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98.元刑事、野村レオ直伝、人の殺し方講座、入門編。野村レオのいない方の捜査本部には、気骨のある刑事が二人いた。その二人は、捜査本部解散後?
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元刑事、野村レオによる、人殺しになるための入門講座が開講した。
「最初は、思い切って、飛び込んでこい。
怖じ気付く前に、踏み出せ。
人を殺すには、瞬発力がいる。
瞬発力を出すには、度胸だ。
技術は後でいい。」
野村レオに促されるまま、鎌の刃を縦にして、野村レオに向かってぶつかりにいく。
「その調子だ。繰り返せ。」
野村レオは、鎌で鎌を防ぎながら、俺を遠ざける。
俺は、今の位置から五歩後退。
勢いつけて、野村レオに鎌ごとぶつかりにいっては、弾かれる、を繰り返した。
「レオは、仏頂面以外もできたのです?」
と北白川サナ。
「仏頂面?睨みをきかせるためだ。」
と野村レオ。
「怖くないです。」
と北白川サナ。
「サナを怖がらせても、意味はないだろう。
手を出させないための威圧だ。
覚悟が決まっているやつには、効かない。」
野村レオと北白川サナは、俺の練習の邪魔にならないように、会話しながら、タイミングを見計らっている。
野村レオは、刑事として優秀だったんだと思う。
俺は、野村レオに鎌ごとぶつかりにいきながら、ふと気になった。
「野村レオのいない方の捜査本部は、成果をあげないまま解散になったのか?」
成果をあげないまま、解散するのは、警察全体として必要だったとしても。
捜査本部の刑事には、屈辱だったのではないだろうか?
野村レオが、いない方の捜査本部は、捜査をしないようにしていた、ということだろう?
『仕事はするなよ。
仕事をしているフリだけでいいから。
ほとぼりがさめるまで、大人しくしていろ。』
仕事をしなくていいや、ラッキーと思える人は、喜ぶかもしれないが。
「最初から、成果をあげないことを言い含めた上での人選だったとも言える。」
と野村レオ。
「苦肉の策か。」
野村レオに鎌で押し返された俺は、たたらを踏む。
「そうだ。
ただ、事情を聞かされていないのか。
事情を知っていても従う気がなかったのか。
積極的に捜査に取り組んだ若手はいた。」
と野村レオ。
「その若手は、無事なのか?」
「二人いたが、捜査本部の解散と同時に、年長者から順に出向することが決まった、と聞いている。」
と野村レオ。
出向?
野村レオのいた捜査本部とは、扱いが違いすぎないか?
「その二人、退職を迫られたりはしなかったのか?」
「退職させるのは危ないから、保護のために出向になったという話を聞いた。」
と野村レオ。
「危ない?
警察として、二人を守れないからか?
野村レオの話を聞くと。
警察は、この件で、刑事を守る気があったのか?
警察組織を守ろうという印象は受けるが。」
「二人とも女性だった。
退職すると、元刑事ということで、狙われて危ないという情報が入ったのだろう。」
と野村レオ。
御礼参りだと、捕まえた犯人が逆恨みして、襲ってくるわけだが。
逃走犯を探したけれど見つけられなかったという元刑事に対して。
逃走犯の関係者が、探すなという指示に従わないから、と見せしめにすることが、まかり通る話になっている。
ゾッとする。
「危ない目にあいそうな女性二人の出向を受け入れてくれるような場所が、日本にあったのか?」
警察に圧力をかけてくる誰かに探し当てられずに、長期的に避難することができる場所なんて、今の日本に存在するか?
