも悪くないと思うんです。」
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