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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。
189.『魔法がない世界からの異世界転生者だと、知られないように。ニンデリー王立学園の学生でいる間は、特に秘すこと。』
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スラッルス・トークンは、咄嗟に返事ができなかった。
深刻な展開は、予想していなかった。
イーハン教授に尋ねたとき、スラッルス・トークンは、何か答えてくれたらラッキーくらいに考えていた。
だから。
何も伏せないで、聞いた。
マーゴットが、先に反応した。
「この場で、それに、まつわるお話をお聞きすることは、可能でしょうか?」
とマーゴット。
「ゼーゼ教授の『魔法の進化』は、魔法がない世界から異世界転生した者のうち、この世界で魔法が使える者を研究していた。」
とイーハン教授。
「研究対象は、人ですか?青空教室は、研究対象を探す場所ですか?」
とマーゴット。
「青空教室を知っているか。物知りだね。」
とイーハン教授。
「開催されていた、という話を耳にしました。参加はしていません。」
とマーゴット。
「異世界転生者を研究するのではなく、異世界転生者を使った研究だ。分かるね?」
とイーハン教授。
「スラッルス・トークンは、見つかったら、使われる。
使われたら、生きて帰ってこれない。
研究者が、手出しできないように、クークード遺跡を引き継ぐ者として、スラッルス・トークン自身の名をあげる。
ニンデリー王立学園に在学中は、有効な手段ということですね。
他に対策はできますか?」
とマーゴット。
「一緒に戦えるように、家族関係を良好にしておく。
それが難しいなら、色々なものと戦っても、自身の力で勝てるようになっておくことだね。」
とイーハン教授。
「色々とは、権力者相手ですか?」
とマーゴット。
「実際の戦闘もだね。」
と話すイーハン教授は、寂しそうな目をした。
目撃したのだろうか?
抵抗の末、敗れていなくなった学生の姿を。
「異世界転生者を使うんですか?」
スラッルス・トークンは、やっと自身で質問できた。
「そうだね。ゼーゼ教授の『魔法の進化』は、魔法がない世界にいた人間が、魔法を使えるようになった現象を、人為的に再現する方法を研究している。」
とイーハン教授。
「クークード遺跡の中を見て、見たことがあり、元の使い方を知っている。
魔法を本能で使いこなしておらず、頭で考えて使う。
今日、クークード遺跡の中で、この2点が当てはまるのは、1人だけだね。」
とイーハン教授。
「だから、俺に忠告を。」
とスラッルス・トークン。
「マーゴットも聞いていますけど、いいんですか?マーゴットは、違いますよね。」
「ガランの御息女だからね。」
とイーハン教授。
マーゴット自身のことについては、我関せずなマーゴット。
「最初から、猟奇的な研究でしたか?」
とマーゴット。
「いや、最初は、平和的だったよ。色々あって、途中から、猟奇的にならざるをえなくなったね。」
とイーハン教授。
「学内の再編が関係していますか?それとも、第1王子派と第2王子派の確執が関係していますか?」
とマーゴット。
「どちらも無関係とは言えないね。」
イーハン教授。
「ありがとうございます。」
とマーゴット。
「別件ですが、この鯉は、いつ来てもいますか?」
「この池の鯉は、異世界から、落っこちてきた鯉を集めているんだ。」
イーハン教授は、マーゴットの年相応の瞳の輝きを微笑ましく見ている。
「落っこちてくるんですか、鯉が。」
スラッルス・トークンは、空から鯉が降ってくる光景を思い浮かべた。
「ある時、池ごと落ちているのを見つけて、池ごとクークード遺跡に運んだ。
その池が、今目の前にある池だね。
その後は、落ちてきた鯉はこの池に転送するようになっている。
鯉は、定期的に落ちてくるから、いつ来てもいるよ。」
とイーハン教授。
「鯉、転送できるんですか?生きたまま?」
とスラッルス・トークン。
「それなりに高度な技術と理論の組み合わせだから、誰でも、は難しい。
しかし、クークード遺跡に関わる者は、困難に打ち克つ喜びにふるえるね。」
とイーハン教授。
「趣味の人の趣味って、人生なんですか?」
