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第2章 憶測で語らない。可能性は否定しない。
24.牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介にセーラー服姿の複数の少女が載っている意味は?牡丹の庭中学校にまつわる都市伝説が生まれている?
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「牡丹の庭中学校のホームページで生徒の写真を見た人が、一人一人の生徒を間違うことがないように、という意味?」
と奈美。
「教室として特徴がない何年何組の教室を写真撮影の場所に選んでいないのは、セーラー服姿の少女、一人一人を見分けるため。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介の写真で、写っている生徒の顔と全身を間違えないようにするには、どうすると分かりやすい?
背景となる特別教室がどの部屋かを何枚か確認するだけでいい。
家庭科室、理科室、理科準備室の三枚に共通するのは、真っ黒の黒髪を二つ結びにしている小柄で幸薄そうな少女だ、と特定できる。」
と萃。
「牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介が意味していたものがはっきりと分かった。」
と奈美。
「商品見本。」
と透雲。
「兼、発注書。」
と奈美。
「なるほど、中学校による仕事の斡旋とは言い得て妙。
最初から、斡旋のために作られていた。」
と透雲。
「中学校に在学中から卒業後も、牡丹の庭中学校に斡旋された仕事を続けているのは。
本人だけでは、足抜けできないから?」
と奈美。
「足抜けさせてくれる協力者は三人に近付いてこない。
三人は成人まではこのまま。」
と萃。
「成人したら?」
と奈美。
「前例が、まだないから、なんとも。」
と萃。
「中学生時代から三人がバイトしていた職場はどこ?」
と奈美。
「自宅。」
と萃。
「自宅兼職場か。
誰からも逃げ場なし。
ホテル代を差し引かれて、借金が増えていくばかりよりはいいのか。」
と透雲は唸る。
「成人後も、環境が変わなければ、三人はそのうち成人向けサービスに移るかもしれない。」
と奈美。
「そうだね。」
と透雲。
「どうして、そう思った?」
と萃。
「セーラー服姿の写真撮影の時期は小六。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介を見る人のお目当ては、十代前半の少女。」
と奈美。
「セーラー服を着た少女の写真は、人気がある。」
と萃。
「セーラー服女子を見ると、憧れや郷愁、その他のものを掻き立てられる大人はいそう。」
と透雲。
「大人は、制服として中学生の着るセーラー服を着ないから。」
と萃。
「ホームページに掲載すると、世界に向けて発信していることになる。」
と奈美。
「世界中のセーラー服を着た少女を見たい人にとって、牡丹の庭中学校のホームページは、柵のない畑になっている果実同然。
牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介という畑に土足で入ってきて、黙って果実をもぎ取り、もぎ取った果実を剥いて感想を言って荒稼ぎする人は、いない?」
と透雲。
「今のところは、いない。」
と萃。
「牡丹の庭中学校のホームページはどれだけ認知されているかが鍵。」
と奈美。
「認知度が低い内に消してしまえたら、そのままにするよりはまし。」
と透雲。
「認知度は、低くない。」
と萃。
「事情を知らない人は、牡丹の庭中学校の存在を知らない。
でも、事情を知っている人で、牡丹の庭中学校がどんなホームページを作っているかを把握していない人は決して少なくないという解釈?」
と透雲。
「市内の中学生の中で、牡丹の庭中学校は、名前を出すと呪われるから、会話に出したらいけないという都市伝説が生まれている。」
と萃。
「新しい都市伝説ができるくらいの危険性を中学生は察知している。
知名度がマイナス方向に大幅アップしているのに、大人は、牡丹の庭中学校の現状の危険性に気付いていないからほったらかし?」
と透雲。
「市内の大人は、生活を維持することに振り切っているか、他人事だととらえているのかもしれない。」
と萃。
「考えながら生きることに疲弊した大人は、今日の今の時間が問題なく過ぎるように注力している。
自分と関係ない牡丹の庭中学校で起きていることだから、と見なかったことにして、自分達の生活を守る大人だらけ?」
と透雲。
透雲は、牡丹の庭中学校の校区がある市内で動画を配信しているチャンネルを検索し始めた。
「牡丹の庭中学校の現状を変えようとしたのは、牡丹の庭中学校の生徒の保護者だけ。」
と萃。
「牡丹の庭中学校の生徒の保護者三人は、立ち上がったら、立ち上がれなくされた。」
と透雲。
「立ち上がった三人の保護者は、命を取られなかった。
でも。
命を取られなかったことが幸いだったと言えたのは、命を取られなかった直後だけだった。」
と萃。
「命を取られなかった後の人生の方が長い。
その長い人生を親子でどう生きるか、と考えると、明るい未来設計は思い描けない。」
と透雲。
「立ち上がれなくされた保護者の娘達は、親子ともども生きていくために、牡丹の庭中学校を通して管理される環境から逃げ出せなくされてしまった。」
と奈美。
「刃向かったらどうなるのか。
その様子をまざまざと間近で見せつけられ。
牡丹の庭中学校の校区には、立ち上がろうとする大人はもういない?」
と透雲。
「大人が保護者としての生活を安定させられなかった段階で、子どもが身を削る選択は現実のものになる。」
と奈美。
と奈美。
「教室として特徴がない何年何組の教室を写真撮影の場所に選んでいないのは、セーラー服姿の少女、一人一人を見分けるため。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介の写真で、写っている生徒の顔と全身を間違えないようにするには、どうすると分かりやすい?
