22 / 520
22.ラキちゃんは、言った。『内野が、内野に攻撃するのはルール違反だから、正当防衛が成立する。』
しおりを挟む
「自分で考えることを止めたとき、人の退化は始まる。
元々の知能が、四十点か九十点かで、出発点は異なるけど、右肩下がりになっていく。
人生と知能は、比例するか、反比例するか。
反比例すると歴史が証明するなら、人は知能を上げようとはしなかった。」
とラキちゃん。
ラキちゃんは、どんな場面でも、冷静で辛辣。
ふーくんは、今からでも、ラキちゃんにごめんなさいをした方がいい。
気が進まないまま、重い足取りで向かってくるふーくんに、ラキちゃんは、淡々と話す。
テニス経験者っぽい男は、男リーダーの指示で、投げるのを中断し、先行きを見守っている。
外野にいる紅一点は、のろのろと歩くふーくんにフリスビーを投げつけている。
紅一点の事情について、ラキちゃんの推測が当たっていそうで、なんともいえない。
「ふーくんは、お勉強ができないわけではなかったのに。
真っ先に逮捕される下っ端って、完全に無学な人は少ないよ。
無学過ぎると、下っ端に向かない。
弁える頭がないと、下っ端として、使えない。」
とラキちゃん。
「ごめん、ごめん、ラキちゃん。
こうするしかないんだ。」
とふーくん。
謝り倒しながら、ラキちゃんに危害を加えにいくのを中止しないふーくん。
「腰巾着というより、パシラされて捕まる人の言い訳をふーくんの口から聞く日が来るとは。」
と語るラキちゃんは、淡々としている。
ふーくんは、ラキちゃんと目を合わせないようにしている。
ラキちゃんの顔を見ないように、斜め下を向いているふーくん。
「ラキちゃんには悪いとは思う。
でも、俺を恨まないでほしい。
これは、デスゲームなんだろ?
ラキちゃんは、ヘマして、デスゲームに参加することになったんだから、ラキちゃんが、デスゲームしているのは、俺のせいじゃない。
俺は悪くない。
デスゲームだから、恨みっこなし。」
とふーくんは、言い訳ではなく、自己弁護を繰り返しながら、ラキちゃんにタックルをかけにいった。
「内野が、内野に攻撃するのは、ルール違反だから、正当防衛が成立する。」
とラキちゃん。
タックルをかけにいくふーくんは、ラキちゃんを直視できずに、ラキちゃんの足元ばかりを見ている。
「へげえ!」
とふーくんが叫んで、地面に転がった。
罪悪感から、ラキちゃんの足元に視線を落としたまま、顔を上げていなかったふーくんは、ラキちゃんの上半身の動きが見えていなかった。
ラキちゃんは、両手を一つに握り、握り拳をふーくんの脳天に落として、ふーくんの頭が下がったタイミングで、ふーくんの顔面に膝蹴りをかましていた。
ラキちゃんが、流れるように、ふーくんへ暴力をふるう姿に、俺は、言葉を失った。
ラキちゃんは、平常心を守ったまま、動揺することなく、暴力をふるった。
ラキちゃん自身が助けようと、助言し続けていたふーくんに暴力をふるうことに、ラキちゃんは迷わなかった。
俺は、誰かに進んで、暴力をふるおう、と思ったことはない。
暴れているやつを見て、逃げそびれたやつを見て、何もせずにそこにいるのが、俺だった。
俺は、傍観者でいることに、安心して、今日まで生きてきた。
デスゲームも、他人として見ている分には、ちょうどよかった。
どんなえげつないシーンを見ても、動画と俺とは関係ない、という、あってないような、どうしようもない確証が、動画を見る俺の正当性を証明しているような気がしていた。
ラキちゃんは、手加減なしに、ふーくんの顔面に膝蹴りを入れていた。
ふーくんの顔面のどこかは、骨折しているだろう。
ふーくんに膝蹴りをしたあと、ラキちゃんは、床に転がって顔面を押さえているふーくんの足元に回った。
ラキちゃんは、顔面の痛みに気を取られているふーくんの無防備な足首に、体重をかけた。
「うがああ。痛い、痛い、助けて、助けて。」
と懇願しながら泣き叫ぶふーくんは、顔面から血を流している。
ふーくんは、もう、ドッジボールの攻撃を躱すことはできない。
うめきながら、血と涙と鼻水を地面に垂れ流すふーくん。
ラキちゃんは、ふーくんが無力化した、と判断したのか、顔面と片足の足首を押さえているふーくんから離れた。
ラキちゃんは、ふーくんから視線を外し、男リーダーを見ている。
「私をさしおいて、生きていけるとは考えないように、と最初に私が言った結果が、これ?」
