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2章
60:本戦 第1試合
しおりを挟む昨日は予選で1日を使い、10個あるブロックの本戦出場者が出揃った
昨日は本戦出場を決めた後はあらかじめ決めておいた集合場所でSクラスのみんなで集まり、部活や商科が出す出店や屋台を回って楽しんだ
そして、今日は全ブロックの1回戦と2回戦が行われる
本戦は昨日にも増して派手に行われている。会場の頭上には巨大な魔道具によって投影された舞台の映像。会場は様々な色のライトが展開されており、目がチカチカした
そんな中、俺は今対戦相手と共に舞台に立っている。これからブロック3の第1回戦、第1試合が始まるのだ。組み合わせは昨日行われた試合の順番で組まれている。つまり俺の相手は昨日の予選、第1試合の勝者ってことだ
「さあさあさあ、やって参りました!本戦!第1回戦!第1試合!舞台には8人の予選を勝ち上がった選手。早速紹介していきましょう!」
と選手の紹介を行なっていく実況。とにかくテンションが高い。声が大きい。いや、声が大きいのは声を拡散増幅させる魔道具の所為なのだが、地声がデカイから余計に声が大きい
流石に戦わない人のまで聞いても意味が無いので聞き流していると俺の相手の紹介が始まった
「続いてブロック3!先ずはこの方!3-A アイゼン クルストフー!」
「きゃー!クルストフ先輩ー!」
「すてきー!」
「頑張ってくださいー!」
おおう、かなりの黄色い声援が飛んでくる。この学園はとにかく人数が多い。興味がないので詳しい事は知らないが教育をして国全体の底上げを計るためなのだろうが他の冒険者学校なんかと比べてかなり多い
まあ、何が言いたいかというと、全然知らないのだ。いや、風紀委員会の一員として問題児と言われる人は多少覚えたのだが有名人やらなんやらは殆ど覚えてないのだ。というかまず興味がない。強いとかなら興味があるがそういうのは大抵容姿や家柄だ
そんな感じで言うなら目の前の人は容姿で有名な人だろう。少し暗い感じの金髪で前髪をかき揚げて黄色い声援が飛んできた方に手を振っている。中々様になっていて、嫌味ったらしくない。所謂イケメンだ。名字を持っていることから貴族だと分かるし、予選を突破してここに居るのだからそれなりにできるのだろう。しかも貴族だからとこちらを見下したような感じがない。これは期待できそうだ
「対するは~、今話題沸騰中の~1-S クウガー!」
ワァァァァァ!
うおっ!物凄い歓声だよ。昨日のがそんなにあれだったかな?
どうやら紹介と言っても名前だけのようだ
「そろそろ始めたいと思います。選手の皆さん、準備はいいですね?」
ここで武器を構える。俺は腰に下げた連接剣を繋げない状態で切っ先を地面に向け、少し腰を落として構えた
対するアイゼン先輩はロングソードと上半身を守れる程の大きさの盾、着ている鎧と合わせて騎士のようだ
「それでは!……始め!」
開始の合図と共に舞台を蹴り、瞬く間の間に距離を詰め、俺からアイゼン先輩へと斬りかかった
さあ、お手並み拝見
俺の右手に持った剣が斜め下からアイゼン先輩へと迫る。先輩は特に動揺したり、慌てたりすることなく、冷静に盾で対応してきた。声援に応えていた時とは表情が打って変わり冷たい表情だ
剣と盾が接触し、盾が弾かれる。驚愕した表情を一瞬浮かべた先輩だが、直ぐに冷静さを取り戻し体勢は崩さない。盾で滑らせて逸らすつもりだったようだが、剣と盾が当たる直前に俺が切っ先の角度を変えたのと見た目から想像つかない力強さの為に盾が弾かれた
直ぐに反撃で上方から斬撃が繰り出されたのに感心しながら左に持つ剣を横に倒し、剣がぶつかるのに合わせて傾けて逸らす。これで体勢を崩して攻撃を入れるつもりだったが、これを読んでいたのだろう。それ程思いっきり斬りつけてきてはいなかったので失敗
