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子世代関連
合格祝い(礼奈話没ネタ)
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開けた窓から、花びらがひらりと入ってくる。
3月末の小春日和。先週まで硬かった蕾はすっかり解れ、淡い桃色の桜が生け垣の向こうに数本見える。
新年度を目前に控えた我が家では、賑やかな宴会が開かれていた。
「悠人くん、T大合格おめでとー! さっすがアヤさんの息子!」
「アキちゃん、まだ未成年だから……お酒、勧めちゃダメだよ……」
私が物心ついた頃には毎年恒例になっていた、両親の会社の同僚との花見だ。みんながもう少し若い頃は公園で開催したそれも、「寒さや日差しが身体に堪える」と誰が言い始めたのを契機にすっかり室内での酒盛りに代わっている。
すっかりご機嫌になったアキちゃんが、国内最難関と言われる国立大学に合格した長兄、悠人の肩をたたく。それをアキちゃんの夫、咲也さんがたしなめていた。
その会話を耳にして、紙コップをくわえたジョーさんが慌てる。
「げっ、やべ、そーじゃん、健ちゃんもまだ未成年じゃん」
「そーすよ、何飲ませてんスか」
「じゃ何で飲みなれてんだよ!」
あと一週間後には高校3年生になる次兄、健人と肩を組み笑い合う様子はまるで兄弟みたいだけど、ジョーさんももう40代も後半のはず。じゃれ合う2人を優しい目で見ているのは、ジョーさんの15歳年上の愛妻ヨーコさんだ。
私はひょいとその横に腰掛ける。
「相変わらず若いですね、ジョーさん」
「せやなぁ。肩組む相手がマーシーから健ちゃんになっただけやな」
ヨーコさんは笑いながら答えた。昔から変わらないベリーショートは綺麗な灰色になっているけれど、耳元に揺れる透度の高い碧いピアスとあいまってオシャレに見える。
おっとりした口調の関西弁は耳障りがよすぎて、なんとなくむずがゆい。
「健人お兄ちゃん、ジョーさんのこと好きだから喜んでる」
「ふふふ」
ヨーコさんも嬉しげに目を細めた。
「健ちゃん、まだ柔道続けとるん?」
「うん。全国大会とかも出てるみたいだけど、高校まででやめるって言ってた」
健人兄が柔道を始めたのは、ジョーさんの影響だ。「大切な人を守れる強い男になれ!」と冗談半分けしかけていたら本気にしてしまったらしい。
「つよいおとこになる!」と拳を握ってジョーさんを見上げる健人兄が可愛かったと口にした後、ヨーコさんは華奢な肩をすくめた。
「でも、柔道着洗うの大変てアーヤたちから聞く度、申し訳ない気になってたわ」
「ご安心を。今は自分で洗ってますよ」
ビール片手に前までやって来た健人兄がにやりと笑い、残りの一口を飲もうとしたところでひょいとコップを取り上げられる。
「そこまで。イキがって飲むんじゃない。ジョー、お前も注ぐな」
「へーい。すんませーん」
みんなにマーシーと呼ばれている父、政人だ。健人兄とジョーさんに半眼を向けると、ジョーさんは肩をすくめて間延びした返事をした。ヨーコさんが苦笑する。
「堪忍な。悪気はないねん」
「だから余計たちが悪い、でしょ」
ヨーコさんの謝罪の言葉に苦笑して、ジョーさんが愛妻の横に腰掛けた。
「どうでした、そのワイン」
「まあまあやな」
「俺にも一口」
コップを差し出そうとしたヨーコさんの肩を引き寄せ、ジョーさんが唇を重ねる。
思わず目を反らしたとき、俊敏な動きで悠人兄の目をふさぐアキちゃんの姿が見える。
「……ジョー」
「んー、ヨーコさんの香りと相まって美味い」
妻の呆れた視線を気にもせず、ジョーさんはご機嫌に笑う。父も呆れた顔でため息をついた。
そのとき、家のチャイムが鳴る。
「あ、アニキ来たかな」
アキちゃんが悠人兄を引っ張りながら玄関先へ向かう。一歩先に玄関へ向かった母、彩乃が笑ってドアを譲った。
「いらっしゃーい」
「お前の家じゃねぇだろ」
呆れた顔は目つきが悪いが悪い人ではない。両親の同期でもある阿久津さんだ。両手に繋いだ手の先を目で追って、私はにこりと笑いかける。
