フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

869.撤退も戦略。孤立無援で、打開策もなく、犠牲者が出ている。人知れず、苦悩しながら儚くなりたいわけじゃないなら、決断を急がないと、ね?

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残っていた2人の男性のうち、小柄な方が挙手した。
「8番手です。私は、ビーイット公爵家の遠縁の分家の出です。ビーイット公爵家のイリダ様から、こちらの采配を任されました。」

最後の1人は、長身の男性。
「9番手です。私は、8番手の護衛です。8番手と一緒にこちらに参りました。」

ボクの目の前にいるのは、9人。

「土の盛り上がっているところは、墓かしら?キミ達の同類かしら?」
ボクが確認した限り、土が盛り上がりは、3つ。

墓だとしたら、最低3人は既に亡くなっていることになる。

8番手の小柄な男性は、墓を苦しそうに見ている。
「3つある盛り土は、全部、8番手の身内かしら?」

「1つだけです。1つは、私の執事のものです。」
と8番手。

「他の2つについては、知っているかしら?」

「イリダ様からの命令で、1番最初にこの土地に入った2人です。ビーイット公爵家の家臣です。」
と8番手。

「8番手と9番手。キミ達2人と亡くなった3人も含めて、貴族は何人いるかしら?」

「いません。」
と8番手。
8番手は、答えながら、ボクの出方を気にしている。

公爵家の流れをくむ平民の8番手と、現役の貴族のボク。
この場では、ボクに軍配が上がるもの。


8番手が、分家の出ということは。
両親のどちらかがビーイット公爵家の流れをくむ貴族。
もしくは。
両親より前の代にビーイット公爵家の流れをくむ貴族がいたけれど、平民になって何代か経っている。

「そう。」

ビーイット公爵家の嫡子イリダ殿は、貴族そのものは関わらせなかった。

貴族に紐づいている平民を使っている。

問題が起きても、平民じゃなく、バックにいる貴族同士で話をつける腹積もりだったのかしら?

この土地にいる貴族は、ボクのみ。

イリダ殿は、方針を変更したのかしら。

「ボクは、格好からも予想できると思うけれど、コーハ王国の貴族なの。ボクの家は、ビーイット公爵家とは無関係なお家。ボクは、これから帰るの。キミ達も帰りなさい。」

「帰ると言われましても。」
と8番手が困惑している。

「ボクは、ビーイット公爵家と無関係だから、速やかに帰るの。条件次第では、キミ達が帰る手配はしてもいい。でも、この土地に残ることに関して、ボクが助けることはしない。」

8番手は、貴族がいるなら仕事を助けてもらえると期待したのかしら。
がっかりしているの。

8番手は、執事と護衛を揃えていながら、貴族社会に馴染みがないのかしら?

貴族間で、ギブ・アンド・テイクがはっきりしない取り引きは、一方的に借りを作ることになるから、かえって危険なのだけど。

王侯貴族の階級では、無償の救済は存在しない。

私費ならともかく、お金や、人手は、個人ではなく家の資産だもの。

勝手に使い込んで減らしたらダメなの。

キューブ傭兵団の6人は、ボクの言わんとしていることを理解している。

キューブ傭兵団の団員を助けると、団員と関係する家に貸しを作れるの。

貸し借りに関して、キューブ傭兵団の団員はノータッチ。
ボクと団員の関係する貴族とのやり取りになる。

その事情をふまえて、ボクに助けられたいか、決めるように、ボクは求めた。

8番手は、ぐずぐずと決めかねている。
9番手は、無言で、8番手の判断待ち。

「キミ達、この土地に残って、解決できる見通しが立っているのかしら?」
8番手は、打つ手がなく、追い詰められていった記憶を思い起こしている様子。

「キミ達がこの土地の問題を独力で解決出来たなら、今の状況になっていないの。」
8番手と9番手には、ビーイット公爵家の嫡子イリダ殿の生き証人の役割があるから、生かして連れ帰りたいの、ボク。

「ビーイット公爵家やビーイット公爵家の嫡子イリダ殿がしたことは、次々に人を送り込むことで合っているかしら?」

キューブ傭兵団の6人が、ボクの問いかけに頷いた。

「現状。キミ達は、既に自力で身動きがとれない。十数人を投入して、死者が3人出ている。孤立無援な上に打開策もない。」

キューブ傭兵団の6人は、帰る決断をしている。

「撤退するなら早い方が、生き残れる確率が高くなる状況じゃないかしら。」

8番手は、気が済むまで、ぐずぐずさせておくの。

抵抗するなら、強制的に脱出させることにするの。

事情聴取のために、またこの土地に来たくないもの、ボク。

でも。
ぐずぐずが、ぐらぐらになるように8番手に現実を突きつけておく。

「この土地で、人知れず儚くなりたいのなら、ボクは止めない。」

8番手じゃなく、9番手が反応した。
護衛だもの。

次に死ぬのは、8番手を守る護衛。
護衛が死んだら、8番手は野垂れ死に。

人知れずに、2人共死ぬ未来が想像出来るはず。

もう一声かしら。

「キミ達が、キミ達を助けてくれる人を待ちながら、死んでいくことになっても、決断できないキミ達の自業自得なの。」
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