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2章
46:学園へ
しおりを挟むガタゴト ガタゴト
馬車の進む音がする。
俺とソウマは今、馬車に乗って移動している。
俺もソウマも12歳となり1週間後に入学試験があるので学園のある都市、アルクスに向かっている途中なのだ。予定通りに行けば入学式の2日前には着く。
この入学試験に受かった者が学園に通うことができる。特待生である俺達は合格は決まっているのだが、この試験はクラスを分けるときの参考に使うのだが俺達の実力の確認もするらしいので特待生でも参加しなくてはならないのだ。
王立学園は国内に5つあり、土地などの色々な事で多少の違いはあるが、それ以外は同じだ。この王立学園に受かれなかったものは冒険者学校や騎士学校などに通う。俺達が通うことになるのは王立第1学園で、近くにダンジョンが2つ存在する。これについては3年間の内に行くつもりだ。
学園での勉強は恐らく退屈な物と成ってしまうだろうが、俺と同い年の者が集まるので友達を頑張って作ろうと思う。
悲しいかな、俺には未だに友達と呼べるのがソウマとナキアさん位しか居らなんだ。ミネアには俺と同い年の子は居らず。これかなり不思議に思う。5歳迄は年上や年下の子達には混ざり辛くて輪に入っていけず、それで5歳からは修行などで街に居なかったのもあってご近所さんと知り合うことも無く、今に至る。ソウマが居てくれて良かったと思う今日この頃である。
それにしても馬車での移動は退屈だ。やる事がない。本でも読めば良いのだろうが師匠の書斎のあった物は全て読んでしまったし、ミネラに本屋と図書館は無かったので、偶に来る他の町からの行商人が露店で売る本を買っては読んでいたのだがその本も全て読み終わってしまって今は手元にない。暇を潰せるものが無い!
話をして、時間を潰そうにもソウマはこっくりこっくりと船を漕いでいて話が出来ず、ラキアは面倒ごとになる可能性があったので出ておらず、【念話】呼びかけても応えてくれないので寝ているのだろう。ルルは頭の上で寝てるしライルとメイルも俺の中で寝ているみたいだし、皆んな寝すぎだよ
周りの人と話せば!と思いたち周りを見渡すも厳つい冒険者のパーティーしか居らず話しかけ辛い。御者の人とは俺が座っている場所が御者席とは反対なので話せない。馬車は座席が長方形で両端に向かい合うように長椅子が付けられている幌馬車だ。横側は布が無いタイプ。盗賊とか出たらどうすんだと思われるかもしれないがこの馬車には攻撃に対して障壁を張るマジックアイテムが載せられているので大丈夫だと御者の人が言っていた。まあ、今の所盗賊なんかに襲われてはおらず、このまま着けるだろう。
もう仕方が無いので外に視線を向けて景色を楽しむことにする。今は森に挟まれた街道を走っている。時折見える獣や魔物が視界に入る。
なんなら俺も寝たいのだが偶々乗り合わせただけの人達を信用は出来ない。まあ、寝てても大丈夫なのだが念の為だ。
盗賊に襲われることも無く、みんな起きることも無く、偶に襲い来る魔物も冒険者の人達が倒してしまうという感じで休憩所と呼ばれる場所で寝起きして入学試験の2日前には予定通りにアルクスに到着した。門に並んでいる列に俺達の乗った馬車も並ぶ
ミネラとは違って都市を囲む外壁は丸では無く、四角い。それに大きさも都市と言われるだけはあって外壁はかなり伸びている。正門で国民証を見せて無事に中に入る。現在時刻は午後の6時を過ぎたくらいだ
視界に飛び込んできたのは賑やかな人の営み。屋台やお店からは客引きの声が聞こえ、通りを通る人々は笑顔だ。家屋だけでは無く緑が多い。なんかこうホッとする。その代わり区画整理なんかはされていないようだ。
乗合馬車乗り場に馬車が到着したので寝ていたソウマを起こす。
「ソウマー、起きてー」
声を掛けるも起きる様子はない。仕方ないので頬を叩く。
パンパン
「おーい、起きろー」
「むにゃむにゃ、俺の勝ちだぜクウガよ~、むにゃむにゃ」
こ、こいつ挑発しとんのか?こら
いやいや、落ち着け。唯の寝言じゃないか
「むにゃむにゃ、ほれほれー3回回ってワンッて言ってみ?、むにゃむにゃ」
はい、寝言だろうがもう許しません
「おら!起きろやー!」
握り締めた右拳をソウマの左頬へと直撃させる。
パコーン!
