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2章
83:間違えてしまったようです
しおりを挟むペチペチペチペチ
「うぅ……」
「そういえば、ソウマ」
「なんだ?」
ペチペチペチペチペチ
「う~」
「王都に行く日付は決まった?」
「あー、それだったら俺達がここの攻略終わるまで待ってくれるってよ」
ペチペチペチペチペチペチ
「む、むぅ~」
「本当に?なら殲滅はやめて、攻略重視にしようか」
「そうしようぜ。ここら辺までくると何が貰えるか気になってワクワクしてくるんだよな」
ペチペチペチペチペチペチベチッ ゴンッ
「痛い!」
フレッドの頬を叩いていたソウマのビンタが次第に強くなっていき、終いにはその力で横の岩にフレッドの頭が激突した
ガバッと寝ていた地面から勢いよく跳び起きたフレッド
「お、起きたね」
「やっと起きたか。んじゃ飯食おうぜ」
「いやいやいや、痛かったんだけど! 少しは心配してくれても良くない~?」
後半ちょっと涙目になってたのでかまってやる
にしても打たれ弱いな
「いや~、あの程度なら大丈夫だと思ったんだよ」
「悪りぃ悪りぃ。中々起きねぇから面倒くなっちまってよ」
「それでももう少し優しく起こして欲しかったよ……まあ、いいや。それよりも、結局何にも出来なかったよ」
今度は肩をがっくりと落とし、落ち込み出した
うーん。そこら辺は気にしなくても良いんだけどな~
「今回のはしょうがないよ。普通の龍だったら、あのフレッドの腹部への攻撃は正しかったよ。タイミングもそこまで悪かった訳でも無かったしね」
フレッドが俺の言葉を聞いて顔を上げる
「だけど今回は相手が何処でも基本的に堅いゴーレムだった。それに関しては本当なら見抜けなきゃいけないんだけど、俺達にも分かんなかったからそこはもう気にしてもしょうがない。あんなの分かって確信が持てる方が凄いよ。鑑定とか持ってるんだったら違うかもしれないけどね」
「うん」
「それよりも大事なのは、フレッドが前に進んだことだよ。自分よりも強い敵と戦うなんて皆んな恐いし、やりたくなんて無いはずだ。それをフレッドは戦った。攻撃した。自分よりも上の存在を倒すなんてそう簡単に出来るもんじゃない。頑張って、考えて、出し切って、そこから更に限界を越えた先に格上への勝利が待ってるんだ」
「うん」
先程よりも声に元気がある
「フレッドはまだ1歩目を踏み出しただけ。そんなんで倒せるほど簡単な訳が無い。でも、此処では後2回機会がある。まだやれるだろ?」
「やってみせるよ!」
消えかけていた、火龍との戦いの前にあった決意の火が再び灯ったようだ
「それじゃあ、まずは腹拵えをしよう」
「そうだね」
「クウガ、早く早く」
ソウマが急かしてくるが構わずにアイテムボックスからお弁当を取り出す。出したのは3つの大きいバスケット
バスケットを入れていたアイテムボックスの中では時間を止めていたので中のパンはまだ温かい筈だ。因みにだがアイテムボックスは用途によって幾つかの仕切りがあって、時間停止や加速などとその区間によって違う効果があったりする
「おおー! 相変わらず良い匂い! 今日は何かな~」
ソウマがはしゃぎながらバスケットを開ける。今日のお弁当はパンに肉や野菜が挟んであるサンドイッチのようだ
パンは毎日、食堂で焼いているらしく香ばしい匂いがする。肉は焼かれていたり、揚げられていたり、ソースがついていたりと様々だが、とても美味しそうだ
「美味そー!んじゃ俺はこれ~」
「僕はこれかな」
「俺はこれにしよ」
それぞれが好きなものを選んで食べ始める
「いやー、やっぱりアンザさんの作るやつはどれも上手いな! 次これにしよ」
1つのサンドイッチを3口ほどで食べながらどんどん食べていくソウマ
「これが毎日食べられるのは幸せだよね~」
ほんわかした雰囲気を醸し出してゆっくり食べ進めるフレッド
ふっふっふ。フレッドよ、そんなゆっくりしてたら
「ん?」
バスケットを覗き込み疑問の声を上げるフレッド
「うそ……もうないんだけど。4個しか食べてないのに!」
バスケットを覗き込んでいた顔を俺とソウマに向けてそう言うフレッド
「いや~、そんなこと言われても早いもん勝ちだし。な、クウガ」
と、ソウマが同意を求めてきたので応じる
「そうだね。キープもしないでのんびり食べてるのが悪いよ。素早く、たくさん食べなきゃ」
「そんな~」
項垂れるフレッド。まあ、そんなフレッドは置いておいて
「さ、腹拵えも済んだし進むとしますか」
「おっしゃー! ぱぱっと35層いってボスと戦おうぜ! 次の相手はなんだろな」
「まあ、行けばわかるよ」
そうして、次の31層へ向かおうとしたのだが、ゴーレム火龍を倒した辺りに階段がない
「あれ? 階段は?」
「は?そこら辺に……ねぇな」
キョロキョロと周りを見渡すが、あるのはそこら中に転がる岩。ちょっと離れた所に上に行く階段。階段の反対側に聳える火山
うーん。怪しいのは火山だね
「取り敢えず火山に行ってみよう。多分だけどあっちに階段があると思う」
「おっけー。んじゃ行きますか」
「わかった」
そうして火山に向けて進み始めた矢先
ボコッボコッボコッボコッ
不意に音がして足を止める
すると地面が割れて、黒い岩の物体。黒い岩で出来た体にはマグマの線が入り、大きさは2mくらいだろうか一般の大人の男性くらい
そんなのが俺達の行く手を塞ぐようにして地面からどんどん出現してくる
ボスの部屋に魔物が現れた
これは様々な可能性が考えられるが、この広いフィールドと俺達が倒してしまった火龍という2つから
この30層では、いかに強大な力を持つ火龍の攻撃を凌ぎ、現れる数の多い魔物の群勢を退けて次の層に向かえるかというものだったようだ
どうやらダンジョンを作った神様の意図を完璧に無視してしまったようだ。なんか申し訳ない気持ちが溢れてくるね
まあ、終わってしまったことはしょうがない。とにかく、蹴散らして次のボスがいる層の35層を目指そう
「なんか、変な感じになっちゃったけど行こうか」
「そうだね」
「まあ、気にしてもしょうがねぇしな。ふんっ」
ソウマの振るった槍が前方から迫ってきた黒い岩のゴーレムを砕き飛ばす
「よっわ」
「そりゃ本来は足止めだけの奴なんだろうからそんなに強くても駄目なんでしょ」
「そんなもんかー?」
「そんなもんだと思うよ」
答えながら剣を振るい数を減らしながら歩を進める
「にしても本当に弱いね。僕のこうげ」
ドガァーン!