とラキちゃん。
元々の知能が、四十点か九十点かで、出発点は異なるけど、右肩下がりになっていく。
人生と知能は、比例するか、反比例するか。
反比例すると歴史が証明するなら、人は知能を上げようとはしなかった。」
とラキちゃん。
ラキちゃんは、どんな場面でも、冷静で辛辣。
ふーくんは、今からでも、ラキちゃんにごめんなさいをした方がいい。
気が進まないまま、重い足取りで向かってくるふーくんに、ラキちゃんは、淡々と話す。
テニス経験者っぽい男は、男リーダーの指示で、投げるのを中断し、先行きを見守っている。
外野にいる紅一点は、のろのろと歩くふーくんにフリスビーを投げつけている。
紅一点の事情について、ラキちゃんの推測が当たっていそうで、なんともいえない。
「ふーくんは、お勉強ができないわけではなかったのに。
真っ先に逮捕される下っ端って、完全に無学な人は少ないよ。
無学過ぎると、下っ端に向かない。
弁える頭がないと、下っ端として、使えない。」
とラキちゃん。
「ごめん、ごめん、ラキちゃん。
こうするしかないんだ。」
とふーくん。
謝り倒しながら、ラキちゃんに危害を加えにいくのを中止しないふーくん。
「腰巾着というより、パシラされて捕まる人の言い訳をふーくんの口から聞く日が来るとは。」
と語るラキちゃんは、淡々としている。
ふーくんは、ラキちゃんと目を合わせないようにしている。
ラキちゃんの顔を見ないように、斜め下を向いているふーくん。
「ラキちゃんには悪いとは思う。
でも、俺を恨まないでほしい。
これは、デスゲームなんだろ?
ラキちゃんは、ヘマして、デスゲームに参加することになったんだから、ラキちゃんが、デスゲームしているのは、俺のせいじゃない。
俺は悪くない。
デスゲームだから、恨みっこなし。」
とふーくんは、言い訳ではなく、自己弁護を繰り返しながら、ラキちゃんにタックルをかけにいった。
「内野が、内野に攻撃するのは、ルール違反だから、正当防衛が成立する。」
とラキちゃん。
タックルをかけにいくふーくんは、ラキちゃんを直視できずに、ラキちゃんの足元ばかりを見ている。
「へげえ!」
とふーくんが叫んで、地面に転がった。
罪悪感から、ラキちゃんの足元に視線を落としたまま、顔を上げていなかったふーくんは、ラキちゃんの上半身の動きが見えていなかった。
ラキちゃんは、両手を一つに握り、握り拳をふーくんの脳天に落として、ふーくんの頭が下がったタイミングで、ふーくんの顔面に膝蹴りをかましていた。
ラキちゃんが、流れるように、ふーくんへ暴力をふるう姿に、俺は、言葉を失った。
ラキちゃんは、平常心を守ったまま、動揺することなく、暴力をふるった。
ラキちゃん自身が助けようと、助言し続けていたふーくんに暴力をふるうことに、ラキちゃんは迷わなかった。
俺は、誰かに進んで、暴力をふるおう、と思ったことはない。
暴れているやつを見て、逃げそびれたやつを見て、何もせずにそこにいるのが、俺だった。
俺は、傍観者でいることに、安心して、今日まで生きてきた。
デスゲームも、他人として見ている分には、ちょうどよかった。
どんなえげつないシーンを見ても、動画と俺とは関係ない、という、あってないような、どうしようもない確証が、動画を見る俺の正当性を証明しているような気がしていた。
ラキちゃんは、手加減なしに、ふーくんの顔面に膝蹴りを入れていた。
ふーくんの顔面のどこかは、骨折しているだろう。
ふーくんに膝蹴りをしたあと、ラキちゃんは、床に転がって顔面を押さえているふーくんの足元に回った。
ラキちゃんは、顔面の痛みに気を取られているふーくんの無防備な足首に、体重をかけた。
「うがああ。痛い、痛い、助けて、助けて。」
と懇願しながら泣き叫ぶふーくんは、顔面から血を流している。
ふーくんは、もう、ドッジボールの攻撃を躱すことはできない。
うめきながら、血と涙と鼻水を地面に垂れ流すふーくん。
ラキちゃんは、ふーくんが無力化した、と判断したのか、顔面と片足の足首を押さえているふーくんから離れた。
ラキちゃんは、ふーくんから視線を外し、男リーダーを見ている。
「私をさしおいて、生きていけるとは考えないように、と最初に私が言った結果が、これ?」
とラキちゃん。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる