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373.俺と佐竹ハヤト。
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俺は、俺とツカサの待遇を比較するコメントはしない。
ツカサには、ツカサの人生があり。
俺には、俺の人生がある。
ツカサも俺も、そのときの選択肢の一番良いと思う選択をして今に至る。
最悪な状況にいて、最悪な選択肢しかなかったからといって、諦めなかったから、今がある。
俺は、過去の自分を卑下しない。
過去の俺は、今の俺。
俺が分断されるわけではない。
俺がやることも。
やりたいことも。
これからやっていくことも。
「俺は、ありがたく恩恵に預かり、正義が勝たないデスゲームを脱出する。
正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺の暮らしと。
正義が勝たないデスゲームを脱出した後の俺の暮らし。
全部同じにはしないが、一部は変えずにやっていく。
俺の暮らしやすさの上に、俺はやりたいことをやる。」
「新人くんがしたいことをする上で、新人くんが公安に望むのは、これまで通りの新人くんの安全確保の手配。
それ以外にはなし、でいいのかい?」
とケンゴ。
「公安は、今まで通りでいい。」
「公安以外へ出したい要望が、新人くんにはあるのかい?」
とケンゴ。
「この国の警察は、この国の警察として機能しろ。」
「公安以外の警察に、警察としての働きを取り戻せというのが新人くんの要望かい?」
とケンゴ。
「内通者に内側から食い荒らされるのを待ち、正義が勝たないデスゲームに頼る現状で、警察が機能していると言えるか?」
「何とも言えないね。」
とツカサ。
即、口を挟んだのはツカサだった。
ツカサの様子から察するに。
正義が勝たないデスゲームの外にいたときのツカサは、警察の職務範囲で何からの要求をし、突っぱねられた経験があるのかもしれない。
「自浄作用は待てないかい?」
とケンゴ。
「現状、自浄作用が働いてるか?
自浄作用を働かせる仕組みがないか、あっても形骸化したか。
もしくは、自浄作用が働くきっかけが壊されて、そのままになっていないか?」
元からいる人間が、息を潜めなくてはいけなくなった組織に、人間の何を期待したら待てる気になる?
「警察に対して手厳しい発言をする意図は、何かあるのかい?」
とケンゴ。
「買収なら、汚職として断罪がしやすい。
汚職は、職員全員が平等に買収されてはいない。
買収されている者がいれば、買収されていない者もいる。
買収されていない者が多数派であるうちは。
買収された者に罰を与えやすい。」
「汚職は糾弾されてもおかしくないものという意識が、国民に根付いているわ。」
とメグたん。
「警察は、警察組織の内部にいる内通者に対して迅速に対処できていない。
警察の動きが鈍くなっているのは、支援団体による脅迫が内通者を作ったという、内通者になるまでの経緯のせいか?」
「新人くんが警察に自浄作用を期待していないのは、自浄作用が働かない原因は警察側にあると考えているからかい?」
とケンゴ。
警察を構成するのは、人。
規則を作るのも、人を裁くのも、そしるのも、罰則を定めるのも、罰則を適用するのも、全部、人がする。
人がするということは、決定と実行に人による介入が可能ということだ。
佐竹ハヤトが作り上げた正義が勝たないデスゲームは、決定の部分から人の介入を排除した。
正義が勝たないデスゲームの構想を練り出す前の時期には既に、佐竹ハヤトは、人を信頼することを止めていた。
俺は、佐竹ハヤトの心境の変化について理解できる。
俺も通った道だ。
俺は、高校生になる前には、既に悟っていた。
相互理解は、不可能だと。
凡夫は、天才を仲間だとみなさない。
天才のすることに喜んだり失望したりして盛り上がるが、天才の苦難には傍観者に徹する。
天才が苦境に立たされても、次は何をしてくれるか、とエンターテインメントを楽しむかのように、見ているだけで、助けにはこない。
天才を助けようという考えが凡夫にはない。
凡夫は、無自覚に、天才と凡夫を妖怪と人間くらいにとらえている。
天才は、凡夫をあてにしてはならない。
凡夫にあてにさせてはいけない。
天才の不幸は、あまねく数の凡夫が天才を同じ人間扱いしないから。
凡夫に滅ぼされない方法を身に付けた天才だけが、生き延びる。
俺と佐竹ハヤトの人生の差が生じたのは、早い段階での環境の差と、性格の差だろう。
得意不得意はあれど、俺と佐竹ハヤトでは、能力に大きな開きはない。
自身の才能を自分以外の誰かのために使おうと考えた佐竹ハヤト。
俺の才能は、俺のものとして生きてきた俺。
世間に称賛されるのは、佐竹ハヤトのような考え方をする人間だ。
自ら進んで才能を差し出した佐竹ハヤトは、人間への信頼を無くし、人間に追い詰めれて、自死を選ばされた。
世間的に、才能以外を称賛されない俺は、五体満足で、迫害されずに今も生きている。
佐竹ハヤトの生育環境は、最高のものだっただろう。
天才の才能を伸ばし、天才を一人の若い人格者に育てたんだ。
褒めるに値する。
俺が子どものときなら、佐竹ハヤトの生育環境を理想だと思ったのではないか。
俺が今、佐竹ハヤトのことを考えながら呼吸しているのは、佐竹ハヤトとは違う生育環境のにいたからだ。
結果が全て。
自分勝手に振る舞える強さを磨く機会を子どものときに得られたことが、俺に俺自身を守らせてきた。
俺の腹の中の見せない部分を見せる相手は、もういない。
