《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
259 / 673
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

259.甘えるとは、これ、いかに?クロードが部屋から出てきました。突撃しましょう。華麗なる甘やかしタイムのために。

しおりを挟む
オレは、クロードに甘えるというのが、具体的に想像出来ないまま、クロードの執務室へと歩いている。

甘える、甘えるって、言われてもなー。

カズラ君、甘えるって、どうすれば正解かなー?

オレを送り出す前に、レクチャーしてほしかった。
やり方が、本気で分からない。

甘えるって、おんぶか抱っこ以外に、何をすればいいのかな?

いつ、どこで、やればいいのかなー。

オレは、クロードみたいに、つむじの匂いで満たされたりはしないからなー。

どっちかというと。

オレは、クロードの体温を感じられたら、それで。

うーん。
考えながら歩いていたら、クロードが、部屋から出てきた。
タイムリーだけど、どうしよう。
何にも思いつかん。

「クロード。」

クロードが、オレを見て笑顔になる。
「ヒサツグ。」

「クロードに甘やかされるには、どうしたらいい?」

思いつかなすぎて、直球で聞いてしまった。

「ヒサツグは、私に甘やかされたい?」
クロードの声が弾んでいる。 

クロードが、喜んでいる。

オレの方が、年上なのに。
オレが、甘やかすんじゃなくて、いいのかな?

結果、オーライ?

「クロードに甘やかされにきたんだけど、どうしたら、クロードに甘やかしてもらえるのか、オレには分からない。
クロード、オレは、甘やかされたいぞ。
オレを甘やかせ。たっぷりと。」

クロードは、オレをお姫様抱っこで、立ち去ろうとする。

「クロード、仕事は?」

「ヒサツグのおねだりを無かったことにする旦那は、いない。」
とクロード。

待て。
ベッドのお誘いじゃない。
このまま、寝室になだれ込んだら、何の解決にもならない。

「夫婦の夜の時間は、夜にとっておいて、クロードにはオレをなぐさめてほしいんだ。」

「行き先は、プレイルームに変更。」
とクロード。

違う、そうじゃない。

することから、いったん、離れろ。

「プレイルームじゃなくて。」

「部屋を変える?
それとも外で?花を愛でながら?月を愛でながら?」
とクロード。

夫婦の営みはな、人目にさらされずにベッドでしたいんだ、オレは。

青姦は、勘弁しろ。

大公夫妻が青姦なんてしたら、青姦文化の先駆けとか言われそうだぞ?

文化のパイオニアになるにしても、分野は選びたい。

「クロードに、オレの不安や悩みを聞いてほしいんだ。オレは、クロードの体温を感じながら、話をしたい。
クロードとの話が終わったら、安心して、いつもより、開放的になれるかも。」

オレは、ためらいがちに、クロードにアピールしてみる。

開放的になれるかも、だからな?
なるとは言っていない。

クロードは、寝室には行かず、オレをお姫様抱っこしたまま、小さな部屋に入った。

ソファーが一つ。
棚が一つ。
大きな窓が一つ。

「この部屋は、何のための部屋?」

知らなかったなー。

「私が一人になりたいときの部屋。」
とクロード。

そんな部屋があるなんて、画期的だなー。


クロードは、真摯に、オレに向きあっている。

いつだって、クロードは、真っ直ぐに、オレを求めている。

年上の余裕とか言っていたオレは、クロードに何をした?

クロードは、オレが不安を抱えていると知って、クロードの秘密基地に連れてきた。

こんなんされたら、惚れるよな、うん。

「クロード。オレは、クロードが好きだ。何があってもオレ離すなよ。オレを諦めるなよ。」

クロードは、オレをお姫様抱っこしたまま、ソファーに座る。

オレは、クロードのお姫様抱っこからおりて、クロードの膝をまたいで、向き合った。

「クロード。オレを甘やかすんだ。」

クロードは、黙って、クロードの膝にまたがるオレを抱きしめる。

触れているところから、クロードの体温が伝わる。
温かい。

「クロード、このまま、話をしたい。」
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

騎士団長の秘密

さねうずる
BL
「俺は、ポラール殿を好いている」 「「「 なんて!?!?!?」」 無口無表情の騎士団長が好きなのは別騎士団のシロクマ獣人副団長 チャラシロクマ×イケメン騎士団長

【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

処理中です...