「瑞姫(みずき)ちゃん、美子(みこ)ちゃん、いらっしゃい」
小学生で4歳差の瑞姫ちゃんと美子ちゃんは、気恥ずかしそうに微笑み返した。
末っ子の私にとっては妹みたいな存在だ。
「ほら、恥ずかしがってないで入れ」
「やーん」
父の阿久津さんに押し出され、末の美子ちゃんが脚にへばりつく。
「なんだよ礼奈、怖がられてんじゃねーか」
「違うよ、別に私を怖がってるわけじゃないよ」
「そうかぁ?」
笑いながら出て来た健人兄が、二人の前にしゃがみ込む。
「久しぶり。おっきくなったなー」
二人の頭を優しく撫でると、それぞれの前へ手を出した。
「ほら、おいで。一緒にジュース飲もう」
瑞姫ちゃんと美子ちゃんは互いに目を合わせて、健人兄の手をおずおずと握ると、靴を脱いで上がってきた。
「やっぱりマーシーの息子やなぁ」
様子を眺めていたヨーコさんがおっとりと言う。
「俺はあそこまで酷くないですよ」
父が答えると、ジョーさんが笑った。
「そう思うのは自分だけでしょ。ね、アーヤ」
「んー、ノーコメント」
母がいたずらっぽく肩をすくめて、小さな客人に微笑みを向けた。
「さてお姫様方、お飲みものは何にいたします?」
娘二人の手を離した阿久津さんが椅子に座ると、父がすぐにコップとビールを掲げた。阿久津さんはそれを受けて一気に飲み干す。ぐびぐびと動く喉仏。
「阿久津さんが飲んでるの見ると、美味しそうに見える」
「お? 礼奈も飲むか?」
「こら。未成年に勧めんな」
「どーせお前らの娘なら飲めんだろ」
「体質的な話と年齢的な話をごっちゃにすんな」
父がぴしりと言うと、阿久津さんが肩をすくめる。
「悠人が大学生なら、礼奈も高校生?」
「うん」
「第一志望?」
「うん」
「そっか」
コップで飲むのが面倒なのか、阿久津さんは缶ビールを手に口に運んだ。
「優秀な兄がいると辛いな」
「え?」
「悠人の合格祝いばっかりで、忘れられんだろ」
私は思わずまばたきする。
目を反らしているからわかりにくいけど、これって阿久津さんの優しさ?
「アニキぃ、そういう分かりにくい優しさはやめましょうよぉー。アキちゃんキュンとしちゃうからぁ」
「要らねぇ! 絡むな! 咲也、お前の妻どうにかしろ!」
「どうにもなりません……」
背中からのしかかってくるアキちゃんに、阿久津さんが心底嫌そうな顔をする。2人の仲のよさは阿久津さんの妻、ヒメさんも苦笑するほどだ。
「ダメー!!」
半分泣きながら2人の間に割って入ったのは、阿久津家の末っ子、美子ちゃんだ。
「ダメー! パパにはママしかダメなのー!!!!」
「わわわわわ! ごめん! 美子ちゃんごめん! 冗談なの! 冗談なんだよー!」
「おいおい……子ども泣かせんなよ……」
父が呆れてから、私の方に微笑んだ。
「そんなつもりもなかったけど、そういえば合格祝い何も買ってないな。礼奈、何が欲しい?」
「あ、俺たちもカンパしますよ。悠くんのお祝いも」
「うちもー」
子どものいないジョーさんとアキちゃんがひょいと手を挙げた。それぞれの顔を見渡し、私は笑う。
「ううん、何も要らない」
「え?」
みんながまばたきした。
「今日みたいに集まれるのが一番嬉しいから」
「くっさ」
健人兄が笑うのを睨みつけると、ふわりと優しい香りに抱きしめられた。ヨーコさんだ。
「可愛ぇなぁ。アーヤもマーシーも、上手に子育てしてはるわ」
「そうっすねぇ。すげージェラシー」
「ジョーさんは帰ったら抱きしめ放題でしょ」
「なんや、健ちゃんもしてほしいんか?」
私を離したヨーコさんが、ためらいなく健人兄を抱きしめる。
「んー、やっぱり若いなぁ。筋肉の質が違うわぁ」
「いやっ、ちょ、ま、ジョーさんどうにかして!」
「あはははは。健ちゃんちょっと手合わせする?」
「お、俺、何もしてないですから!」
わたわたする健人兄の赤い顔を見ながら私は笑い、悠人兄と目が合った。
健人兄はあっという間に主役をかっさらっていく。顔立ちでなく気質が、兄妹の中で一番父と似ているのだ。