いないんだ、俺には。
いなくなった。
いなくさせられた。
同じものを見て、俺と同じ視点で語れる、気の合う唯一の友達。
ツカサには、ツカサの人生があり。
俺には、俺の人生がある。
ツカサも俺も、そのときの選択肢の一番良いと思う選択をして今に至る。
最悪な状況にいて、最悪な選択肢しかなかったからといって、諦めなかったから、今がある。
俺は、過去の自分を卑下しない。
過去の俺は、今の俺。
俺が分断されるわけではない。
俺がやることも。
やりたいことも。
これからやっていくことも。
「俺は、ありがたく恩恵に預かり、正義が勝たないデスゲームを脱出する。
正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺の暮らしと。
正義が勝たないデスゲームを脱出した後の俺の暮らし。
全部同じにはしないが、一部は変えずにやっていく。
俺の暮らしやすさの上に、俺はやりたいことをやる。」
「新人くんがしたいことをする上で、新人くんが公安に望むのは、これまで通りの新人くんの安全確保の手配。
それ以外にはなし、でいいのかい?」
とケンゴ。
「公安は、今まで通りでいい。」
「公安以外へ出したい要望が、新人くんにはあるのかい?」
とケンゴ。
「この国の警察は、この国の警察として機能しろ。」
「公安以外の警察に、警察としての働きを取り戻せというのが新人くんの要望かい?」
とケンゴ。
「内通者に内側から食い荒らされるのを待ち、正義が勝たないデスゲームに頼る現状で、警察が機能していると言えるか?」
「何とも言えないね。」
とツカサ。
即、口を挟んだのはツカサだった。
ツカサの様子から察するに。
正義が勝たないデスゲームの外にいたときのツカサは、警察の職務範囲で何からの要求をし、突っぱねられた経験があるのかもしれない。
「自浄作用は待てないかい?」
とケンゴ。
「現状、自浄作用が働いてるか?
自浄作用を働かせる仕組みがないか、あっても形骸化したか。
もしくは、自浄作用が働くきっかけが壊されて、そのままになっていないか?」
元からいる人間が、息を潜めなくてはいけなくなった組織に、人間の何を期待したら待てる気になる?
「警察に対して手厳しい発言をする意図は、何かあるのかい?」
とケンゴ。
「買収なら、汚職として断罪がしやすい。
汚職は、職員全員が平等に買収されてはいない。
買収されている者がいれば、買収されていない者もいる。
買収されていない者が多数派であるうちは。
買収された者に罰を与えやすい。」
「汚職は糾弾されてもおかしくないものという意識が、国民に根付いているわ。」
とメグたん。
「警察は、警察組織の内部にいる内通者に対して迅速に対処できていない。
警察の動きが鈍くなっているのは、支援団体による脅迫が内通者を作ったという、内通者になるまでの経緯のせいか?」
「新人くんが警察に自浄作用を期待していないのは、自浄作用が働かない原因は警察側にあると考えているからかい?」
とケンゴ。
警察を構成するのは、人。
規則を作るのも、人を裁くのも、そしるのも、罰則を定めるのも、罰則を適用するのも、全部、人がする。
人がするということは、決定と実行に人による介入が可能ということだ。
佐竹ハヤトが作り上げた正義が勝たないデスゲームは、決定の部分から人の介入を排除した。
正義が勝たないデスゲームの構想を練り出す前の時期には既に、佐竹ハヤトは、人を信頼することを止めていた。
俺は、佐竹ハヤトの心境の変化について理解できる。
俺も通った道だ。
俺は、高校生になる前には、既に悟っていた。
相互理解は、不可能だと。
凡夫は、天才を仲間だとみなさない。
天才のすることに喜んだり失望したりして盛り上がるが、天才の苦難には傍観者に徹する。
天才が苦境に立たされても、次は何をしてくれるか、とエンターテインメントを楽しむかのように、見ているだけで、助けにはこない。
天才を助けようという考えが凡夫にはない。
凡夫は、無自覚に、天才と凡夫を妖怪と人間くらいにとらえている。
天才は、凡夫をあてにしてはならない。
凡夫にあてにさせてはいけない。
天才の不幸は、あまねく数の凡夫が天才を同じ人間扱いしないから。
凡夫に滅ぼされない方法を身に付けた天才だけが、生き延びる。
俺と佐竹ハヤトの人生の差が生じたのは、早い段階での環境の差と、性格の差だろう。
得意不得意はあれど、俺と佐竹ハヤトでは、能力に大きな開きはない。
自身の才能を自分以外の誰かのために使おうと考えた佐竹ハヤト。
俺の才能は、俺のものとして生きてきた俺。
世間に称賛されるのは、佐竹ハヤトのような考え方をする人間だ。
自ら進んで才能を差し出した佐竹ハヤトは、人間への信頼を無くし、人間に追い詰めれて、自死を選ばされた。
世間的に、才能以外を称賛されない俺は、五体満足で、迫害されずに今も生きている。
佐竹ハヤトの生育環境は、最高のものだっただろう。
天才の才能を伸ばし、天才を一人の若い人格者に育てたんだ。
褒めるに値する。
俺が子どものときなら、佐竹ハヤトの生育環境を理想だと思ったのではないか。
俺が今、佐竹ハヤトのことを考えながら呼吸しているのは、佐竹ハヤトとは違う生育環境のにいたからだ。
結果が全て。
自分勝手に振る舞える強さを磨く機会を子どものときに得られたことが、俺に俺自身を守らせてきた。
俺の腹の中の見せない部分を見せる相手は、もういない。
いないんだ、俺には。
いなくなった。
いなくさせられた。
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