フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

880.相互理解は、理解できない相手だと、お互いに認識するところから始まったりしない?

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死骸と死体の番を死ぬまで続けて、と言われて、喜ぶか?

1番手は、ドン引きしていた。
フリーの傭兵をしてきた経験から、依頼主になりそうな貴族に、面と向かって、逆らうような真似は賢明ではないと知っている。
依頼主にしか、意味がわからない仕事なんて、世の中にごまんとある。
今更、驚きはしない。
フリーの傭兵は、
意味がわからない仕事に、意味を持たせたり、
依頼主である貴族を満足させるポイントを探り当てて、落とし所を決めたりを自分自身でやる。
貴族なんて、軽い気持ちで理不尽なことを口にするから、怒りだって、今更過ぎる。
それでも。
一生、死骸と死体を見守る仕事だなんて、不気味過ぎる。

死体愛好家なのか?
墓守りではダメなのか?

まさか、フェンリルがアンデッドにならないように見張れ、と?

神様がアンデッド化?
まさかね。

なら、何のために?

貴族ってやつは、ろくでもない仕事を思いつくものだ、油断は禁物。

ダルクの発言にドン引きしながらも、1番手は頭を働かせていた。


ダルクは、1番手の思考なんざこれっぽっちも気にしていない。

ダルクが考えることは、物事の大局。
1番手は、ダルクの家族でも、領民でもない。
1人の余所者の希望や将来を慮るのは、些事過ぎて、ダルクの仕事にならない。

「転職しないのかな?乗り気じゃないなら、他に頼むから、気にしなくていい。」
とダルク。

1番手は慌てた。
貴族が、他に頼むというときは、仕事を断った腹いせに、他の仕事の依頼がこないように手を回すと言っているも同然。

1番手は言い繕う。
「お仕事の目的が分からなくて、どのような役目をお求めなのかと、考えていました。」

ダルクは、1番手が本人にも職場にも合致していると考えたから、たまたま目の前にいた1番手に仕事を振ろうとしただけで、1番手が拒否したら、ビーイット公爵家から代わりの人を出させる腹積もりである。

仕事を断られた腹いせに、干してやろうという発想はダルクにはない。

人件費削減。
資源の有効活用。

1番手を選んだ理由なんて、その2つのピースがうまくはまったから、にすぎないからだ。

ダルクは、仕事に乗り気ではない人間に、仕事をふる気は全くない。

誠実に仕事に取り組まない人間には、仕事を依頼しない。

依頼する相手が、1番手でないといけない理由も、ダルクにはない。

ダルクと1番手は、考えているベクトルが違う。

相互理解は、どこかに共通点がない限り、理解不可能な存在だと互いに認める方が早い。

「生きている間、死骸と死体が時と共に風化する様を見届ける役割だよ?」
とダルク。

ダルクの説明には、裏も表もない。

一方。
ダルクが貴族だと身構えている1番手。
貴族相手に、裏読みせずにはいられないから、不安になる。

「いつ頃、風化するんでしょうか?」
と1番手。

「分からないなあ。」
ダルクの人生で、初めてのケースだ。
予想もつかない。

「仕事の期限は?」
と1番手。
曖昧な契約は、回避一択。

「風化するまで。」
とダルク。
ダルクは、1番手に答えを返しながら、思った。
賢くないのかな?
さっきから、同じ会話をしている、と。

「風化した後、私はどうなりますか?」
と1番手は、最も聞きたいことを聞いた。

見守る仕事の後に、別の仕事がなければ、食い扶持を稼げない。

自分自身で仕事の契約を決めるフリーの1番手には。
仕事の終わりは明示されているのに、契約の終わりの明示されない仕事なんて、不安しかない。

次の仕事を決められないじゃないか。

1番手の質問に驚くダルク。
ダルクの感覚では、1番手がこの世を去る方が先だ。

なんで、死んだ後の仕事の心配をしているんだろう?

ダルクには、本気で分からない。
「死んでからも、心安らかに永眠せずに、仕事をするつもりなのかい?」
ダルクは、1番手に聞いてみた。
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