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第十二章 彦星は夜の訪れが怖い(阿久津視点)
07 女の魅力
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人込みの中花火を見て、去っていく集団を見送ってしばらくそのまま川べりに座っていると、ヒメが俺の肩に頬を預けてきた。
俺は黙って腕を伸ばし、その肩を抱く。
ふふ、と嬉しそうに身じろぎをしたヒメは、俺の膝に手を置いた。
花火を見ている間は、子どものようにはしゃいだ声で花火を指差していたヒメだったが、今は少し大人びた表情で俺に微笑みかけている。
まだ一年しか経っていないのに、出会った頃よりも大人になっているように見えた。
ヒメは俺の胸に頭を寄せ、目を閉じている。
襟足から覗くうなじにくちづけたい衝動に、俺は目をそらした。
人込みが一通り落ち着くと、俺はヒメの肩を軽く叩く。
「そろそろ行くか」
「はい」
ヒメは微笑んで立ち上がった。俺は急遽買ったレジャーシートを畳む。
俺の腕に腕を絡めて、ヒメは鼻歌を歌った。ときどき調子が外れるが、彼女が心底幸せそうにしているのでついつい笑ってしまう。すると、ヒメは少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「音痴だなって思ってる?」
「まあ上手いとは思ってない」
「むー」
ヒメは唇を尖らせた。
「許容範囲だろ、ぎりぎり」
「ぎりぎり、ですか。むむー」
さすがに一度行ったからか、ホテルまではヒメが案内してくれた。最高級、とは行かないまでも、そこそこのホテルだ。支払いは俺がしよう、と見た瞬間心に決める。
チェックインを済ませると、ドアマンが荷物を運んで来てくれた。いつか見たキャリーバッグだ。
「部屋までお持ちします」
言われて、ヒメと二人で後に続く。
高層階に案内されて、部屋に入ると、ヒメが歓声を挙げた。
確かに夜景がよく見える。
「花火やってたら、あの辺に見えたんですかね」
ヒメが指差すのを見て、俺は笑った。
「ほんと方向音痴だな。多分あっちだよ」
「えー、そうですか?」
ヒメが不服げに頬を膨らませる。
その頬に、つい指先を添えた。
ヒメがはっとして振り向く。
期待するような目。
重なる視線。
ヒメのまぶたがゆっくりと閉じ、うっすらと唇が開かれる。
それを見届けるより先に、俺も目を閉じ、唇を重ねた。
軽く重なるだけで離れた唇が、小さな音をたてて離れる。
ヒメが目を開けて恨めしげに俺を見た。
「何だよ」
「だ、だって……」
ヒメは目をおよがせ、俯く。
先ほどくちづけられなかったうなじに指を走らせると、ぴくりと震えた。
指先を、首筋から鎖骨へ。
期待するようにヒメは目を潤ませる。
俺はにやりとして、もう片方の手を八ツ口から胸元へ這わせた。
「きゃ」
思わぬところから触れられ、ヒメが驚く。
俺は声をあげて笑うと、またキスをした。
「風呂、入って来いよ。続きはその後」
ヒメは真っ赤になったまま、目を俯かせて頷いた。
ヒメが風呂に入っている間、俺はソファに腰掛け、テレビでも見ようとチャンネルを回していた。
が、どれもこれも面白そうに感じず、嘆息してテレビを切る。
するととたんに、ヒメが入っている風呂場の水音が、生々しく耳に届いた。
ふと、いたずら心がわく。
もし、俺が入って行ったら、嫌がるだろうか。
嫌がるならそれもそれで反応を見てみたくなって、俺は腰を上げた。
浴衣とは違い、甚平を脱ぐには、さして時間はかからない。
こんこん、とドアをノックすると、ヒメがはい、と声を返してきた。
シャワーの音が少しだけ弱まる。
「俺も入るぞ」
「えっ?」
驚く声を聞きながら、ドアを開けて中に入る。
椅子に座って泡を頭に乗せたヒメが、目を細めながら振り向いていた。
俺は笑って、シャワーを手にする。
「ほら、さっさと洗え。目に入ったら痛いぞ」
「え、う、あ、はい」
ヒメは言って、かしゃかしゃと頭を洗い始める。
その度に豊かな胸が揺れた。
まるで俺に触れてくれとでも言うように感じて、つい手を伸ばす。
シャンプーのぬめりで、胸元をつるりと撫でると、ヒメがびくりと身体を跳ねさせた。
「ちょ、みつ、ひこさ」
「ちゃんと洗え」
「ふぇ」
ぬるぬると胸をまさぐると、ぴくりぴくりとヒメが震える。我慢できないとでも言うように、シャワーを持つ手を横に反らされ、濡れた顔のまま俺を細目で振り返った。
