子爵令嬢マーゴットの学園無双。相棒ミノカサゴの助言、知恵、剣と魔法、権力、資金力を使って、側近兼友人のキャスリーヌと、快適な学生生活を。

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

547.マーゴット。キャスリーヌの狙いは、レーイーエール・サバンナパークの実力を発揮させること。ひよっこ3人の体に異変が。ひよっこの布は？

キャスリーヌが、布人間レーイーエール・サバンナパークに冷水をかけているのをマーゴットは確認した。

キャスリーヌの実験は、どうに見ても、少女のいたずら、遊びにしか見えない。　

布人間レーイーエール・サバンナパークが攻撃に出ずに、やかんから注がれてくる冷水を避けることに徹しているのは、明確な殺意を持った攻撃ではないからだろう。

マーゴットは、キャスリーヌの狙いが分かっている。

臨床試験をするときに、過度な精神的ストレスを与えると正確なデータが取れないかもしれない。

布人間レーイーエール・サバンナパークに過度なストレスをかけないようにしながら、その実力を引き出すつもりだろう。

げんに、布人間レーイーエール・サバンナパークは、多少、肩の力を抜いた状態になっている。

布人間レーイーエール・サバンナパークの戦い方をバネッサは知っておく方がいい。

今後、バネッサの知らなかった戦い方をする敵が、襲撃者として現れることになる。

バネッサは、現在進行系でニンデリー王国の一部の王侯貴族から狙われていることが判明した。

今回襲撃者を退けても、次から次へと、あの手この手で湧いてくる。

ニンデリー王国の中枢が、バネッサを王家の嫁として迎え入れると決めたなら。

一度の失敗ではひくまい。

表面的には、ニンデリー王国の王家の魔力問題が、バネッサを嫁にしたい原因だが。

問題の根幹は、ニンデリー王国の国土を国王陛下の魔力で覆い、全国民の魔力量をかさ上げすることになった魔法システムの存在だ。

魔法システムは、ニンデリー王国の建国まで遡って、なかったことにするわけにはいかない。

魔法システムを変更するかなくしてしまうか、するまで。

バネッサには戦って勝ち星を上げ続けてもらわなくては。

マーゴットは、次期オッドア伯爵にバネッサをたてると決めた。


ひよっこの3人は、体内の圧迫感に苦しんでいた。

食べすぎたり飲みすぎたりして、消化と吸収が可能な量以上を接種すると、人体はどうなるか？

上と下から放出する。

消化できていないままの固形物が混ざったりしているかもしれない。

人によっては、半日くらいトイレから出てこないかもしれない。

ひよっこ3人の体表は、ひよっこ自身の魔力を使って閉じられている。

ひよっこ3人が自由に魔力を出せるのは口のみ。

ひよっこ3人の体内で許容量を超えそうになった魔力は。

唯一開放されている口を目指した。

デロンデロンデロンデロン。

ひよっこ達3人は、道に吐瀉物と魔力を吐き出していく。

ひよっこ達の体に巻き付いていた布は、ひよっこ達の口から吐き出された魔力に反応して、戻ってきた。

ひよっこ達が吐き戻した魔力を、布が吸収していく。

吐瀉物は、布に吸収されないようで、魔力を吸収した布にベチャっと残った。

ひよっこの体に巻き付いていた布は、ひよっこに魔力を渡して、ひよっこが使わない魔力を回収する仕組みになっている。

布は、繰り返し利用することが可能ということか。