子爵令嬢マーゴットの学園無双。相棒ミノカサゴの助言、知恵、剣と魔法、権力、資金力を使って、側近兼友人のキャスリーヌと、快適な学生生活を。

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

356.お嬢様方は、闇夜に慣れていらっしゃっいますか？

「スラッルス・トークン。シグル・ドレマンが帰ってきたら、うるさくなるから、今のうちに、寝ておきなさい。」
とマーゴット。

「生きているにしても、死んでいるにしても、大騒ぎだよ。」
とキャスリーヌ。

「怪我人の体力回復は最優先よ。」
とバネッサ。

「いつ、決行？」
とレベッカ・ショア。

「目撃者を減らす夜。」
とマーゴット。

「月明かりは？」
とスラッルス・トークン。
今夜あたり、新月だった気がする。

心霊スポット巡りの日は、新月だと暗すぎるから、前倒しにしたのだ。

「問題ないわよ。」
とバネッサ。

「普段から慣らしているよ。」
とキャスリーヌ。

「慣らしているのか？」
とスラッルス・トークン。

「キャスリーヌは、資産家の男爵家のご令嬢だよなー？」
思わず聞いてしまうスラッルス・トークン。

「闇に紛れてくるお客様もいるんだよ。」
とキャスリーヌ。

「ろくでもない客だな！」
とスラッルス・トークン。

「私、暗闇は、経験がない。」
とレベッカ・ショア。

「レベッカ・ショアは、見張り。」
とマーゴット。

「見張り？暗闇じゃあ、見えないよ。」
とレベッカ・ショア。

「レベッカ・ショアは、既に注目の的。」
とマーゴット。

「狙われているもんね、私。実験の素材として。」
とレベッカ・ショア。

「いつの間にか、姿を消したという状態が、一番捜索し辛い。」
とマーゴット。

「3人と別行動だから、私の居場所は、いつでも分かる状態にしておくんだね？私は、見張りみたいなポジションなんだね。」
とレベッカ・ショア。

「バネッサが、問題ないのは？伯爵令嬢だよなー？」
ついでに聞いてしまうスラッルス・トークン。

「面倒事は、寝静まってからの方が多いのよ。」
とバネッサ。

え？刺客？
それとも、夜襲？
スラッルス・トークンは思い当たった単語を口に出さなかった。

バネッサの笑顔が、口を開いてはいけないとスラッルス・トークンの本能に語りかけていた。

単純な犯罪ではない、政治的なお話が絡んでくるに違いない。

スラッルス・トークンは、マーゴットにも聞いてみた。

「マーゴットは？」
とスラッルス・トークン。

「訓練。」
とマーゴット。

「訓練するんだ。」
とスラッルス・トークン。

まさか、落城のときに、逃げ出すとか、そういう訓練じゃ？
と恐れおののくスラッルス・トークン。

スラッルス・トークンの顔を見て、誤解が生じていると察したマーゴット。

「軍事訓練。」
とマーゴット。

「軍があるんだ。国境だもんなー。」
とスラッルス・トークン。


マーゴット、キャスリーヌ、バネッサ、レベッカ・ショアの4人は、スラッルス・トークンに、早めのお休みを言って、部屋を出る。

キリルの業者集めまでに、ベリーベリー・イニー親子の部屋に移動して、親子と話をしよう。

シグル・ドレマンが生きていない可能性があるなら、その話も、ベリーベリー・イニー親子しておかないと。