「いいです! もう、いいですから! 洗いました!」
「ほんとか?」
「ほんとですっ、ほら!」
言って俺の手を髪に触れさせる。確かにもうぬめりはないらしい。少し残念な気分になりつつシャワーヘッドを湯舟につっこみ、俺は後ろからヒメを抱きしめる。
濡れた肌が気持ち良かった。
「あったかい」
「そ、そうですね」
ヒメが困惑した顔をしている。ろくに顔を拭っていないので、目に雫が垂れてきた。その雫を唇で吸ってやる。
ヒメが俺の目を見る。
その目が潤んでいるのは、湯が入ったからではないだろう。
上気した肌は、湯に当たったからというだけではないだろう。
そう確信できることが不思議と喜びをかきたて、下半身に熱が集まる。
「背中、洗ってやるよ」
俺は言って身体を離し、ヒメが反応しきれない間に石鹸を手に広げた。背中をゆっくりとさすってやると、困惑しながらもおとなしくされるがままになる。
「も、もう洗いましたけど……」
「シャンプーした後で身体洗った方がいいらしいぞ。シャンプーが身体に残ることがあるらしいから」
「え、そ、そうなんですか」
どこかで聞きかじった気がすることを適当に言いながら、俺は背中をこすり、手を前へと伸ばす。
胸の先端に触れると、ヒメがくぐもった声を出した。
「だ、駄目ですって、お風呂は」
「何で?」
「ひ、響くし。風邪引くし」
俺は笑う。
「そうだな。じゃあ、最後まではしない」
「へっ?」
手を滑らせて内股を撫でる。石鹸がついて滑りのよくなった手は縦横無尽にヒメの柔肌を滑った。ヒメの吐息がだんだんと熱くなる。
「ま、待ってってばぁ」
「期待してたくせに」
耳元で囁くと、ヒメが眉をハの字にする。俺は喉の奥で笑い、シャワーをヒメの身体にかけながらぬめりを落としてやった。もう終わりかとほっとしたところで、シャワーを外してその肩へ口づける。
「……お前さ」
「な、何ですか」
「自分が一番、セックスアピールできるとこって何だと思ってる? やっぱ胸?」
ヒメは少し唇を尖らせた。
「そりゃ、それくらいしか……」
俺はふぅんと言いながら、その背筋に舌を這わせる。
「ひゃん」
あがる嬌声に口元が緩む。
「すげぇイイ背中してるぜ」
濡れた髪をかき避け、うなじに唇を押し付ける。
はふはふと息を吐くヒメの耳元に口を寄せた。
「ヒメ」
「何でしょぉ」
「今日、後ろからしていい?」
ヒメは数度まばたきをして、真っ赤なままこくりと頷いた。
俺は黙って腕を伸ばし、その肩を抱く。
ふふ、と嬉しそうに身じろぎをしたヒメは、俺の膝に手を置いた。
花火を見ている間は、子どものようにはしゃいだ声で花火を指差していたヒメだったが、今は少し大人びた表情で俺に微笑みかけている。
まだ一年しか経っていないのに、出会った頃よりも大人になっているように見えた。
ヒメは俺の胸に頭を寄せ、目を閉じている。
襟足から覗くうなじにくちづけたい衝動に、俺は目をそらした。
人込みが一通り落ち着くと、俺はヒメの肩を軽く叩く。
「そろそろ行くか」
「はい」
ヒメは微笑んで立ち上がった。俺は急遽買ったレジャーシートを畳む。
俺の腕に腕を絡めて、ヒメは鼻歌を歌った。ときどき調子が外れるが、彼女が心底幸せそうにしているのでついつい笑ってしまう。すると、ヒメは少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「音痴だなって思ってる?」
「まあ上手いとは思ってない」
「むー」
ヒメは唇を尖らせた。
「許容範囲だろ、ぎりぎり」
「ぎりぎり、ですか。むむー」
さすがに一度行ったからか、ホテルまではヒメが案内してくれた。最高級、とは行かないまでも、そこそこのホテルだ。支払いは俺がしよう、と見た瞬間心に決める。
チェックインを済ませると、ドアマンが荷物を運んで来てくれた。いつか見たキャリーバッグだ。
「部屋までお持ちします」
言われて、ヒメと二人で後に続く。
高層階に案内されて、部屋に入ると、ヒメが歓声を挙げた。
確かに夜景がよく見える。
「花火やってたら、あの辺に見えたんですかね」
ヒメが指差すのを見て、俺は笑った。
「ほんと方向音痴だな。多分あっちだよ」
「えー、そうですか?」
ヒメが不服げに頬を膨らませる。
その頬に、つい指先を添えた。
ヒメがはっとして振り向く。
期待するような目。
重なる視線。
ヒメのまぶたがゆっくりと閉じ、うっすらと唇が開かれる。
それを見届けるより先に、俺も目を閉じ、唇を重ねた。
