381 / 517
381.佐竹ハヤトの遺志と狙い。野村レオを死なせた俺と北白川サナを快く思っていないメグたんが、俺を死なせないように動いたのは?
しおりを挟む
脳が痺れたかような衝撃があった。
「佐竹ハヤトは、モエカが佐竹ハヤトを殺すと想定しながら、正義が勝たないデスゲームを作り上げ、かつ、自身を殺すであろうモエカと付かず離れずの恋人でいたということになるが?」
俺は、ずっと、佐竹ハヤトとモエカのことを永遠不変の恋人だと思っていた。
大学構内で俺が見ていた二人には、計算高さは見えなかった。
俺が佐竹ハヤトとモエカを見る目には、感情のフィルターがかかっていたことを差し引いても。
二人の間に流れていたのは、相手を利用しようとする我欲ではなかった。
そんな二人を最後まで結びつけていたのは、崇高な恋心ではなく。
「佐竹ハヤトくんは、タケハヤプロジェクトの関係者の不幸を目の当たりにしてから、自分が誰かに殺される未来を想定して動いていた。」
とケンゴ。
ケンゴは、俺の動揺にピクリとも動じない。
ケンゴの動じなさに腹が立つ。
ケンゴの冷静さに腹を立てているうちに、俺の感情は冷静さを取り戻していった。
「佐竹ハヤトが殺されることは確定している。
誰に殺されるのが佐竹ハヤトにとって一番納得のいく結果を出せるか。
自身の最期は、自身が納得できるようなものに。
それが、味方がおらず、逃げ場もなかった佐竹ハヤトの考えたことか。」
佐竹ハヤトの思考を辿ると、穏やかな気持ちではいられない。
佐竹ハヤトに早すぎる死など必要なかったのに。
佐竹ハヤトを利用してのに、最後まで助けようとしなかったやつらと、佐竹ハヤトを食い尽くそうとしたやつらが、佐竹ハヤトを早すぎる無念の死へと追いやった。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、それらも含めて作られているんだよ。」
とケンゴ。
それら、か。
三文字にまとめるな。
佐竹ハヤトの命も感情も、そんな軽々しく表して捨てていいものではない。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIが、モエカを死なせたのは、死にたくなかった佐竹ハヤトの意趣返しか?」
俺の中で、佐竹ハヤトを早死へと追いやった相手は、一つではなく、二つとなった。
「意趣返しをするなら、アスレチックまで引き延ばす必要はなかったよ。」
とケンゴ。
「目的は、俺か?」
「ショウタは、目的が自分ではないと思う?」
とメグたん。
俺が佐竹ハヤトの目的ではなかったと考える余地はどこにある、と言わんばかりのメグたん。
「俺とモエカが引き会わされたタイミングがアスレチックだから、アスレチックでのモエカの死が決まった、ということか。」
「ショウタとモエカを引き会わせたタイミングでモエカの死が決まった理由は、なぜだか分かるかい?」
とケンゴ。
俺の推測は、当たりだったか。
「モエカに会った後の正義が勝たないデスゲームに、俺がやる気を出すことを予想して、か?」
「アスレチックでモエカを見つけたショウタは、自発的に正義が勝たないデスゲームに参加していったわ。」
とメグたん。
否定はしない。
画面越しで見ていたモエカ本人にやっと会えた、と俺は思った。
「ショウタとモエカを会わせようとしたのは、ショウタとモエカに詳しかったからだね。」
とツカサ。
「アスレチックに参加するにあたり、なにがしかの役割がモエカにふられていたということか?」
「モエカが参加したアスレチックで初めて、正義が勝たないデスゲームを生き延びることに頭を使い始めた自覚。
ショウタにはない?」
とメグたん。
「アスレチックでは、モエカと生き延びようと頭を捻っていた。
モエカは、アスレチックにおいて、なにがしかの役割をふられていることを知っていたか?」
「モエカは、何も知らないわ。」
とメグたん。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、役割をモエカに割り振った。それだけだよ。」
とケンゴ。
「モエカは、被害者意識を全面に出すことで、悲劇のヒロインになる素質を持っていた。」
とツカサ。
モエカに備わっている悲劇のヒロインになる素質が、アスレチックに参加したモエカに役割を果たさせたということか?
