63 / 122
2章
62:本戦 第3試合
しおりを挟む代表決定戦3日目。本日からは準決勝となり、数が減ったことから、第1演習場で2ブロックずつ行われる
昨日の内に観戦組のフレッド達に聞いたところ、俺以外の1-S ではソウマ、ダリアさん、イヴが参加しているが全員勝ち残っているそう。ソウマとは部屋で話すのだが、ソウマの方では特に楽しめなかった模様。まあ、手加減すんの面倒とか言って終わらせてるからなのだが
因みに、ダリアさんとは今ではみんな打ち解けて仲良くなっている。切っ掛けは俺が師匠の弟子でソウマが息子と知ったあたり。ダリアさんは師匠に助けられ、その助けて貰った師匠に憧れて修行し力をつけたそう。そんな訳で、そこからダリアさんが相馬に話しかけ、仲良くなり、素っ気ない感じだったのは恥ずかしかったからだと皆んなが知って打ち解けたと言った具合だ。一応言っておくと、ソウマが狙っておりまする
あと、ナナ先輩などの風紀委員会のメンバーやレイガルド殿下などの生徒会のメンバーも勝ち残っている
そして、1ヶ月もの間、模擬戦をひたすら繰り返したガルガロッソ先輩も勝ち上がってきている
ついでに問題児と呼ばれる方々も力はあるので勝ち上がっていらっしゃる。問題児の方々とは少なからず関わってガルガロッソ先輩のように、全員が全員悪い人ではないと分かったのだが、悪い人はとことん悪い。俺と同じブロックに1人勝ち残っているので決勝にきたならばボコボコにする予定である
現状はそんな感じで、準決勝ともなると登場演出に拘りたいらしく、通路で合図があるまで待機していて欲しいと言われ只今待機中です。会場がここ第1演習場だけになったことと、出場して敗れた選手などが増えて人が途轍もない数となっている
そうして考え事をしながら待っていると合図が出たので通路を進み観客の前へと出た
と同時に両脇から魔道具による演出とスポットライトによって照らされる
会場自体は暗くなっており、舞台と今入場してきた俺を照らす光が光源となっている
「まず現れたのは~、1年生にしてここまで勝ち進んできた、腰にまで届く銀髪を靡かせ、3本の角が特徴のあの人!クウガ選手だー!その強さは未だ底知れず、今回はどんな戦いを見せてくれるのか!」
そんな実況を聞きながらも舞台上に向けて進む
実況が言い終わり、俺が舞台に上がって止まると同時に俺の出てきた場所とは反対側の通路から俺が出てきた時と同じ演出がなされ、人が現れる
身長は俺と同じぐらいだが、俺よりもがっしりとして筋肉が制服を盛り上げている。そして、何よりも目立つのが、その人を照らすスポットライトによって光り輝く禿頭と、そんな禿頭から生える2本のスッとした角。耳は人のものとは若干違い垂れたような感じ。そして、揺れる尻尾
あの特徴から恐らくだが獣人の牛系統だと思われる。なぜ禿頭なのかは知らない。装備は頑丈そうなブーツとガントレットのみ。ということは近接格闘タイプか
「続いて現れたのは!誰がつけたか、照り玉ビーフンの異名を持つ3年生!禿頭のマッスル牛人!アンタレス選手だー!」
実況に合わせてポージングを取るアンタレス先輩。なんかかなり酷い言われようだったが本人は気にしていないようなので良いのだろうか。てか、照り玉ビーフンて。確かに照り光る玉ではあるけども
そんな風に少し呆けていると、先輩が舞台の上に上がり、俺の目の前にて止まる。後方ではまた演出が始まり、ブロック4の選手が登場し、実況が紹介を入れる
そんな中で目の前にまで先輩が移動してきて
「いい戦いをしようじゃないか!」
という言葉と共に右手を出されたので
「ええ、心踊る戦いに」
と返し、握手をする
握手を終えれば開始線のところまで戻る先輩
先輩からは戦いに対する情熱と、確かな実力が感じられた。これは俺も拳での勝負にするしか無いな
