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2章
96:王都へ
しおりを挟むカーテンの隙間から射す日の光で目が覚めた
「ふあぁぁぁ」
あくびが出た。まだ少し眠い
隣にラキアはいないからもう起きているようだ
ベッドから起き上がり、伸びをする
時計に目をやれば、時刻は8時前。いつもならとうに起きて鍛錬をしている時間だ
昨日ダンジョンを攻略し終え、寮に戻ってからは疲れを取るため風呂に入るなどしてリラックスした。その後、上がった能力と新たに獲得したスキルの確認や検証に夢中になってしまい、夜遅くまで起きていたのだ。いや、既に朝だったか?
まあ、そのせいで寝過ごしてしまった
一緒になって夢中になっていたソウマはまだ寝てる
今日は殿下やナキアさんなどと共に王都に向かうことになっている。馬車で行く予定だったそうだが、馬車では王都まで3日かかる。だが、俺たちにはライルやジアラという召喚獣がいる。ジアラ達なら王都まで3時間はあれば着く事だろう
集合は9時、場所は東門だ
あと1時間だからぱぱっと準備やら朝食やらを済ませないと
「ソウマー、起きてー」
寝間着から着替えつつソウマに声をかける
「ん?……あと、10分寝るわ~」
起きたと思ったら時計を見て2度寝に入りやがった
まあ、ソウマは言ったことはちゃんとやるやつだからほっとこう
先ずは洗面所で顔を洗って、歯を磨かないと
~~~~~~
「準備は完了しているか?」
窓は無く薄暗い部屋、蝋燭の火が部屋を微かに照らしている
部屋にいるのは2人の人物。片方は黒装束で顔は確認できない。その人物が上官と思われる男に言葉を返す
「全て滞りなく完了しております。指示を頂ければ直ぐにでも始められます」
「よし、では30分後に開始する。行け」
黒装束の人物が礼をし、退出する
1人残った上官の男は手元にある報告書を手に持ち、ひとりごちる
「準備は入念に行い、出来うる限りの対策は用意した。不安要素は……」
男は報告書を置き、机の上の2枚の紙に目をやった
そこに書かれていたのは2人の学生の名前と顔写真。それと、少しの情報
「情報が少なすぎる。この戦果に対して報告されたステータスは低すぎる。確実に偽装されたものだ」
男は顎に手をやり、更に独白を続ける
「他の魔王の方々が行った進行の失敗にも何度か絡んできている。それに、子供だと侮ることは出来ん。古竜を単騎で苦もなく倒せる程など、Sランク冒険者並みの実力があると見るべきだ」
男は独白をやめ、黙考する
「あいつも使うとしよう」
そう言うと男は立ち上がり部屋を出て行った
戦いの時は直ぐそこまで迫っていた
~~~~~~
「景色がとんでもない速さで流れて行くぞ……」
「そうですね……」
「速いっすね~」
空を駆けるライルに乗った殿下と護衛の2人の感想である
「今でもそれなりに抑えてますよ」
「やはりか」
「なんと」
「え? 何でなんすか?」
殿下は分かっていたようだが護衛の2人は理解できなかったようだ。いや、お堅い感じのダヘドルさんは少し考えて分かったみたい
だけどもう1人のルーフスさんはフランクでいい人なんだけど、少しお馬鹿というかそんな感じなので分らなかった模様
「速すぎるっていうのも問題になるんですよ」
「速けりゃ速いほど良いんじゃ無いのか?」
?を浮かべるルーフスさん。なんか騎士というよりも冒険者と言われた方がしっくりくるよな~、この人は
「速いというのはそれだけで脅威足り得るんだよ、ルーフス」
そうそう、殿下の言う通り
こちらを見て確認してくるルーフスさんに頷いておく
「今回のこの移動は王である父にしか連絡していない。理由は面倒だっただけなんだが、途中の街には連絡していない。そんな状況で、今は小鳥並の気配に偽装した上に魔法で見えていないライルさんといえど、鳥が飛んでも無い速さで通過すれば警戒するだろう? まあ、今も十分速いんだが」