「ぶふぇ!?」
まあ、一応手加減はした。
「て、敵襲か!?」
「いや、起こしただけ」
「は!?何で殴って起こすわけ!?」
意味が分からないと言わんばかりの顔だ。それに俺は簡潔に答える
「寝言にイラッと来た」
「えー、お前そんな沸点低かったか?」
言われてみると少し恥ずかしいね。まあ、ソウマだから良いでしょう。
「そんな事は置いといて試験まではまだ日があるから泊まる宿を探しに行こう」
そうソウマへと告げて馬車を下りて道を進んでいく
「はあ。まあいいや。よく寝れたしな」
ソウマは少し駆け足でクウガに追いつき2人で今日泊まる宿を探す。
5分ほど歩き青猫亭という宿を見つけたので中に入る。
「いらっしゃい!泊まりかい?飯かい?」
元気の良い声で30歳くらいの女将さんだろう、その人から声をかけられる
「泊まりで2日お願いします」
「はいよ!2人部屋で良いかい?」
「はい、大丈夫です」
「それじゃあ、2日で4000キラだよ。飯をそっちで食うなら別料金だよ」
「どうぞ」
女将さんに銀貨を4枚を渡す
「はい、丁度だね。これが鍵だよ、部屋は二階の204ね。お湯が欲しかったら言っとくれ、桶一杯で銅貨40枚だよ。あたいはサリーユでここを旦那と経営してるんだ。よろしくね!」
「俺はクウガです。よろしくお願いします」
「俺はソウマっす。よろしく」
「クウガにソウマだね。夕飯は10時までだから好きな時に食堂にきな。うちの旦那の上手い飯食わしてやるよ」
「わかりました」
鍵を受け取り部屋へと向かう
中はベッドが2つに机が1つあるだけの部屋で後は置き時計があるくらいだ。それでもきちんと掃除がされていて、ベッドも見た感じではそこそこ良い物の様だ。
「取り敢えず夕飯を食べに行こうか」
カモフラージュの為にと背負っていたバッグをアイテムボックスへとしまいながらベッドで跳ねてるソウマに声をかける
「おっけー、飯は美味いらしいから楽しみだな!」
「そうだね」
部屋に鍵をかけ下にある食堂に向かう。食堂に行くとかなりの人数の人で席が埋まっていた。幸い2人用の席が1つ空いていたので良かったと思いながら座ると料理を運んだりしていた女の人達の1人が来た。
「何に致しますか?」
歳は俺達よりも年上という事くらいしか分からないが中々容姿は良いと思う黄緑色の髪をサイドポニーにしている女の店員さんだ
「えーっと、俺はこのオーク肉のステーキとサラダ、後はパンを3つ」
「俺も同じので~」
壁に掛けられたメニュー表を見て告げる
「かしこまりましたー、少々お待ちください」
そう言ってオーダーを厨房に伝えに行った。辺りを再度見てみるとやはり人が多い。この宿は見た目3階建てで部屋数は2人部屋10、1人部屋5、3人部屋5だった筈なのだが、明らかにそれ以上いる。恐らくだがそれだけサリーユさんの旦那さんが作る料理が美味しいのだろう
暫くした所で料理が運ばれてきた。オーク肉のステーキは良い感じに焼けており肉汁が溢れ出しておりとても良い匂いもする。さらにかけられたソースがまた美味しそうな香りを放っている。パンは硬い黒パンだと思っていたのだが柔らかい白パンだ。
早速料理を頂く。パンはふわふわでとても美味しくてステーキはソースがまた凄く合いとても美味しかった。サラダもシャキシャキとしていてとても良かった。パンをソウマと2人してさらに3個ずつ頼んでしまった。
その後はお金を支払い部屋に戻り、これからの予定を決めて眠くなるまで師匠から教えてもらった遊びの将棋やオセロといったボードゲームをやって就寝
試験までの2日は散策をした。武器屋や雑貨屋、露店などを巡った。武器屋では欲しいと思えるものはなかった。
まあ、今の装備は父さんとリンガがかなり気合を入れて作ってくれたもので父さんの腕前とリンガの付与のおかげでそこら辺の武器屋にある物よりかなり良いものだ。わざわざ別の物を買う必要はない。
そんな感じで2日をブラブラと過ごし、試験日がやってきた。
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