正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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380.自殺幇助?殺人?メグたんの、俺、北白川サナ、モエカに対する態度の理由。ツカサ、メグたん、モエカの関係?

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俺は、もう、モエカがしたことを佐竹ハヤトの自殺幇助とは思えない。

佐竹ハヤトを殺したのは、モエカだ。

モエカは、佐竹ハヤトを殺して、自分が有利になるように時間を稼いだとさえ考えてしまう。

「恋が綺麗事で済むのは、生活がかかってくる前まで。」
とメグたん。

「メグたん自身の経験則か?」

タケハヤプロジェクトに参加する前のメグたんに、浮いた話が?

「メグは、刑事として事件を担当してきた経験からだよ。」
とケンゴ。

正義が勝たないデスゲームの外で、殺人を犯した犯人を見てきたからか。

「事件を起こすときに、恋の夢から覚めるのではない。

事件を起こす前には、既に恋から覚めているわ。

恋心より、自身のことに感心の天秤が傾いた瞬間に、恋は終わっている。」
とメグたん。

「恋でなくなったら、何になる?」

簡単に消えはしないのではないか?

俺の胸の中にあるもののように。

「敵意だったり、執着だったり。

恋というフィルターが外れた後にも残っているものは、濃い。」
とメグたん。

「恋しい人を手に掛けることに苦しみながら、恋しい人の命を摘み取った後のモエカは。

我が身の不幸と恋人の命とを天秤にかけて、我が身の安全をとったという事実を事実としておかなかった。」
とツカサ。

「俺に話すときは、事実を曲げていなかったが?」

「佐竹ハヤトくんの自殺幇助の事実に対して、モエカは自身に対する言い訳を用意したわ。

人を見て、唱えていた。」
とメグたん。

「メグたんとか、俺ね。」
とツカサ。

「ツカサは、モエカの相手をしなかったということか。」

「俺は、タケハヤプロジェクトのメグたんとうまくやれているからね。」
とツカサ。

ツカサに、モエカの相手をする旨みはなかったか。

「モエカは、佐竹ハヤトに対する死の加害者になろうとせず、被害者の立場で己を語っていたということか?」

「佐竹ハヤトくんに対して加害者になったモエカには、他の面では被害者であったという事実もある。

完全なる嘘ではなかった。」
とメグたん。

「メグたんがモエカを快く思わない理由は、俺と同じか?」

「ショウタが私と同じだとでも?」
とメグたん。

メグたんは、俺に対して、こいつはだめなやつという態度をとってくる。

「メグたんは、野村レオを死なせた俺と北白川サナに対して、良い感情を持っていなかった。

違うか?」

俺は、今さら、メグたんの愛想のなさにめげたりしない。

「違わないわ。」
とメグたん。

「メグたんが、モエカに好感を持てなかったのは、佐竹ハヤトの自死を止めさせなかったモエカを俺が許せないと思ったのと同じ理由か?」

「違うわ。」
とメグたん。

これではなかったか。

「モエカが、佐竹ハヤトに対する加害者であることを認めずに、被害者でいようとしたからか?」

「どうしてそう思った?」
とメグたん。

ふっとメグたんの口元が緩む。

「タケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんは、モエカよりも、佐竹ハヤトとの付き合いの方が深い。

佐竹ハヤトのしようとしていたことに理解があるメグたんは、佐竹ハヤトの味方であって、モエカの味方ではない。

違うか?」

「私、分かりやすかった?」
とメグたん。

メグたんは、険のない笑顔を見せてきた。

「メグたんが、タケハヤプロジェクトの参加者で、生前の佐竹ハヤトと話をしていたという話。

メグたんとモエカがいるときの、メグたんとモエカの付き合い方。

メグたんが、モエカを死なせるときの采配の仕方。

今、メグたんが話したモエカについての見識。

全部合わせてみたら。

メグたんは、モエカを快く思っていなかった、と気付いた。」

メグたんの輝くような笑顔は、理解された喜びからか?

「佐竹ハヤトくんを手にかけることで助かっておきながら、自分を悲劇のヒロインとして振る舞い続けるなど、佐竹ハヤトくんの命を軽く考えすぎだわ。」
とメグたん。

「メグたんが佐竹ハヤトを一番に考えてくれたことが、俺は嬉しい。」

「メグたんが清廉潔白で泣き言に騙されるようだったら、俺はどれだけ苦労しただろう。」
とツカサ。

「メグに任せてある仕事が出来るなら、他のことはいい。」
とケンゴ。

「メグたんが、モエカを快く思っていなかった理由は、分かった。」

「メグたんとモエカの関係は、メグたんがモエカの側に寄ったのではなく、モエカからメグたんの側に寄っていって成り立っていた。」
とツカサ。

「正義が勝たないデスゲーム運営であるAIからの指示に基づいて、メグたんはモエカを死なせた。」

「それの何が気になる?」
とメグたん。

「正義が勝たないデスゲーム運営であるAIは、なぜ、アスレチックでモエカを死なせる判断を下した?」

「正義が勝たないデスゲームを運用する上で、アスレチックでのモエカの死が最適だとAIが判断したからだね。」
とツカサ。

「正義が勝たないデスゲームを運用するAIの、誰を死なせるかを決定するときの判断基準に則って、アスレチックでのモエカの死が決定したというなら。

アスレチックでモエカを死なせるというAIの判断基準は、どこにある?」

「判断基準は、モエカ自身が、ショウタに話していたわ。」
とメグたん。

「正義が勝たないデスゲームに参加している参加者が、過去に繋がりがありながら、現在は疎遠になっている誰かとの再会を果たした場合。

先にいる参加者が、正義が勝たないデスゲームで死ぬ。

これのことか?」

「モエカ自身が怯えていた通り、アスレチックでショウタは生き延びて、モエカは亡くなっているわ。」
とメグたん。

「モエカが怯えていた内容は、正義が勝たないデスゲーム内での噂などではないと言うのか?」

「噂を重ねていくと、真実に取って代わることがある。」
とツカサ。

「キノとの噂で散々な目にあわされたツカサが言うのは、納得がいくが。」

「ただ、モエカに関しては、どうだろうね。」
とツカサ。

「噂を利用して、モエカを死なせることが目的で噂が流された?」

「噂通りに、ショウタが生き延び、モエカは亡くなった。

この事実は、噂を裏付けることになっただろうね。」
とツカサ。

「アスレチックでのモエカの死は、正義が勝たないデスゲーム内の噂に真実味を持たせるという目的があった、ということか?」

「噂どうこうは、本筋ではないわ。」
とメグたん。

「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、佐竹ハヤトくんが一人で作り上げている。

タケハヤプロジェクトで辛酸をなめ続けた佐竹ハヤトくんが、タケハヤプロジェクトと同じ失敗を繰り返すことがないように作ったのが、正義が勝たないデスゲーム。」
とケンゴ。

「佐竹ハヤトが正義が勝たないデスゲームを作り上げるときに、モエカは意見を出すなどして協力していたという話だったが。」

「佐竹ハヤトくんは、モエカの意見を聞いていたが、聞いた意見の全部を取り入れはしなかった。

佐竹ハヤトくんが必要と考えたものだけを取捨選択していたよ。」
とケンゴ。

「佐竹ハヤトが作り上げた正義が勝たないデスゲームがモエカを排除するという決断をした、という決定は、佐竹ハヤトの意思が働いているということか?」

「佐竹ハヤトくんは、正義が勝たないデスゲームを作り上げながら、考えていたんだよ。

最後に佐竹ハヤトくんを裏切り、保身に走るのは誰か、ということを。」
とケンゴ。
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