日本に、安全な場所がないからといって、国外には、出さないだろう。
国外で、日本の刑事が殺害されたら、日本の警察だけの話では済まなくなる。
「あったそうだ。
俺は、知らなかったが、話だけは聞いている。
二人の女性は、出向の話を提示され、周りに相談をもちかけた。
相談元から、話が漏れて聞こえてきた。」
と野村レオ。
相談された方も、誰かに相談したかったのか。
「余程、条件の悪い出向先だったのか。」
何度も鎌ごと野村レオに突撃するうちに、武器を持っているという感覚が鈍ってくる。
武器を持って、武器を人に向けることに慣れてくる。
感覚が、麻痺してくる、とも言い換えられるだろう。
「外部からの人の出入りが厳しく制限されている。
招待されないと入れない場所らしい。
最近新しく作られたから、そこのセキュリティは、日本最高レベル。
その中にいる限り、暗殺される心配はない。
そういう建物の中で生活することになる、と説明されたそうだ。」
と野村レオ。
「ありの子一匹さえも見逃さない仕様か。」
野村レオは、突っ込む勢いを殺すな、と俺に言った。
「走り出したら、止まるな。
立ち止まると、殺せなくなる。」
と野村レオ。
「分かった。」
俺は、足にブレーキをかけないことを意識した。
「二人が、出向先に不満を覚えたのは、出向先の規則の厳しさだ。
日本最高レベルのセキュリティを維持するために、その場所についての情報は、一切開示しない。
私物は、例外なく持ち込めない。
と聞いたそうだ。」
と野村レオ。
「予備知識なく出向先に行くのは、やり辛いだろうとは思うが、命には代えられないだろう。」
出向先で、平穏に過ごせるなら、持ち物を持ち込めなくても、我慢できるのではないか。
「何箇所か経由していき、最終目的地に着くときは、寝ている状態で入ることになる。
出るときは、管理者の許可がおりたときのみ。
この規則に対し、二人とも猛反発をしていた。
『刑務所と何が違う?』と二人の女性は、不安になったそうだ。
年上の方が先に行くことになった、というところまで、俺は知っている。
行きたくないと二人とも拒否したが、出向するように、との辞令が出て、年次が上の女刑事が、先に行くことで話がついた。」
と野村レオ。
俺は、加速するために、十歩ばかり離れて走り出す。
俺は、走りながら、野村レオの話を聞き、その女性の出向先について、一つの可能性に思い当たった。
「その年上の方も、刑事であっているか?」
「年上も年下も、どちらも女刑事だ。」
と野村レオ。
二人の女刑事の出向先の心当たりが、一つある。
俺は、ダメ元で、野村レオに聞いてみた。
「二人の名前は、なんという?」
「最初は、思い切って、飛び込んでこい。
怖じ気付く前に、踏み出せ。
人を殺すには、瞬発力がいる。
瞬発力を出すには、度胸だ。
技術は後でいい。」
野村レオに促されるまま、鎌の刃を縦にして、野村レオに向かってぶつかりにいく。
「その調子だ。繰り返せ。」
野村レオは、鎌で鎌を防ぎながら、俺を遠ざける。
俺は、今の位置から五歩後退。
勢いつけて、野村レオに鎌ごとぶつかりにいっては、弾かれる、を繰り返した。
「レオは、仏頂面以外もできたのです?」
と北白川サナ。
「仏頂面?睨みをきかせるためだ。」
と野村レオ。
「怖くないです。」
と北白川サナ。
「サナを怖がらせても、意味はないだろう。
手を出させないための威圧だ。
覚悟が決まっているやつには、効かない。」
野村レオと北白川サナは、俺の練習の邪魔にならないように、会話しながら、タイミングを見計らっている。
野村レオは、刑事として優秀だったんだと思う。
俺は、野村レオに鎌ごとぶつかりにいきながら、ふと気になった。
「野村レオのいない方の捜査本部は、成果をあげないまま解散になったのか?」
成果をあげないまま、解散するのは、警察全体として必要だったとしても。
捜査本部の刑事には、屈辱だったのではないだろうか?
野村レオが、いない方の捜査本部は、捜査をしないようにしていた、ということだろう?
『仕事はするなよ。
仕事をしているフリだけでいいから。
ほとぼりがさめるまで、大人しくしていろ。』
仕事をしなくていいや、ラッキーと思える人は、喜ぶかもしれないが。
「最初から、成果をあげないことを言い含めた上での人選だったとも言える。」
と野村レオ。
「苦肉の策か。」
野村レオに鎌で押し返された俺は、たたらを踏む。
「そうだ。
ただ、事情を聞かされていないのか。
事情を知っていても従う気がなかったのか。
積極的に捜査に取り組んだ若手はいた。」
と野村レオ。
「その若手は、無事なのか?」
「二人いたが、捜査本部の解散と同時に、年長者から順に出向することが決まった、と聞いている。」
と野村レオ。
出向?