私と悠人兄は目だけで頷き合い、またはらりと窓から入ってきた桜へ視線を向けた。
来週から、新しい生活が始まる。
3月末の小春日和。先週まで硬かった蕾はすっかり解れ、淡い桃色の桜が生け垣の向こうに数本見える。
新年度を目前に控えた我が家では、賑やかな宴会が開かれていた。
「悠人くん、T大合格おめでとー! さっすがアヤさんの息子!」
「アキちゃん、まだ未成年だから……お酒、勧めちゃダメだよ……」
私が物心ついた頃には毎年恒例になっていた、両親の会社の同僚との花見だ。みんながもう少し若い頃は公園で開催したそれも、「寒さや日差しが身体に堪える」と誰が言い始めたのを契機にすっかり室内での酒盛りに代わっている。
すっかりご機嫌になったアキちゃんが、国内最難関と言われる国立大学に合格した長兄、悠人の肩をたたく。それをアキちゃんの夫、咲也さんがたしなめていた。
その会話を耳にして、紙コップをくわえたジョーさんが慌てる。
「げっ、やべ、そーじゃん、健ちゃんもまだ未成年じゃん」
「そーすよ、何飲ませてんスか」
「じゃ何で飲みなれてんだよ!」
あと一週間後には高校3年生になる次兄、健人と肩を組み笑い合う様子はまるで兄弟みたいだけど、ジョーさんももう40代も後半のはず。じゃれ合う2人を優しい目で見ているのは、ジョーさんの15歳年上の愛妻ヨーコさんだ。
私はひょいとその横に腰掛ける。
「相変わらず若いですね、ジョーさん」
「せやなぁ。肩組む相手がマーシーから健ちゃんになっただけやな」
ヨーコさんは笑いながら答えた。昔から変わらないベリーショートは綺麗な灰色になっているけれど、耳元に揺れる透度の高い碧いピアスとあいまってオシャレに見える。
おっとりした口調の関西弁は耳障りがよすぎて、なんとなくむずがゆい。
「健人お兄ちゃん、ジョーさんのこと好きだから喜んでる」
「ふふふ」
ヨーコさんも嬉しげに目を細めた。
「健ちゃん、まだ柔道続けとるん?」
「うん。全国大会とかも出てるみたいだけど、高校まででやめるって言ってた」
健人兄が柔道を始めたのは、ジョーさんの影響だ。「大切な人を守れる強い男になれ!」と冗談半分けしかけていたら本気にしてしまったらしい。
「つよいおとこになる!」と拳を握ってジョーさんを見上げる健人兄が可愛かったと口にした後、ヨーコさんは華奢な肩をすくめた。
「でも、柔道着洗うの大変てアーヤたちから聞く度、申し訳ない気になってたわ」
「ご安心を。今は自分で洗ってますよ」
ビール片手に前までやって来た健人兄がにやりと笑い、残りの一口を飲もうとしたところでひょいとコップを取り上げられる。
「そこまで。イキがって飲むんじゃない。ジョー、お前も注ぐな」
「へーい。すんませーん」
みんなにマーシーと呼ばれている父、政人だ。健人兄とジョーさんに半眼を向けると、ジョーさんは肩をすくめて間延びした返事をした。ヨーコさんが苦笑する。
「堪忍な。悪気はないねん」
「だから余計たちが悪い、でしょ」
ヨーコさんの謝罪の言葉に苦笑して、ジョーさんが愛妻の横に腰掛けた。
「どうでした、そのワイン」
「まあまあやな」
「俺にも一口」
コップを差し出そうとしたヨーコさんの肩を引き寄せ、ジョーさんが唇を重ねる。
思わず目を反らしたとき、俊敏な動きで悠人兄の目をふさぐアキちゃんの姿が見える。
「……ジョー」
「んー、ヨーコさんの香りと相まって美味い」
妻の呆れた視線を気にもせず、ジョーさんはご機嫌に笑う。父も呆れた顔でため息をついた。
そのとき、家のチャイムが鳴る。
「あ、アニキ来たかな」
アキちゃんが悠人兄を引っ張りながら玄関先へ向かう。一歩先に玄関へ向かった母、彩乃が笑ってドアを譲った。
「いらっしゃーい」
「お前の家じゃねぇだろ」
呆れた顔は目つきが悪いが悪い人ではない。両親の同期でもある阿久津さんだ。両手に繋いだ手の先を目で追って、私はにこりと笑いかける。
「瑞姫(みずき)ちゃん、美子(みこ)ちゃん、いらっしゃい」
小学生で4歳差の瑞姫ちゃんと美子ちゃんは、気恥ずかしそうに微笑み返した。
末っ子の私にとっては妹みたいな存在だ。
