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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

507.チェール・モンスは、勝手に決められたくない。研究者の青年は、マーゴットにアドバイス。『王太子殿下と生きたいなら、賢くなりなさい。』

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研究者の青年は、不思議に思った。

チェール・モンスこそ、国外脱出させるべきでは?

「チェール・モンスくんは、ニンデリー王国にとどまるんですか?
チェール・モンスくんは、知りすぎていますけど。」
と研究者の青年は聞いてみた。

「チェール・モンスは、密入国。
今、出国しようとすれば、王太子殿下諸共命運が尽きる。

ニンデリー王立学園内に学生としている方が安全。」
とマーゴット。

「ん?はい?密入国?」
と研究者の青年は、目を白黒させた。

不意打ちで、聞いてはならぬ情報を増やしてしまった研究者の青年は、秘密が重すぎる、と思った。

研究者の青年は、キャスリーヌの下にいなかったら、口封じから免れなかったことを実感した。

研究開発に関わった関係者は全員、成功したら、闇に葬られるパターンに、完全にあてはまっている。

チェール・モンスは、王太子殿下がどうにかして逃がすだろう。

研究者の青年は、どう頑張っても、逃がしてもらえまい。

キャスリーヌ様々。
と研究者の青年は、キャスリーヌに手を合わせて拝んだ。

「チェール・モンスは、外交ルートで、成人前には、出生国に戻る。
外交ルートが整うまでは、出国しない。」
とマーゴット。

「私のことなのに、何でもかんでも勝手に決めないでもらいたい。」
とチェール・モンスは、精一杯の虚勢を張った。

「チェール・モンスが、自分自身で身の振り方を考えるのは、不法入国者ではなく、正規の入国者となり、常識と社会性を身につけてからになる。」
とマーゴット。

チェール・モンスは、全く納得していない、という顔のままだ。

「私からすれば、正論過ぎて、ぐうの音も出ません。

ですが、常識が足りないチェール・モンスくんに、正論をといても、理解させるのは難しいと思います。」
と研究者の青年は、マーゴットに説明した。

チェール・モンスのレベルでも理解できる言い方に変えるように、と研究者の青年は示唆した。

「理解しない人もいる、理解できない人もいる、ということ。」
とマーゴットは、納得した。

生粋の大貴族のご令嬢は、割り切り方が違うんだ、と研究者の青年は思った。

マーゴットは、自分の話すことを相手が理解するか、しないか、という捉え方で話している。

理解してもらおう、という発想ではない。

上に立つ人の考え方だ、マーゴット・ガランという少女には逆らわないでおこう、と研究者の青年は、思った。

「不法入国者のチェール・モンスは、身を守るものがない。

チェール・モンスが王太子殿下の側にいられるのは、見逃されてきただけで、認められてきたわけではない。

チェール・モンス。

ニンデリー王国の王太子殿下の側に堂々と居場所を作りたいなら。

王太子殿下とチェール・モンスが死なずに済み、苦しみを少なくして生きていく方法がないかを探し出せるくらいに、チェール・モンスが賢くなりなさい。」
とマーゴット。
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