いいね。期待以上だよ。盾を持った魔物とかとは戦ったことあったけどここまでじゃなかった
と、そこで先輩がシールドバッシュ、盾の前面で相手に打撃を与える武技。を放ってきたのでその勢いを利用して、盾を蹴り一旦離れる
「流石だね。君のような強者と戦えて嬉しく思うよ」
それを見て先輩から声がかけられる
「それはどうも。俺も先輩が期待以上で嬉しいですよ」
ちょっと挑発
「ふふっ、私はそんなので怒るほど器は小さくないよ」
ありゃ、軽く流されてしまった
「実力差を感じられないほど馬鹿でもないしね。じゃあ、今度はこちらから行くよ」
そう言うと剣を前に突き出し詠唱を唱える
「炎よ、槍となりて敵を穿て!」
魔力によって炎の槍が5つ作られた
「フレイムランス!」
炎で出来た槍が一斉に俺の頭、胸、腹足に向かって迫る
それを視界に捉え、核を見つける。息を吐き、脱力する。剣身を魔力が覆う
そして、瞬く間に開いていた距離を食いつぶし、炎の槍が目の前に
剣の間合いへと入ってきた瞬間。斬線が2条走り、5つのフレイムランスが搔き消える
その間に先輩はさらなる詠唱を終えた
「炎がダメならこれならどうかな?」
「サンダーアロー」
今度のは炎ではなく雷で、5本の槍ではなく15本の矢だ
炎と雷では速度が段違いだ。先ほどのフレイムランスよりも早くに俺へと迫る。今度は少し着弾のタイミングがずらされている
だが、やることは変わらない
核の見極め、到達順を予測し最適な手順と動きのイメージを高速で思考し、行動へと移す
1番始めにきた足への矢を右の剣を振り上げ消す。続いて胸へと飛んでくる矢に対し左の剣にて突きを繰り出し、そこから右脇腹へと迫る矢への斬撃へと繋げる。頭に迫る矢を右の剣を上から振り下ろし、右肩へと飛んできた矢を切り裂く
今ので5本。そして、一瞬空いた間で一歩を踏み出し相手へと駆け出し始める
続けてまた5本の矢が飛来。今度のはタイミングがバラバラでも一直線になっていたので走りながら、魔力による剣身の伸長によって一振りにて消滅
そんな風にしてまた距離が詰まり残りの5本が飛んできた。右、左、右、右、左の順で剣を振りこれで全てを斬り伏せた
先輩は少し悔しそうだが動揺はない。淡々と俺を視界に収め、盾を前に構えを取る
先輩の護りは硬い。力で押し切れるし、速さで上回れるがそれでは意味がない。ここをアレを使おうか
お互いがお互いの間合いに入る。俺はそのタイミングでスキルを発動する
スキルの発動で先輩のみが動き、その顔に驚愕の表情を浮かべて盾が宙を泳ぐ。先輩には俺が攻撃し、その攻撃に合わせて盾で防御を行おうとしたところで俺の姿が霞み、本当の俺を見た筈だ
スキル【虚撃】は塔型ダンジョンを制覇したことで手に入れたスキル。相手に嘘の攻撃を見せるスキルだ
最後の抵抗とばかりに先輩が右に持つ剣で斬撃を放つ。それを左に持つ剣で弾き、交差
通り抜けざまに袈裟懸け
間を置いて先輩が消え、舞台の外へ
うん、なかなかいい相手だった
「ブロック3、決着~!勝者は風紀委員会所属のクウガ選手だ!去年決勝までいき、惜しくも負けてしまったものの、実力者であるアイゼン選手を下しての勝利だー!!」
決着に会場が湧く中、舞台を降りて先輩の元へ向かう。こちらに気づいた先輩が先に声をかけてくれた
「やはり強いな、お疲れ様」
「先輩もお疲れ様です」
「ああ、ありがとう。流石にバル先生を倒しただけはあるな。私では歯が立たなかったね」
苦笑しながら話すアイゼン先輩
「そんなことないですよ。中々の盾の扱いでした」
「そうか、君ほどの人に言ってもらえるとは有難いことだ。機会があればまた相手をしてくれ」
「ええ、是非」
「では試合、頑張ってくれ」
そう言葉を交わし、次の第2試合が始まるまでは控え室にて待機なので控え室へと向かった
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