いなくなって、若返ったお父さんは、私のヒーローになって、永遠の共犯者になった。

【永遠不変のものは、あるの?】

お父さんは、私が中学生になる前に、仕事に行けなくなった。

休職して、退職して家にいたお父さんは、変わりたいと言って、ある日、お金を持って家からいなくなった。

私が物心ついたときから、お父さんは、私の面倒をみて、お母さんは妹の面倒をみていた。

お父さんがいなくなっても、その関係は変わらない、なんて思わなかった。

高校生になった私は、お父さんによく似た男の人に会った。

学校から家に向かう方向とは逆方向にある公園で、私達は出会った。

その男の人は、仕事に行けなくなる前の元気でいたお父さんにそっくり。

私が最後に見たお父さんの姿に比べたら、十歳近く若い見た目。

私達は、薄暗くなる公園のベンチで話をするようになった。

話をすればするほど、お父さんと話をしている錯覚に陥った。

でも、お父さんなら、娘と会って、知らんぷりなんて、しないよね?

ある雨の日、危ない目にあっていた私を助けにきてくれたその人は、初めて私の名前を呼んだ。
『もう大丈夫だよ、きーちゃん。』

いなくなったお父さんだけが、呼んでいた呼び方で。

お父さんは、私に、したいことしたい、欲しいものを欲しいと言わせてくれる。

私は、もうずっと叶えたい望みがある。
私の家族は、お父さん、お母さん、妹。

私は、家族に、私を愛して大事にしてほしい。

だから、私と生きるために、変わってもらうね。

大人しく待っているだけのお姉ちゃんはもういないの。

※物語が進むにつれて、ホラー要素の比重が増えます。
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