「ほら、恥ずかしがってないで入れ」
「やーん」
父の阿久津さんに押し出され、末の美子ちゃんが脚にへばりつく。
「なんだよ礼奈、怖がられてんじゃねーか」
「違うよ、別に私を怖がってるわけじゃないよ」
「そうかぁ?」
笑いながら出て来た健人兄が、二人の前にしゃがみ込む。
「久しぶり。おっきくなったなー」
二人の頭を優しく撫でると、それぞれの前へ手を出した。
「ほら、おいで。一緒にジュース飲もう」
瑞姫ちゃんと美子ちゃんは互いに目を合わせて、健人兄の手をおずおずと握ると、靴を脱いで上がってきた。
「やっぱりマーシーの息子やなぁ」
様子を眺めていたヨーコさんがおっとりと言う。
「俺はあそこまで酷くないですよ」
父が答えると、ジョーさんが笑った。
「そう思うのは自分だけでしょ。ね、アーヤ」
「んー、ノーコメント」
母がいたずらっぽく肩をすくめて、小さな客人に微笑みを向けた。
「さてお姫様方、お飲みものは何にいたします?」
娘二人の手を離した阿久津さんが椅子に座ると、父がすぐにコップとビールを掲げた。阿久津さんはそれを受けて一気に飲み干す。ぐびぐびと動く喉仏。
「阿久津さんが飲んでるの見ると、美味しそうに見える」
「お? 礼奈も飲むか?」
「こら。未成年に勧めんな」
「どーせお前らの娘なら飲めんだろ」
「体質的な話と年齢的な話をごっちゃにすんな」
父がぴしりと言うと、阿久津さんが肩をすくめる。
「悠人が大学生なら、礼奈も高校生?」
「うん」
「第一志望?」
「うん」
「そっか」
コップで飲むのが面倒なのか、阿久津さんは缶ビールを手に口に運んだ。
「優秀な兄がいると辛いな」
「え?」
「悠人の合格祝いばっかりで、忘れられんだろ」
私は思わずまばたきする。
目を反らしているからわかりにくいけど、これって阿久津さんの優しさ?
「アニキぃ、そういう分かりにくい優しさはやめましょうよぉー。アキちゃんキュンとしちゃうからぁ」
「要らねぇ! 絡むな! 咲也、お前の妻どうにかしろ!」
「どうにもなりません……」
背中からのしかかってくるアキちゃんに、阿久津さんが心底嫌そうな顔をする。2人の仲のよさは阿久津さんの妻、ヒメさんも苦笑するほどだ。
「ダメー!!」
半分泣きながら2人の間に割って入ったのは、阿久津家の末っ子、美子ちゃんだ。
「ダメー! パパにはママしかダメなのー!!!!」
「わわわわわ! ごめん! 美子ちゃんごめん! 冗談なの! 冗談なんだよー!」
「おいおい……子ども泣かせんなよ……」
父が呆れてから、私の方に微笑んだ。
「そんなつもりもなかったけど、そういえば合格祝い何も買ってないな。礼奈、何が欲しい?」
「あ、俺たちもカンパしますよ。悠くんのお祝いも」
「うちもー」
子どものいないジョーさんとアキちゃんがひょいと手を挙げた。それぞれの顔を見渡し、私は笑う。
「ううん、何も要らない」
「え?」
みんながまばたきした。
「今日みたいに集まれるのが一番嬉しいから」
「くっさ」
健人兄が笑うのを睨みつけると、ふわりと優しい香りに抱きしめられた。ヨーコさんだ。
「可愛ぇなぁ。アーヤもマーシーも、上手に子育てしてはるわ」
「そうっすねぇ。すげージェラシー」
「ジョーさんは帰ったら抱きしめ放題でしょ」
「なんや、健ちゃんもしてほしいんか?」
私を離したヨーコさんが、ためらいなく健人兄を抱きしめる。
「んー、やっぱり若いなぁ。筋肉の質が違うわぁ」
「いやっ、ちょ、ま、ジョーさんどうにかして!」
「あはははは。健ちゃんちょっと手合わせする?」
「お、俺、何もしてないですから!」
わたわたする健人兄の赤い顔を見ながら私は笑い、悠人兄と目が合った。
健人兄はあっという間に主役をかっさらっていく。顔立ちでなく気質が、兄妹の中で一番父と似ているのだ。
私と悠人兄は目だけで頷き合い、またはらりと窓から入ってきた桜へ視線を向けた。
来週から、新しい生活が始まる。
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