フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

923.伝えたい事実を話しても、聞き手の着眼点が違うと、伝えたい情報と違う情報が伝わることもある。

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屋敷にも、お客様用ではない、使用人用の出入り口から入ったの。

使用人通路は、使用人しか使わないの。

由緒正しい公爵家の屋敷なので、使用人が、主人や来客に姿を見られないように移動するための使用人通路は、広さもあって、集団で移動しやすいの。

「イリダ様は、この通路に入ったことがありません。使用人と同じものは、何があっても、食べない、身につけない。徹底されていましたね。幼い頃から、彼我の違いを意識させる振る舞いを進んでされていました。」
とシーリ・ポート。
「マルビル様は、庶民ぽさを嫌っていました。使用人とは、話をしたがりませんでした。マルビル様も、この通路に入ったことはありません。」

公爵家当主の子どもの使用人は、公爵家の分家から選んだのかしら。
分家をただの使用人と見下した対応をしたら、分家はついてこなくなる。

身内の人間を従えられない長男と次男。

「公爵と娘は?」

「ご存知です。」
とシーリ・ポート。

「入ったことは?」

「申し訳ありません。」
とシーリ・ポート。

入ったかどうかを語るのは誓約で不可能、と。
それでも、敢えて、この話題を出した、という意味は何か?

使用人通路を使えば、イリダ殿に見つからずに移動できる、ということ。

ボクは、別の視点で、考えていたの。

公爵と娘の両方、入ったことがある。

イリダ殿とマルビル殿は、通路の存在を知っているかもさだかではない。

公爵は、長男イリダ殿を嫡子としつつ、後継に娘を選んでいた。
あまつさえ、公爵の周囲の腹心には、周知させていた。

公爵とイリダ殿の間に何か対立することがあったのかしら。

イリダ殿は、お持ち帰りするけれど、公爵も娘も無傷じゃすまないことを受け止めさせないと、逆恨みされないかしら。

ビーイット公爵家の公爵と長男、次男は、自らの行いの責任をとることになる。

娘は、ビーイット公爵家の後継ぎとして残るけれど、茨の道。

連座で全部まとめてしまうのは、早くていい。
娘に代替わりさせて存続させるには理由がある。
ビーイット公爵家の実態を調査して、問題の洗い出しをする時間を稼ぎたい。

表に出てきていない、災いのタネは、タネのうちに取り除くの。

ビーイット公爵は、嫡子に不適格だと当主が判断して、嫡子ではない子どもに後継者教育を施していた実績がある。
この事実は、ビーイット公爵の責任を重くする。
公爵家の当主が、後継者にしないと決めていたなら、長男イリダ殿を後継ぎから外して、嫡子としての権力を取り上げ、公爵家の管理下におくこともできたの。

イリダ殿に嫡子として権威と権力がなければ、アンタッチャブルな組織を利用するのに人を使っておきながら、後始末をしない、なんてことは起きなかった。
アンタッチャブルな組織絡みの捜査に関わった近衛本隊の若者が、集団で、国への忠誠心を失くすこともなかった。

公爵家の当主として、息子に権力を与える立場にいたのだから、息子が不適格だと分かった時点で、速やかに息子から権力を取り上げなかったのは、失策。

シーリ・ポートは、主君の失策を暴露するために、ボクに話をしたわけではないけれど。


このまま、ビーイット公爵のところへ行ってしまうの。
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