「フレッド!?」
「今爆発したぞ!?」
フレッドの攻撃したゴーレムが突然爆発し、巻き上げられた砂塵でフレッドの姿が見えなくなる
ボフッ
「ぶふぁ! びっ、びっくりした~」
「無事か!?」
「な、なんとか。ははっ」
特に怪我をした様子はないが、地面の黒い砂が巻き上げられた事で汚れであちこち黒くなっている
「どうするよ。そんな威力なさそうだけどかなりウザそうだぞ」
確かに。ここは魔法で手っ取り早くやってしまうか
「分かった。じゃあ、魔法で片付けよう」
「2人でやるか?」
「うーん。1人で出来なくもないけどアレでもやる?」
「あー、アレな。良いんじゃねぇか? フレッドに見せてやろうぜ」
本当にソウマはこういうこと好きだな。ニヤニヤしてるのを見てそう思う。まあ、俺も好きなんだけど
「え? なに? なにやるの?」
「まあ、見てなって」
今からやるのは異なる術者の発動した魔術、又は魔法を融合させて放つ合体技、魔融合
そして、俺達が融合させるのは
「我が右手に宿すは熱く燃える炎の紋章」
ソウマが右拳を固めて胸に置き、言霊を唱えるのに合わせて右手の甲に燃え盛る炎の紋章が出現する。これはソウマの持つ【紋章術】によるものだ。これは一般に普及している魔術などと違う技術によって発動するものだ
そんなソウマに続いて俺は右手を突き出し、掌を前方に向ける。そして、発動するのは【魔法陣】。このスキルは魔法陣を展開することで魔術魔法の威力や効果を大幅に変えることが可能な代物だ。今回は威力を出来るだけ上げる。そうして掌の先に水色に輝く魔法陣が俺の魔力によって描かれていく、属性は氷。魔法陣は自らの思い描く効果によってその記述内容が変わる
隣に立つソウマの紋章の輝きと俺の魔法陣の輝きがこの層に広がる
魔融合は融合を行う同士で魔力量、魔力の波長、タイミング、これら3つが揃えれない事には始まらない。実際この3つを揃えることは一般的には至難の技と言われているが、俺とソウマにはもう当たり前に出来る技だ。既に息をするかのように行使することができる
魔力を高め、同じ強さにまで持っていく。魔力の放つ波長が次第に重なっていく。そして
「行くぞ!クウガ!」
「いつでもどうぞ!」
「今、紋章に宿りし力を解放し敵を殲滅する!」
ソウマが胸に置いていた右拳を前に突き出し、紋章術が発動する
俺もソウマの発動に合わせて魔法を発動する
2つが同時に発動され、魔融合が起きる
ソウマの金色の炎を俺の魔法の氷が覆った、曲線を描く弾となり、幾多も空中に現れ、飛んだ
氷に覆われた炎の弾は敵に次々と飛んでいき、当たれば氷が弾け敵を穴だらけにした上で金の炎が敵を焼く。後には何も残らない
そして、500体以上はいたであろう黒ゴーレムは瞬く間のうちにいなくなった
「はっはっは! お掃除完了! フレッド見てたか?」
「うん! 凄いね~」
おや?
「あ、あれ? 反応薄くないかい?」
「えー、だって今更魔融合やられても2人だからな~。で終わっちゃうよ」
「そ、そうすか」
しょげるソウマ
いや、慣れすぎだろう。最初の頃のフレッドが懐かしいよ
「早く行こうよ! 次のボスではしっかり活躍するんだから!」
どうやら今は格上との戦いの方が興味があるようです
「それじゃあ、35層に向けて出発!」
「「おー!」」
良い返事を受けながら進み、火山の麓に着いたのだが階段は見当たら無かったので頂上にあるのかと思ったので登っていけば、有りませんでした
暫く悩んだ末に、火山の頂上中心に大きな穴が。もう絶対ここだろうという結論に至り、飛び込んだ
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