「割り振った役目の説明など、正義が勝たないデスゲームを運用するAIはしない。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、モエカへアスレチックに参加するよう指示を出し。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIの指示に従い、モエカはアスレチックという正義が勝たないデスゲームの配置についた。」
とメグたん。
「配置しただけで、説明されていないモエカが役割を果たすようになるか?」
「適役だったわ。」
とメグたん。
モエカの被害者意識と悲劇のヒロインは、何をさしている?
「俺と出会ったモエカは、俺と再会したせいで、自分が死ぬと怯えていた。
俺と再会したことに対する恨み言は、モエカの被害者意識のあらわれか?」
「悲劇のヒロインと被害者意識は表裏一体。
自己犠牲に走る心理は、被害者意識にすり替わる。
いとも簡単に。
いつでも。」
とツカサ。
ツカサがモエカに厳しい理由は、モエカではなく、佐竹ハヤトに親しみを覚えていたから。
もしくは。
モエカのメグたんへの態度が、寄らば大樹の陰のようで不快だったから、か。
「モエカの被害者意識に磨きをかけ、悲劇のヒロインとしての感情を揺さぶることで何が起きたか、ショウタは忘れたのかい?」
とケンゴ。
「モエカは、自身が殺されることを受け入れた。
タケハヤプロジェクトの学生に殺されることへの抵抗を止めた。」
「抵抗を止めたモエカは、何をしたか覚えているかい?」
とケンゴ。
「アスレチックで出会った佐竹ハヤトの友達である俺を生かそうとした。」
「モエカは、自身が助かることさないと認めた上で、アスレチックに参加したショウタを生かしたんだよ。」
とケンゴ。
ケンゴに繰り返され、俺は、まさかと思ってしまった。
「佐竹ハヤトは、正義が勝たないデスゲームに参加した俺を生かすために、モエカを生かして死なせた、ということか。」
「アスレチックで、正義が勝たないデスゲームには矛盾が生じた。」
「矛盾などあったか?」
「佐竹ハヤトくんの思惑と、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの対立が表面化したからね。」
とツカサ。
「矛盾とはどれのことをさしている?」
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、ショウタを死なせる決定をして、正義が勝たないデスゲームにショウタを参加させている。」
とツカサ。
「結果として、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの全自動処理による決定よりも、創造主になる佐竹ハヤトの俺を生かすという決定が優先されたということか。」
「アスレチックに参加したショウタは、モエカに生かされた。
この時点では、まだ、正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、ショウタを生かすような決定に変えていない。」
とケンゴ。
「アスレチックにモエカが参加した理由は、俺を生かしてから、死ぬためだけではないのではない、ということか?」
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、正義が勝たないデスゲームを継続するための判断を優先して下すよ。」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、モエカが生きていると正義が勝たないデスゲームの継続の妨げになると判断した、ということか。」
「生き延びたいという欲望が強いうちは、正義が勝たないデスゲームの内実をモエカは話さない。
話した分だけ、モエカが不利になるからね。」
とツカサ。
「モエカの中にあるものが、生き延びたいという欲求だけでなく。
大事にされたい、守られたいという欲望が強さを増して、正義が勝たないデスゲームを運用するAIがモエカの異変を確認する。
次に予期されるモエカの行動が、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの判断基準に引っかかり、アウト判定。」
とメグたん。
「モエカが次に何をするかを、正義が勝たないデスゲームを運用するAIは想定していた、か。」
そんなことまで可能になるか?
「被害者意識に悲劇のヒロイン思考が混ざったら何をするかを考えてみたらどうだい?」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームの開始前後からと、タケハヤプロジェクト開始からの不遇を誰かに打ち明けようとするのではないか。」
「タケハヤプロジェクトと正義が勝たないデスゲームの開発者が、誰かに打ち明けて良い話ではない。」
とツカサ。
「佐竹ハヤトの作り上げた正義が勝たないデスゲームを運用するAIに殺されそうだった俺は、佐竹ハヤトの遺志となった部分と、正義が勝たないデスゲームが殺そうとしていたモエカの働きによって、命を救われたということか。」
アスレチックでは、モエカだけが撲殺された。
だが、正義が勝たないデスゲームを運用するAIに死なせたい判定されていた俺が撲殺される可能性は十分あったのではないか?