そう決めて、早速腰に下げていた4本の剣と胸当てと籠手を収納し、籠手の代わりにガントレットを取り出して装着する
その様子に一瞬目を見開いた先輩だったがすぐに顔に気色を浮かべる
そうこうしている内にブロック4の選手も入場し終わったようだ
「それでは!選手が揃いましたので始めたいと思います!」
会場の熱気が増していく
それに反して俺の耳には集中によって歓声が遠くなっていく。これから始まる闘争に、拳での殴り合いに、血が湧き、本能が暴れ、魂が震える。目の前の良敵と早く戦いたい
「ブロック3、4の準決勝第1試合……始め!」
戦いの火蓋が切って落とされた
猛り狂う内心とは裏腹に戦いのスタートで両者が走り出すことはなかった。まるで予め示し合わせたかのように歩き出した
ゆつくりと、されど、力強く
そして、両者の間に広がっていた距離は縮まり、お互いの拳の届く距離にて止まる
視線が交差し、訪れる一瞬の間
そんな様子に会場の多くのものが気づき、息を飲む
お互いが右拳を握り締め、それは同時に放たれた
放たれた拳は正面からぶつかり合い、途轍もない衝撃波と音を立てた
殴り合いが始まった
拳打の応酬。殴り殴られ、肉と肉がぶつかり合う音が響く。拳を受けた顔面、打ち合った拳、腹部へと叩き込んだ感触、両者が真正面から両足を地面につけ、殴り合う
血が体中を駆け巡り、本気の闘争に気分が高揚し、生物として刻まれた本能が猛る
顔には笑みが互いに浮かび、殴り合いが加速する
顔面をぶん殴った。お返しとばかりに顔面を殴り飛ばされる。直ぐに体勢を整え、一瞬のうちに6連続の拳を叩き込む。相手はその連打を耐え、今度はこちらの番だと8連打。ガードはしない。全てを受け、耐える
互いに笑顔。純粋な力のぶつけ合いに更に気分が上がり、雄叫びが漏れる
「おぉぉぉぉぉらぁ!」
そんな雄叫びと共に再度顔面への殴打
そして、向こうからも発せられる楽しいという感情が伝わってくる雄叫び
「おぉぉぉぉぉおぉ!」
繰り出される反撃の拳。それに耐え、連続で繰り出されようとした左拳の攻撃に対して腕をクロスする様にして迎撃するカウンターを放ち、互いに互いの拳をくらう。カウンターによる影響でよりダメージをくらうも耐えてみせる相手
殴り合いによって感じる生きているという実感が、戦っているという感覚が、また感情を高揚させる
「「おぉぉぉぉぉぉ!」」
雄叫びが重なり、殴打が飛び交う
激しい頭突き、いや角突きで踏ん張った舞台にヒビが入る。一瞬の拮抗の後に軽く弾かれる両者。体勢を戻すのに連動して放たれた拳は始まりのように正面からぶつかり合う
殴り殴られ、殴り殴られと魔術などがなくてもド派手に見える戦いに観客が湧く、湧く、湧く
歓声が会場を揺らす
誰もがその圧倒的な肉弾戦をその目に捉える
片や制服を盛り上げるほどのムキムキの筋肉を持つ牛人の男
片や牛人の男程ではないにしろ、しっかりと筋肉のついた肉体を持つ龍人の男
そんな2人の戦いが会場のボルテージを熱気をテンションを上げていく
腹、腹、顔、肩、腹、顔へと連打を与え。腹、腹、腹、腹、顔へと連打を受けるも耐える
そんな風に繰り返される殴り合い。何時迄も続くかに思われた
しかし、ここにきて牛人の方に変化が現れた
拳がまともに鳩尾へと入り、空気が吐き出される。その瞬間に俺は舞台を会場を震わせる程の震脚による踏み込みを行いその発生した頸を足から腰、腰から腕、腕から拳へと運ぶ
腰溜めから捻るように相手へと向かって放たれた拳は相手の腹部へと直撃し、相手は吹き飛ばされ、そのまま会場の壁に衝突し、起き上がることはなかった結界のおかげで怪我は無いものの気絶しているようだ
俺は拳を頭上へと突き上げ勝利を示す
観客はそんな俺を目にし、俺とアンタレス先輩へと惜しみない拍手と喝采を贈った
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる