フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

194.『私を守りきれ。』拉致された弟ではなく、無事な自分を守るようにと命令を下す。命令によって、主君として家人のなす事の責任と命を背負う。

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「ハーマル様。ご命令を。」
執事が、ハーマルに促す。

この王都邸において、父ダルクと長兄デヒルがいない今、ガラン子爵家当主の3男であるハーマルが主君。

「私を狙う者から、私を守りきれ。何をおいても優先しろ。」

「ご命令通りに。」
と執事。

「御意。」


使用人が動き出すのをハーマルは黙って見ている。

「ハーマル様。頑張られましたね。休みましょう。」
執事がハーマルの背中を撫でた。



掌サイズの茶色い小鳥は、羽毛でハーマルを包んで慰めようとしている。

「チャーチャ。」
声を出せば、胸の内で、ぐるぐると暴れる感情が体を引き裂くんじゃないか、と思う。

ハーマルは、誰かに当たり散らしたりしない。
暴れる感情は、いつも、自分の中で、向き合って、整理してきた。

命令してきたことも、ないわけではない。

でも、意に沿わない命令は、今までしたことがなかった。

執事も護衛も、他の使用人も、分をわきまえながら、ハーマルの感情を優先してくれてきたんだ、と今さら気付く。

自分の口から、フィリスではなく、ハーマル自身を守るように言う日なんて、想像したこともなかった。3つも下の弟を切り捨てるように命令したのは、他ならぬハーマル自身。

自分のため、家人のため、必要だった。
命令がなくば、家人は方針が決まっていても動けない。動けないなら、一方的にやられてしまう。
主人であるハーマルが、命令を与えなければ、家人の無駄死にを増やすだけだ。

そう、頭では理解しているけども。
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