野村レオのいた捜査本部とは、扱いが違いすぎないか?
「その二人、退職を迫られたりはしなかったのか?」
「退職させるのは危ないから、保護のために出向になったという話を聞いた。」
と野村レオ。
「危ない?
警察として、二人を守れないからか?
野村レオの話を聞くと。
警察は、この件で、刑事を守る気があったのか?
警察組織を守ろうという印象は受けるが。」
「二人とも女性だった。
退職すると、元刑事ということで、狙われて危ないという情報が入ったのだろう。」
と野村レオ。
御礼参りだと、捕まえた犯人が逆恨みして、襲ってくるわけだが。
逃走犯を探したけれど見つけられなかったという元刑事に対して。
逃走犯の関係者が、探すなという指示に従わないから、と見せしめにすることが、まかり通る話になっている。
ゾッとする。
「危ない目にあいそうな女性二人の出向を受け入れてくれるような場所が、日本にあったのか?」
警察に圧力をかけてくる誰かに探し当てられずに、長期的に避難することができる場所なんて、今の日本に存在するか?
日本に、安全な場所がないからといって、国外には、出さないだろう。
国外で、日本の刑事が殺害されたら、日本の警察だけの話では済まなくなる。
「あったそうだ。
俺は、知らなかったが、話だけは聞いている。
二人の女性は、出向の話を提示され、周りに相談をもちかけた。
相談元から、話が漏れて聞こえてきた。」
と野村レオ。
相談された方も、誰かに相談したかったのか。
「余程、条件の悪い出向先だったのか。」
何度も鎌ごと野村レオに突撃するうちに、武器を持っているという感覚が鈍ってくる。
武器を持って、武器を人に向けることに慣れてくる。
感覚が、麻痺してくる、とも言い換えられるだろう。
「外部からの人の出入りが厳しく制限されている。
招待されないと入れない場所らしい。
最近新しく作られたから、そこのセキュリティは、日本最高レベル。
その中にいる限り、暗殺される心配はない。
そういう建物の中で生活することになる、と説明されたそうだ。」
と野村レオ。
「ありの子一匹さえも見逃さない仕様か。」
野村レオは、突っ込む勢いを殺すな、と俺に言った。
「走り出したら、止まるな。
立ち止まると、殺せなくなる。」
と野村レオ。
「分かった。」
俺は、足にブレーキをかけないことを意識した。
「二人が、出向先に不満を覚えたのは、出向先の規則の厳しさだ。
日本最高レベルのセキュリティを維持するために、その場所についての情報は、一切開示しない。
私物は、例外なく持ち込めない。
と聞いたそうだ。」
と野村レオ。
「予備知識なく出向先に行くのは、やり辛いだろうとは思うが、命には代えられないだろう。」
出向先で、平穏に過ごせるなら、持ち物を持ち込めなくても、我慢できるのではないか。
「何箇所か経由していき、最終目的地に着くときは、寝ている状態で入ることになる。
出るときは、管理者の許可がおりたときのみ。
この規則に対し、二人とも猛反発をしていた。
『刑務所と何が違う?』と二人の女性は、不安になったそうだ。
年上の方が先に行くことになった、というところまで、俺は知っている。
行きたくないと二人とも拒否したが、出向するように、との辞令が出て、年次が上の女刑事が、先に行くことで話がついた。」
と野村レオ。
俺は、加速するために、十歩ばかり離れて走り出す。
俺は、走りながら、野村レオの話を聞き、その女性の出向先について、一つの可能性に思い当たった。
「その年上の方も、刑事であっているか?」
「年上も年下も、どちらも女刑事だ。」
と野村レオ。
二人の女刑事の出向先の心当たりが、一つある。
俺は、ダメ元で、野村レオに聞いてみた。
「二人の名前は、なんという?」
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