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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

239.平民女子学生ベリーベリー・イニー。貴族と付き合うときの心得。『最近、ちらちら、見られている。』

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魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアー以降。

ベリーベリー・イニーは、貴族の女子の組み合わせが変更したことに気づいた。

バネッサにべったりだったレベッカの隣は、キャスリーヌに代わった。

マーゴットは、キャスリーヌと一緒にレベッカの教育にあたっているが、全体を俯瞰していることの方が多い。

レベッカがべったりしなくなった分、ベリーベリー・イニーとバネッサの会話が増えた。

クロッグ・カーブは、見学ツアー以降、マーゴット、キャスリーヌ、バネッサを見ると、青筋たてて睨みながら、逃げていく。

スラッルス・トークンは、その時々で、あっちやこっちの会話に加わっている。

スラッルス・トークンは、クークード遺跡を引き継ぐ者を目指したいと派手にぶち上げた名残りで、たまに大将呼ばわりされて、見学ツアー前より、周りに溶け込んでいる。

ベリーベリー・イニーは、見学ツアーで、自分の名前が呼ばれなかったことに対し、『どうして呼ばなかった?』と問いただすことはしない。

貴族が、貴族に呼びかけるタイミングで、平民のベリーベリー・イニーの名前を呼ばなかったなら。

それは、貴族の話だからだ。

貴族の話は、平民が面白半分に首を突っ込むものではない。

貴族に呼ばれないなら、それは、踏み込んでくるな、のサイン。

貴族と付き合いを続けたいなら、サインを読み誤ってはならない。

貴族が、触れない話題には触れない。

マーゴットの交流範囲の中で、クロッグ・カーブがいなくなり、唯一の平民となったベリーベリー・イニー。

ベリーベリー・イニーは、マーゴット、キャスリーヌ、バネッサと話すのが日課になってから、貴族との付き合いについて、両親に確認している。

マーゴット、キャスリーヌ、バネッサが、コーハ王国の貴族だと聞いた父の助言は、
『どんなに親しくなっても、その3人のご令嬢とは、節度をもって接しなさい。

コーハ王国は建国以来、階級社会が崩れたことがない。

ここが、外国だから、コーハ王国の貴族は、郷に入れば郷に従ってくれている。

国に戻れば、貴族と平民は綺麗に棲み分けがされていて、階級が違う層とは、私的な交流をしない。』
だった。

ベリーベリー・イニーの父は、仕事で世界を移動するから、外れたことは言っていないはず。

ベリーベリー・イニーは、貴族が明かさない手の内を暴きにいくような冒険をしようとは考えないので、貴族女子は、組み合わせが変わった、という事実のみ受け入れている。


ベリーベリー・イニーの楽しい友達付き合いに、ちらちら、ちらちら、と視線を寄越してくる人がいる。

ベリーベリー・イニーが、距離をおいた、新入生の平民クラスのクラスメイトで、ベリーベリー・イニーの元友人であり、平民寮に入っている平民の女子学生だ。

マーゴット、キャスリーヌ、バネッサ、スラッルス・トークン、レベッカ・ショアと一緒にいない時は、見てこない。

一緒にいると。
ちらちら、ちらちら。
めちゃくちゃ見られている。

用事があるなら、そのうちなんらかのアクションをしてくるだろう。

ベリーベリー・イニーからは、動かない。
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