「ショウタを助けたのは、モエカと佐竹ハヤトくん以外にもいるからね。」
とツカサ。
遅ればせながら、今、俺は気付いた。
「メグたんか。」
「気付いたんだね?」
とツカサ。
「メグたんは、モエカだけに攻撃を集中させていた。
アスレチックでのメグたんは、俺など眼中になかった。
眼中にないからこそ、俺を攻撃対象にすえなかった?」
「メグたんの眼中になかったからこそ、ショウタはメグたんに従うタケハヤプロジェクトの学生の攻撃対象にならなかった。」
とツカサ。
「メグたんが、俺を生かしたのは、俺に何かを託したいと思ったからか?」
メグたんは、野村レオに鎌をふるった俺とトドメを刺した北白川サナを快く思っていない。
メグたんには、まだ俺が知らない、俺を生かしたい理由があったのではないか?
「佐竹ハヤトくんは、ショウタだけは何者からも助けると決めていたから。」
とメグたん。
俺が尋ねると、メグたんは答えた。
無視されて終わりかと思った。
意外なことに、メグたんには、俺と話す気がある。
「佐竹ハヤトくんは、一人でいたら殺されると分かっていながらも、生きている間は、ショウタを巻き込まなかった。
自身が死んでからも、ショウタを助ける方法を遺している。」
とメグたん。
「俺は、佐竹ハヤトに生かされている。」
「私がショウタを助けたのは、佐竹ハヤトくんの遺志を守るため。
佐竹ハヤトくんと話をして、佐竹ハヤトくんがしたいことに、私は賛同してタケハヤプロジェクトに参加した。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトとメグたんに感謝する。」
俺への快く思えない感情を抑えて、正義が勝たないデスゲームに参加した俺の脱出に向けて力添えしてきたメグたん。
「忘れないでいられたら、忘れないで。
私は、ショウタのためにショウタを助けてはいない。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトは、モエカが佐竹ハヤトを殺すと想定しながら、正義が勝たないデスゲームを作り上げ、かつ、自身を殺すであろうモエカと付かず離れずの恋人でいたということになるが?」
俺は、ずっと、佐竹ハヤトとモエカのことを永遠不変の恋人だと思っていた。
大学構内で俺が見ていた二人には、計算高さは見えなかった。
俺が佐竹ハヤトとモエカを見る目には、感情のフィルターがかかっていたことを差し引いても。
二人の間に流れていたのは、相手を利用しようとする我欲ではなかった。
そんな二人を最後まで結びつけていたのは、崇高な恋心ではなく。
「佐竹ハヤトくんは、タケハヤプロジェクトの関係者の不幸を目の当たりにしてから、自分が誰かに殺される未来を想定して動いていた。」
とケンゴ。
ケンゴは、俺の動揺にピクリとも動じない。
ケンゴの動じなさに腹が立つ。
ケンゴの冷静さに腹を立てているうちに、俺の感情は冷静さを取り戻していった。
「佐竹ハヤトが殺されることは確定している。
誰に殺されるのが佐竹ハヤトにとって一番納得のいく結果を出せるか。
自身の最期は、自身が納得できるようなものに。
それが、味方がおらず、逃げ場もなかった佐竹ハヤトの考えたことか。」
佐竹ハヤトの思考を辿ると、穏やかな気持ちではいられない。
佐竹ハヤトに早すぎる死など必要なかったのに。
佐竹ハヤトを利用してのに、最後まで助けようとしなかったやつらと、佐竹ハヤトを食い尽くそうとしたやつらが、佐竹ハヤトを早すぎる無念の死へと追いやった。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、それらも含めて作られているんだよ。」
とケンゴ。
それら、か。
三文字にまとめるな。
佐竹ハヤトの命も感情も、そんな軽々しく表して捨てていいものではない。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIが、モエカを死なせたのは、死にたくなかった佐竹ハヤトの意趣返しか?」
俺の中で、佐竹ハヤトを早死へと追いやった相手は、一つではなく、二つとなった。
「意趣返しをするなら、アスレチックまで引き延ばす必要はなかったよ。」
とケンゴ。
「目的は、俺か?」
「ショウタは、目的が自分ではないと思う?」
とメグたん。
俺が佐竹ハヤトの目的ではなかったと考える余地はどこにある、と言わんばかりのメグたん。
「俺とモエカが引き会わされたタイミングがアスレチックだから、アスレチックでのモエカの死が決まった、ということか。」