ポンと手を合わせ納得の表情を見せるルーフスさん
「なるほど~、強い人とか警備兵だったりはそういった事には敏感っすもんね」
「そういうことだ」
殿下がそう言いながら満足気に頷けば、ダヘドルさんが
「お前はもう少し考えんか!」
ゴチンッ
「あいたっ!」
ダヘドルさんの中々に強烈な拳骨がルーフスさんの脳天に落とされた
「団長、痛いっすよー」
「お前は思慮が足らんのだ。殿下やクウガ殿、ソウマ殿のようにもっと色々と考えんか」
はあ、と溜息をこぼしながら言うダヘドルさん
「えー、でも俺はそういうの面倒だなって思ったから冒険者から殿下の護衛になったのに」
あ、やっぱり元々は冒険者だったのか
「分かっておる。しかしだ、お前は殿下の近衛騎士団の副団長なのだからもう少し自覚をだな」
「ダヘドル」
なんかダヘドルさんのルーフスさんへのお説教が始まるかと思われたが殿下がうまく滑り込み
「ルーフスはそれでいい」
ダヘドルさんはそれを聞き
「殿下がそう仰るのであればもう何も言いますまい」
またやってしまったといった感じの顔でお説教はやめたようだ
「そういえば、殿下は聞きましたか?」
話を切り替えるようにルーフスさんが殿下に話をふる
「何をだ?」
「新しいSSの……」
その後は王都に着くまで他愛もない話をして過ごした
「地上に降ります。ライル」
魔法で姿を見えなくしている上に気配を鳥並にする事によって魔物などの襲撃はなく王都が見えるところまできた。殿下達に下降する事を告げライルに指示を出す。ソウマやナキアさん達を乗せたメイルも続く
ここからは空ではなく街道を行く。空から行ってしまうと色々と無駄に警戒させてしまうのだ。前にそれで注意された
召喚獣は一見して魔物と見分ける事は一般人には非常に難しいのだ。それなら街道を行っても同じな気もしなくはないが、空からと地上からは全然違うし、何より街道をわざわざ通る魔物は少ないのだ
急に空から現れてびっくりさせないように人が居ないことを確認して街道に降りて、先に進む
5分程して、門が見えた。門の前では人の列と馬車の列が出来上がっていた
「もう連絡はしてあるから迎えが来ているはずだ。王侯貴族専用の入り口へ向かってくれ」
「分かりました。ライル、左側だ」
殿下に言われた通りに向かう
進んでいる途中で横の一般の列から視線が向けられる。不快感だったり興味だったりだ。不快感に関しては分からなくもないけど後ろにこの国の王子様がいらっしゃいますからね?
門の前に辿り着くと門から兵士が走り寄って来たので殿下達と共にライルから跳び下りる。ソウマ達も同じ様にメイルから降りたのでライルとメイルには帰還してもらった
「お久しぶりでございますレイガルド王子、ナキア王女。ダヘドル殿にルーフス殿もお務めご苦労様です。クウガ殿にソウマ殿もお久しぶりです」
鎧と兜で遠目からでは気づかなかったが、衛兵長のクアントさんだ。前空から来た時に注意してくれたのはこの人。とにかく良い人である。奥さんが居ないのが不思議なくらい
クアントさんとそれぞれ挨拶を交わし終えると
「迎えが既にあちらに来ております」
「ああ、ありがとう。仕事頑張ってくれ」
「はっ!」
クアントさんの指し示した方にはアルメキア王国王家の紋章が入った馬車が2台停められており、側には黒のスーツをビシッと着こなした白髪の男性。王家に仕える執事長のフランツさんだ。相変わらず手入れされた口髭がとても似合う人である
「久しぶりだね、フランツ」
「お久しぶりでございます、殿下。此方の馬車にお乗りください、王城へと向かいます。皆様もお乗りください」
「分かった。じゃあ、みんな行こうか」
殿下に続いて場所に乗り込んで王城に向かった
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