背景となる特別教室がどの部屋かを何枚か確認するだけでいい。
家庭科室、理科室、理科準備室の三枚に共通するのは、真っ黒の黒髪を二つ結びにしている小柄で幸薄そうな少女だ、と特定できる。」
と萃。
「牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介が意味していたものがはっきりと分かった。」
と奈美。
「商品見本。」
と透雲。
「兼、発注書。」
と奈美。
「なるほど、中学校による仕事の斡旋とは言い得て妙。
最初から、斡旋のために作られていた。」
と透雲。
「中学校に在学中から卒業後も、牡丹の庭中学校に斡旋された仕事を続けているのは。
本人だけでは、足抜けできないから?」
と奈美。
「足抜けさせてくれる協力者は三人に近付いてこない。
三人は成人まではこのまま。」
と萃。
「成人したら?」
と奈美。
「前例が、まだないから、なんとも。」
と萃。
「中学生時代から三人がバイトしていた職場はどこ?」
と奈美。
「自宅。」
と萃。
「自宅兼職場か。
誰からも逃げ場なし。
ホテル代を差し引かれて、借金が増えていくばかりよりはいいのか。」
と透雲は唸る。
「成人後も、環境が変わなければ、三人はそのうち成人向けサービスに移るかもしれない。」
と奈美。
「そうだね。」
と透雲。
「どうして、そう思った?」
と萃。
「セーラー服姿の写真撮影の時期は小六。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介を見る人のお目当ては、十代前半の少女。」
と奈美。
「セーラー服を着た少女の写真は、人気がある。」
と萃。
「セーラー服女子を見ると、憧れや郷愁、その他のものを掻き立てられる大人はいそう。」
と透雲。
「大人は、制服として中学生の着るセーラー服を着ないから。」
と萃。
「ホームページに掲載すると、世界に向けて発信していることになる。」
と奈美。
「世界中のセーラー服を着た少女を見たい人にとって、牡丹の庭中学校のホームページは、柵のない畑になっている果実同然。
牡丹の庭中学校のホームページの学校紹介という畑に土足で入ってきて、黙って果実をもぎ取り、もぎ取った果実を剥いて感想を言って荒稼ぎする人は、いない?」
と透雲。
「今のところは、いない。」
と萃。
「牡丹の庭中学校のホームページはどれだけ認知されているかが鍵。」
と奈美。
「認知度が低い内に消してしまえたら、そのままにするよりはまし。」
と透雲。
「認知度は、低くない。」
と萃。
「事情を知らない人は、牡丹の庭中学校の存在を知らない。
でも、事情を知っている人で、牡丹の庭中学校がどんなホームページを作っているかを把握していない人は決して少なくないという解釈?」
と透雲。
「市内の中学生の中で、牡丹の庭中学校は、名前を出すと呪われるから、会話に出したらいけないという都市伝説が生まれている。」
と萃。
「新しい都市伝説ができるくらいの危険性を中学生は察知している。
知名度がマイナス方向に大幅アップしているのに、大人は、牡丹の庭中学校の現状の危険性に気付いていないからほったらかし?」
と透雲。
「市内の大人は、生活を維持することに振り切っているか、他人事だととらえているのかもしれない。」
と萃。
「考えながら生きることに疲弊した大人は、今日の今の時間が問題なく過ぎるように注力している。
自分と関係ない牡丹の庭中学校で起きていることだから、と見なかったことにして、自分達の生活を守る大人だらけ?」
と透雲。
透雲は、牡丹の庭中学校の校区がある市内で動画を配信しているチャンネルを検索し始めた。
「牡丹の庭中学校の現状を変えようとしたのは、牡丹の庭中学校の生徒の保護者だけ。」
と萃。
「牡丹の庭中学校の生徒の保護者三人は、立ち上がったら、立ち上がれなくされた。」
と透雲。
「立ち上がった三人の保護者は、命を取られなかった。
でも。
命を取られなかったことが幸いだったと言えたのは、命を取られなかった直後だけだった。」
と萃。
「命を取られなかった後の人生の方が長い。
その長い人生を親子でどう生きるか、と考えると、明るい未来設計は思い描けない。」
と透雲。
「立ち上がれなくされた保護者の娘達は、親子ともども生きていくために、牡丹の庭中学校を通して管理される環境から逃げ出せなくされてしまった。」
と奈美。
「刃向かったらどうなるのか。
その様子をまざまざと間近で見せつけられ。
牡丹の庭中学校の校区には、立ち上がろうとする大人はもういない?」
と透雲。
「大人が保護者としての生活を安定させられなかった段階で、子どもが身を削る選択は現実のものになる。」
と奈美。
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