思わず、聞いてしまったスラッルス・トークン。
その質問には、笑って答えなかったイーハン教授は、スラッルス・トークンの両肩に手を乗せた。
「君が、どのように成長してクークード遺跡に関わっていくか、楽しみにしている。」
深刻な展開は、予想していなかった。
イーハン教授に尋ねたとき、スラッルス・トークンは、何か答えてくれたらラッキーくらいに考えていた。
だから。
何も伏せないで、聞いた。
マーゴットが、先に反応した。
「この場で、それに、まつわるお話をお聞きすることは、可能でしょうか?」
とマーゴット。
「ゼーゼ教授の『魔法の進化』は、魔法がない世界から異世界転生した者のうち、この世界で魔法が使える者を研究していた。」
とイーハン教授。
「研究対象は、人ですか?青空教室は、研究対象を探す場所ですか?」
とマーゴット。
「青空教室を知っているか。物知りだね。」
とイーハン教授。
「開催されていた、という話を耳にしました。参加はしていません。」
とマーゴット。
「異世界転生者を研究するのではなく、異世界転生者を使った研究だ。分かるね?」
とイーハン教授。
「スラッルス・トークンは、見つかったら、使われる。
使われたら、生きて帰ってこれない。
研究者が、手出しできないように、クークード遺跡を引き継ぐ者として、スラッルス・トークン自身の名をあげる。
ニンデリー王立学園に在学中は、有効な手段ということですね。
他に対策はできますか?」
とマーゴット。
「一緒に戦えるように、家族関係を良好にしておく。
それが難しいなら、色々なものと戦っても、自身の力で勝てるようになっておくことだね。」
とイーハン教授。
「色々とは、権力者相手ですか?」
とマーゴット。
「実際の戦闘もだね。」
と話すイーハン教授は、寂しそうな目をした。
目撃したのだろうか?
抵抗の末、敗れていなくなった学生の姿を。
「異世界転生者を使うんですか?」
スラッルス・トークンは、やっと自身で質問できた。
「そうだね。ゼーゼ教授の『魔法の進化』は、魔法がない世界にいた人間が、魔法を使えるようになった現象を、人為的に再現する方法を研究している。」
とイーハン教授。
「クークード遺跡の中を見て、見たことがあり、元の使い方を知っている。
魔法を本能で使いこなしておらず、頭で考えて使う。
今日、クークード遺跡の中で、この2点が当てはまるのは、1人だけだね。」
とイーハン教授。
「だから、俺に忠告を。」
とスラッルス・トークン。
「マーゴットも聞いていますけど、いいんですか?マーゴットは、違いますよね。」
「ガランの御息女だからね。」
とイーハン教授。
マーゴット自身のことについては、我関せずなマーゴット。
「最初から、猟奇的な研究でしたか?」
とマーゴット。
「いや、最初は、平和的だったよ。色々あって、途中から、猟奇的にならざるをえなくなったね。」
とイーハン教授。
「学内の再編が関係していますか?それとも、第1王子派と第2王子派の確執が関係していますか?」
とマーゴット。
「どちらも無関係とは言えないね。」
イーハン教授。
「ありがとうございます。」
とマーゴット。
「別件ですが、この鯉は、いつ来てもいますか?」
「この池の鯉は、異世界から、落っこちてきた鯉を集めているんだ。」
イーハン教授は、マーゴットの年相応の瞳の輝きを微笑ましく見ている。
「落っこちてくるんですか、鯉が。」
スラッルス・トークンは、空から鯉が降ってくる光景を思い浮かべた。
「ある時、池ごと落ちているのを見つけて、池ごとクークード遺跡に運んだ。
その池が、今目の前にある池だね。
その後は、落ちてきた鯉はこの池に転送するようになっている。
鯉は、定期的に落ちてくるから、いつ来てもいるよ。」
とイーハン教授。
「鯉、転送できるんですか?生きたまま?」
とスラッルス・トークン。
「それなりに高度な技術と理論の組み合わせだから、誰でも、は難しい。
しかし、クークード遺跡に関わる者は、困難に打ち克つ喜びにふるえるね。」
とイーハン教授。
「趣味の人の趣味って、人生なんですか?」
思わず、聞いてしまったスラッルス・トークン。
その質問には、笑って答えなかったイーハン教授は、スラッルス・トークンの両肩に手を乗せた。
「君が、どのように成長してクークード遺跡に関わっていくか、楽しみにしている。」
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