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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

461.可哀想だから?負い目があるから?そんな理由で、人一人の人生をいつまで、おんぶに抱っこする気?

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ソラッドロス王太子殿下は、チェール・モンスを母国に戻すには、障害しかないことをマーゴットに打ち明けた。

ソラッドロス王太子殿下は、チェール・モンスを連れ出した経緯を聞いたマーゴットは、驚かなかった。

「驚かないのだな?」
とソラッドロス王太子殿下。

「チェール・モンスを見て、ソラッドロス王太子殿下の話を聞く限り、驚く理由がない。」
とマーゴット。

マーゴットは、チェール・モンスに尋ねる。

「チェール・モンス。
成人してからも、人間として生きていきたいなら、一時的にソラッドロス王太子殿下から離れなさい。

ソラッドロス王太子殿下の庇護のもと、世間から隔離されてきたチェール・モンスが、不法入国者として、国外退去処分になった後。

チェール・モンスは、すぐに犯罪組織に回収されて、犯罪組織で酷使された後、使い物にならなくなったと見捨てられて捕まって処刑されるか、組織内で嬲り殺しにあう。」

「そんな、酷いことが。」
とチェール・モンス。

「ニンデリー王国が、チェール・モンスの母国と国同士のやり取りをすることは、不可能ではない。

チェール・モンスが出国してから、今までに、チェール・モンスの不法入国問題を解決できるだけの時間は十分あった。

なぜ、チェール・モンスの問題が、未解決?

答えは、一つ。
誰も解決しようとしなかったから。

原因は、はっきりしている。

チェール・モンス自身が、自分自身の身の振り方に、無知なため。

チェール・モンスは、自分自身の決断さえ、ソラッドロス王太子殿下に委ねなくてはならないほど、決断する力がない。

チェール・モンスには、己が無知であるという自覚がない。

ソラッドロス王太子殿下は、周囲が動くことによって、物事が進むことが少なくない立場。

ソラッドロス王太子殿下。
周囲が、ソラッドロス王太子殿下に望んでいないことは、ソラッドロス王太子殿下自身で周囲を説得して、周囲を動かさないと、周囲は動かない。

ソラッドロス王太子殿下の周囲が、チェール・モンスの成人後について、ソラッドロス王太子殿下に伝えてこなかった、ということは、ソラッドロス王太子殿下の周囲は、昔も今も、チェール・モンスを歓迎していない。

チェール・モンスを守る鍵は、チェール・モンス自身が賢くなること。

地盤がぐらついているソラッドロス王太子殿下が、今後もチェール・モンスの人生を背負っていく余裕はない。

チェール・モンス。
人生の責任を自分以外に背負ってもらわなければ生きていけないような生き方では、遅かれ早かれ、ソラッドロス王太子殿下と同じ歩調で歩けなくなる。

ソラッドロス王太子殿下の周囲から取り除かれる理由は、チェール・モンスが呪術を使うから、ではなく、甘えた人間性。

チェール・モンス。
これからの自分の人生には、自分で責任を持ちなさい。

まずは、不法入国者のままでいるか、どうか。

考える時間と調べる時間を与える。

二年目の最初の登校日までに、結論を出しなさい。

登校日に、わたしを探して、チェール・モンス自身の口から、わたしに報告すること。」
とマーゴット。
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