軽く重なるだけで離れた唇が、小さな音をたてて離れる。
ヒメが目を開けて恨めしげに俺を見た。
「何だよ」
「だ、だって……」
ヒメは目をおよがせ、俯く。
先ほどくちづけられなかったうなじに指を走らせると、ぴくりと震えた。
指先を、首筋から鎖骨へ。
期待するようにヒメは目を潤ませる。
俺はにやりとして、もう片方の手を八ツ口から胸元へ這わせた。
「きゃ」
思わぬところから触れられ、ヒメが驚く。
俺は声をあげて笑うと、またキスをした。
「風呂、入って来いよ。続きはその後」
ヒメは真っ赤になったまま、目を俯かせて頷いた。
ヒメが風呂に入っている間、俺はソファに腰掛け、テレビでも見ようとチャンネルを回していた。
が、どれもこれも面白そうに感じず、嘆息してテレビを切る。
するととたんに、ヒメが入っている風呂場の水音が、生々しく耳に届いた。
ふと、いたずら心がわく。
もし、俺が入って行ったら、嫌がるだろうか。
嫌がるならそれもそれで反応を見てみたくなって、俺は腰を上げた。
浴衣とは違い、甚平を脱ぐには、さして時間はかからない。
こんこん、とドアをノックすると、ヒメがはい、と声を返してきた。
シャワーの音が少しだけ弱まる。
「俺も入るぞ」
「えっ?」
驚く声を聞きながら、ドアを開けて中に入る。
椅子に座って泡を頭に乗せたヒメが、目を細めながら振り向いていた。
俺は笑って、シャワーを手にする。
「ほら、さっさと洗え。目に入ったら痛いぞ」
「え、う、あ、はい」
ヒメは言って、かしゃかしゃと頭を洗い始める。
その度に豊かな胸が揺れた。
まるで俺に触れてくれとでも言うように感じて、つい手を伸ばす。
シャンプーのぬめりで、胸元をつるりと撫でると、ヒメがびくりと身体を跳ねさせた。
「ちょ、みつ、ひこさ」
「ちゃんと洗え」
「ふぇ」
ぬるぬると胸をまさぐると、ぴくりぴくりとヒメが震える。我慢できないとでも言うように、シャワーを持つ手を横に反らされ、濡れた顔のまま俺を細目で振り返った。
「いいです! もう、いいですから! 洗いました!」
「ほんとか?」
「ほんとですっ、ほら!」
言って俺の手を髪に触れさせる。確かにもうぬめりはないらしい。少し残念な気分になりつつシャワーヘッドを湯舟につっこみ、俺は後ろからヒメを抱きしめる。
濡れた肌が気持ち良かった。
「あったかい」
「そ、そうですね」
ヒメが困惑した顔をしている。ろくに顔を拭っていないので、目に雫が垂れてきた。その雫を唇で吸ってやる。
ヒメが俺の目を見る。
その目が潤んでいるのは、湯が入ったからではないだろう。
上気した肌は、湯に当たったからというだけではないだろう。
そう確信できることが不思議と喜びをかきたて、下半身に熱が集まる。
「背中、洗ってやるよ」
俺は言って身体を離し、ヒメが反応しきれない間に石鹸を手に広げた。背中をゆっくりとさすってやると、困惑しながらもおとなしくされるがままになる。
「も、もう洗いましたけど……」
「シャンプーした後で身体洗った方がいいらしいぞ。シャンプーが身体に残ることがあるらしいから」
「え、そ、そうなんですか」
どこかで聞きかじった気がすることを適当に言いながら、俺は背中をこすり、手を前へと伸ばす。
胸の先端に触れると、ヒメがくぐもった声を出した。
「だ、駄目ですって、お風呂は」
「何で?」
「ひ、響くし。風邪引くし」
俺は笑う。
「そうだな。じゃあ、最後まではしない」
「へっ?」
手を滑らせて内股を撫でる。石鹸がついて滑りのよくなった手は縦横無尽にヒメの柔肌を滑った。ヒメの吐息がだんだんと熱くなる。
「ま、待ってってばぁ」
「期待してたくせに」
耳元で囁くと、ヒメが眉をハの字にする。俺は喉の奥で笑い、シャワーをヒメの身体にかけながらぬめりを落としてやった。もう終わりかとほっとしたところで、シャワーを外してその肩へ口づける。
「……お前さ」
「な、何ですか」
「自分が一番、セックスアピールできるとこって何だと思ってる? やっぱ胸?」
ヒメは少し唇を尖らせた。
「そりゃ、それくらいしか……」
俺はふぅんと言いながら、その背筋に舌を這わせる。
「ひゃん」
あがる嬌声に口元が緩む。
「すげぇイイ背中してるぜ」
濡れた髪をかき避け、うなじに唇を押し付ける。
はふはふと息を吐くヒメの耳元に口を寄せた。
「ヒメ」
「何でしょぉ」
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