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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

215.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。『大好きな人には、嫌われる。大好きな人は、離れていく。なら、呼んでくれる人のところは、どうかな?』

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レベッカ・ショアは、自分を誘ってくれる人にすがりたくなった。

レベッカ・ショアが、唯一無二の親友だと思っていたバネッサとは、もう元の関係に戻れない。

レベッカ・ショアは、誤解がとけて、謝ってもらえれば、バネッサといたいと思う気持ちもある。

でも、バネッサを見る限り、その望みは叶わなそうだ。 

バネッサに、レベッカ・ショアと仲直りしようという気持ちが感じられない。

バネッサは。
敵に囲まれて、逃げることを選択したレベッカ・ショアと、袂を分かったのだ。

私は、大好きな人に、嫌われてしまう。

大好きな人と、一緒にいたいと思って、行動すればするほど、墓穴を掘る。

大好きな人に、嫌われて、大好きな人が離れていくのを止められずに、1人になるくらいなら。

私のことを呼んでくれる人についていくのも、悪くないかな。

私の人生、ぐちゃぐちゃなんだもん。

もう、私にはどうしようもない。

苦しいのも、悲しいのも、ないんだっけ?

それなら、いいかもしれない。

こんなに、苦しい思いばかりして生きていくのは、もう嫌。

「おじさん、誰?」
とレベッカ・ショア。

「「「おじさん。」」」
バネッサとクロッグ・カーブと、成人男性の声がかぶった。

明らかに貴族であろう成人男性に、呼びかける言葉が、『おじさん』。

成人男性の半分以下の年齢の少女が、無意識に発した言葉なゆえ、『おじさん』は、レベッカ・ショアを除いた全員にダイレクトにささった。

レベッカ・ショアの『おじさん』発言は、
『ああ、あの人、おじさんだな。』
と、成人男性についての認識を全員に刷り込んでしまった。

『おじさん』呼ばわりされた成人男性は、おじさん扱いされたこともなければ、面と向かって、呼びかけられたこともない。

あまりの不愉快さに、怒鳴り散らしそうになった。

しかし、明らかに、
『おじさんだよね。確かにね。』
という雰囲気が形成されていたので、すんでのところで、こらえた。

「私は、おじさんではない。
私はパートラン。
パートラン卿と呼びなさい。
レベッカ・ショアを必要としている者のために、この私が来てやった。」
と成人男性。

「おじさんが、私に来てほしいんじゃないの?
誰が私に来てほしいの?」
とレベッカ・ショア。

頭が働いていない状態のレベッカ・ショアは、『おじさん』以外の呼称に気が回らない。


バネッサは、静かに待っていた。

パートラン卿を名乗る人物がどこの回し者か、帰宅したら、調べなくては。

そして、レベッカが、パートラン卿を遣わした人物、もしくは、関係者を問う質問を何も考えずに発したお陰で、もう少して、後ろ盾が分かりそう。

パートラン卿は、レベッカ・ショアを石ころを蹴るような目で見ていった。

「ゼーゼだ。
ヒイロ・ゼーゼ。
私より若い男だよ。

他にも若い貴族が、レベッカ・ショアを待っている。

早くしたまえ。
今日、私が来たことに感謝するんだな。」
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