「ショウタとモエカを引き会わせたタイミングでモエカの死が決まった理由は、なぜだか分かるかい?」
とケンゴ。
俺の推測は、当たりだったか。
「モエカに会った後の正義が勝たないデスゲームに、俺がやる気を出すことを予想して、か?」
「アスレチックでモエカを見つけたショウタは、自発的に正義が勝たないデスゲームに参加していったわ。」
とメグたん。
否定はしない。
画面越しで見ていたモエカ本人にやっと会えた、と俺は思った。
「ショウタとモエカを会わせようとしたのは、ショウタとモエカに詳しかったからだね。」
とツカサ。
「アスレチックに参加するにあたり、なにがしかの役割がモエカにふられていたということか?」
「モエカが参加したアスレチックで初めて、正義が勝たないデスゲームを生き延びることに頭を使い始めた自覚。
ショウタにはない?」
とメグたん。
「アスレチックでは、モエカと生き延びようと頭を捻っていた。
モエカは、アスレチックにおいて、なにがしかの役割をふられていることを知っていたか?」
「モエカは、何も知らないわ。」
とメグたん。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、役割をモエカに割り振った。それだけだよ。」
とケンゴ。
「モエカは、被害者意識を全面に出すことで、悲劇のヒロインになる素質を持っていた。」
とツカサ。
モエカに備わっている悲劇のヒロインになる素質が、アスレチックに参加したモエカに役割を果たさせたということか?
「割り振った役目の説明など、正義が勝たないデスゲームを運用するAIはしない。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、モエカへアスレチックに参加するよう指示を出し。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIの指示に従い、モエカはアスレチックという正義が勝たないデスゲームの配置についた。」
とメグたん。
「配置しただけで、説明されていないモエカが役割を果たすようになるか?」
「適役だったわ。」
とメグたん。
モエカの被害者意識と悲劇のヒロインは、何をさしている?
「俺と出会ったモエカは、俺と再会したせいで、自分が死ぬと怯えていた。
俺と再会したことに対する恨み言は、モエカの被害者意識のあらわれか?」
「悲劇のヒロインと被害者意識は表裏一体。
自己犠牲に走る心理は、被害者意識にすり替わる。
いとも簡単に。
いつでも。」
とツカサ。
ツカサがモエカに厳しい理由は、モエカではなく、佐竹ハヤトに親しみを覚えていたから。
もしくは。
モエカのメグたんへの態度が、寄らば大樹の陰のようで不快だったから、か。
「モエカの被害者意識に磨きをかけ、悲劇のヒロインとしての感情を揺さぶることで何が起きたか、ショウタは忘れたのかい?」
とケンゴ。
「モエカは、自身が殺されることを受け入れた。
タケハヤプロジェクトの学生に殺されることへの抵抗を止めた。」
「抵抗を止めたモエカは、何をしたか覚えているかい?」
とケンゴ。
「アスレチックで出会った佐竹ハヤトの友達である俺を生かそうとした。」
「モエカは、自身が助かることさないと認めた上で、アスレチックに参加したショウタを生かしたんだよ。」
とケンゴ。
ケンゴに繰り返され、俺は、まさかと思ってしまった。
「佐竹ハヤトは、正義が勝たないデスゲームに参加した俺を生かすために、モエカを生かして死なせた、ということか。」
「アスレチックで、正義が勝たないデスゲームには矛盾が生じた。」
「矛盾などあったか?」
「佐竹ハヤトくんの思惑と、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの対立が表面化したからね。」
とツカサ。
「矛盾とはどれのことをさしている?」
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、ショウタを死なせる決定をして、正義が勝たないデスゲームにショウタを参加させている。」
とツカサ。
「結果として、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの全自動処理による決定よりも、創造主になる佐竹ハヤトの俺を生かすという決定が優先されたということか。」
「アスレチックに参加したショウタは、モエカに生かされた。
