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第3章 混じり気のない黒は、濁りのない白と同じくらい純粋で強烈。だから、惹きつけられる。

42.『私、お母さんの不倫相手に今から会うよ。お母さんも来る?』

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私は、お母さんと楽しく電話をしている。

お母さんは、妹がすぐ側にいるなんて思わないから、妹の愚痴が止まらなそう。

本人が側にいて、自分への愚痴を聞いているなんて、思わないよね。

表向きは、仲が良いのに。

私は学校帰りだから、制服。

会社のビルの出入り口付近に制服の女子高生が電話していたら、人目を引いている。

お母さんの不倫相手と会ったときも、私は制服だった。

不倫相手は、私が会社の建物の出入り口で待っていることを把握しているはず。

まだ降りてこないの?

せっかく私があげたチャンスを自分で潰すの?

不倫するだけはあるよね?

ソレじゃない方を選んじゃうんだね?

へえ。

うん。

あはは、面白い。

逃げられるとでも思っているの?

私から。

私のお母さんを独り占めしておいて、無傷でいられるなんて、私を甘く見すぎ。

どうして、私のお母さんにしたの?

見る目ないよね?

私は、結婚は無理だよって、婉曲的に教えたのに。

分かってる、分かってるよ、私はね。
お母さんと、結婚はしたくないんだね!

キャッチアンドリリースみたいな?

結婚する気はなくなったけど、別れるほどじゃないから、とりあえず続けておく?って思っている?

とりあえず続けていても、いいけど、優先順位を間違わせないでよ、お母さんに。

お母さんの一番は、私。

私以外をお母さんが優先するなんて。

そんなこと、あっていいわけないから。

私ね、虚仮にされるのって実は大キライ。

いつまでも私を一番にしないお母さんの、一番に居座っているのって、さぞかしいい気分だよね。

私、お母さんには、家庭を優先した上でならって、言ったんだよ。

不倫相手も聞いているよね?

お母さんもお母さんの不倫相手も、頭が悪くて、記憶力が悪くて、堪え性がないんだね。

似た者同士だね?

お母さんは、私の家族だから、私が引き取るよ。

お母さんには、これから、変わってもらわないといけないの。

私を虚仮にした日数も加算しておくよ、お母さん。

私を構いながら生きていってね。

お母さんの不倫相手は、もうだめだと思うよ。

別れ時だよ、お母さん。

お母さんからは、別れられないよね?

ハマっているのは、お母さんの方だもんね。

お父さんに大きな口と一緒に偵察にいってもらったから、よく知っているよ、私。

不倫相手から別れ話が出たよね?

別れ話が出たから、お母さんは、家に帰るのを見送っているんだもんね?

不倫相手の家を出ていったら、別れ話を肯定することになるって思ったんだよね。

お母さん、別れ話をされたときに、別れて帰ってきたら良かったのに。

お母さんが、素直に別れなかったから、大変なことになるよ?

お母さんの不倫相手が。

大変!

お母さん、不倫相手にフラレるね?

そろそろ、妹の愚痴も打ち切りにしよう。

妹は、大好きなお母さんから心の栄養剤を注入されて、大人への階段を昇る年齢になったね。

「お母さん。私ね、今日は今からお母さんの不倫相手と会うんだよ。お母さんも会いにくる?
一緒に会ってもいいよ?」
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