この時点では、まだ、正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、ショウタを生かすような決定に変えていない。」
とケンゴ。
「アスレチックにモエカが参加した理由は、俺を生かしてから、死ぬためだけではないのではない、ということか?」
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、正義が勝たないデスゲームを継続するための判断を優先して下すよ。」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、モエカが生きていると正義が勝たないデスゲームの継続の妨げになると判断した、ということか。」
「生き延びたいという欲望が強いうちは、正義が勝たないデスゲームの内実をモエカは話さない。
話した分だけ、モエカが不利になるからね。」
とツカサ。
「モエカの中にあるものが、生き延びたいという欲求だけでなく。
大事にされたい、守られたいという欲望が強さを増して、正義が勝たないデスゲームを運用するAIがモエカの異変を確認する。
次に予期されるモエカの行動が、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの判断基準に引っかかり、アウト判定。」
とメグたん。
「モエカが次に何をするかを、正義が勝たないデスゲームを運用するAIは想定していた、か。」
そんなことまで可能になるか?
「被害者意識に悲劇のヒロイン思考が混ざったら何をするかを考えてみたらどうだい?」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームの開始前後からと、タケハヤプロジェクト開始からの不遇を誰かに打ち明けようとするのではないか。」
「タケハヤプロジェクトと正義が勝たないデスゲームの開発者が、誰かに打ち明けて良い話ではない。」
とツカサ。
「佐竹ハヤトの作り上げた正義が勝たないデスゲームを運用するAIに殺されそうだった俺は、佐竹ハヤトの遺志となった部分と、正義が勝たないデスゲームが殺そうとしていたモエカの働きによって、命を救われたということか。」
アスレチックでは、モエカだけが撲殺された。
だが、正義が勝たないデスゲームを運用するAIに死なせたい判定されていた俺が撲殺される可能性は十分あったのではないか?
「ショウタを助けたのは、モエカと佐竹ハヤトくん以外にもいるからね。」
とツカサ。
遅ればせながら、今、俺は気付いた。
「メグたんか。」
「気付いたんだね?」
とツカサ。
「メグたんは、モエカだけに攻撃を集中させていた。
アスレチックでのメグたんは、俺など眼中になかった。
眼中にないからこそ、俺を攻撃対象にすえなかった?」
「メグたんの眼中になかったからこそ、ショウタはメグたんに従うタケハヤプロジェクトの学生の攻撃対象にならなかった。」
とツカサ。
「メグたんが、俺を生かしたのは、俺に何かを託したいと思ったからか?」
メグたんは、野村レオに鎌をふるった俺とトドメを刺した北白川サナを快く思っていない。
メグたんには、まだ俺が知らない、俺を生かしたい理由があったのではないか?
「佐竹ハヤトくんは、ショウタだけは何者からも助けると決めていたから。」
とメグたん。
俺が尋ねると、メグたんは答えた。
無視されて終わりかと思った。
意外なことに、メグたんには、俺と話す気がある。
「佐竹ハヤトくんは、一人でいたら殺されると分かっていながらも、生きている間は、ショウタを巻き込まなかった。
自身が死んでからも、ショウタを助ける方法を遺している。」
とメグたん。
「俺は、佐竹ハヤトに生かされている。」
「私がショウタを助けたのは、佐竹ハヤトくんの遺志を守るため。
佐竹ハヤトくんと話をして、佐竹ハヤトくんがしたいことに、私は賛同してタケハヤプロジェクトに参加した。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトとメグたんに感謝する。」
俺への快く思えない感情を抑えて、正義が勝たないデスゲームに参加した俺の脱出に向けて力添えしてきたメグたん。
「忘れないでいられたら、忘れないで。
私は、ショウタのためにショウタを助けてはいない。」
とメグたん。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる