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第三章 天の川は暴れ川(ヒメ/阿久津交互)
01 暴走注意報
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衝撃、だった。
まさかーーまさか、私の彦星様が、男色家だったなんて。
いや、でも、だがしかし、さりながら、相手の男性もすごく素敵な人で、彦星様が心惹かれる理由も分からないでもない、かもしれない。
改札口横でいつも通り彼を目に捉えた瞬間、私が見た二人の親密そうなーーた、多分、キス、は、見ているこちらがドキドキした。
その後、こちらを向いたお相手の男性の勝ち誇ったような表情は、さらに私をドキドキさせるものでーー
下世話な話で恐縮だけれど、三つ巴になるならそれはそれでアリ!
ーーなんて、脳が高速で妄想を始めている間に、二人は親密そうに去って行ってしまった。
二人がいなくなったことに我に返った私は、ちょっと冷静になることにした。
いや、確かに彦星様は、とってもとっても、魅力的で理想的なオトナな男性なのだけれど、私にはどこまで彼を受け入れる準備ができているんだろう、なんて。
彼が男の人を好きだとしてーーええと、まあもし、あの人が恋人なんだったら、私は二人まとめて引き受けるくらいのーー
いや、違う違う。ちょっと待って。本音を言えば、アブノーマルながら心惹かれる関係だけれど、そこまで発想が飛んでしまうのはよろしくない。
一時は奥さんがいるかもなんて思った私だ。もうちょっと冷静にーーこのストーカーじみた振る舞いを続けるべきか否かも含めて、考えた方がよいのではないだろうか。
なんとなくぼんやりしながら仕事を終わらせ、自宅に帰ると、母が居間で撮り貯めたドラマを見ていた。
「この役者さん、かっこいいわよねぇ」
言うその画面には、阿久津さんのお相手と見えた彼によく似た俳優さんが映っている。アイザワ……何て言ったっけ。あんまり詳しくないから、覚えていないけど。
どうも彼が体調不良で伏せっているシーンらしい。
ベッドに横たわる彼の姿を見ていたら、ふとまた妄想が始まった。
風邪でベッドに伏せる彼。看病に来る阿久津さん。
「どうだ、調子は」
「いまいち」
彼は力無く微笑み、阿久津さんを見る。
「あんまり近寄らない方がいいよ。風邪が移ったら困るでしょう」(彼と話したことはないから、口調は妄想するしかない)
「伝染すと治るって言うだろう」
言いながら、阿久津さんはにやりと笑うと、彼のベッドの淵に腰掛ける。
「俺に伝染して治っちまえよ」
「で、でも。そしたら君が」
「お前を看病するより、看病される方が得だろ」
「またそんなことをーー」
言い合いながら、阿久津さんは上体を彼に近づけ、その唇と唇が重なってーー
「あああああ!」
脳内で始まる成人向けな展開に、私はドキドキする胸を押さえながらうずくまった。
「ど、どうしたの?」
突然のことに、テレビを見ていた母が驚く。
「な、何でもない」
母は怪訝そうに眉を寄せた。私はすっくと立ち上がり、真顔でテレビ画面を見る。
そこに写る俳優さんは、女優さんのお見舞いに喜んでいる。
「母上。リアルBL展開を目にしたとき、女子はどう反応すべきなのでしょう」
「はっ? リアル……何ですって?」
「いえ、何でもありません」
私はできるだけ難しい表情を浮かべ、「しからば御免」と自分の部屋へ向かった。
まさかーーまさか、私の彦星様が、男色家だったなんて。
いや、でも、だがしかし、さりながら、相手の男性もすごく素敵な人で、彦星様が心惹かれる理由も分からないでもない、かもしれない。
改札口横でいつも通り彼を目に捉えた瞬間、私が見た二人の親密そうなーーた、多分、キス、は、見ているこちらがドキドキした。
その後、こちらを向いたお相手の男性の勝ち誇ったような表情は、さらに私をドキドキさせるものでーー
下世話な話で恐縮だけれど、三つ巴になるならそれはそれでアリ!
ーーなんて、脳が高速で妄想を始めている間に、二人は親密そうに去って行ってしまった。
二人がいなくなったことに我に返った私は、ちょっと冷静になることにした。
いや、確かに彦星様は、とってもとっても、魅力的で理想的なオトナな男性なのだけれど、私にはどこまで彼を受け入れる準備ができているんだろう、なんて。
彼が男の人を好きだとしてーーええと、まあもし、あの人が恋人なんだったら、私は二人まとめて引き受けるくらいのーー
いや、違う違う。ちょっと待って。本音を言えば、アブノーマルながら心惹かれる関係だけれど、そこまで発想が飛んでしまうのはよろしくない。
一時は奥さんがいるかもなんて思った私だ。もうちょっと冷静にーーこのストーカーじみた振る舞いを続けるべきか否かも含めて、考えた方がよいのではないだろうか。
なんとなくぼんやりしながら仕事を終わらせ、自宅に帰ると、母が居間で撮り貯めたドラマを見ていた。
「この役者さん、かっこいいわよねぇ」
言うその画面には、阿久津さんのお相手と見えた彼によく似た俳優さんが映っている。アイザワ……何て言ったっけ。あんまり詳しくないから、覚えていないけど。
どうも彼が体調不良で伏せっているシーンらしい。
ベッドに横たわる彼の姿を見ていたら、ふとまた妄想が始まった。
風邪でベッドに伏せる彼。看病に来る阿久津さん。
「どうだ、調子は」
「いまいち」
彼は力無く微笑み、阿久津さんを見る。
「あんまり近寄らない方がいいよ。風邪が移ったら困るでしょう」(彼と話したことはないから、口調は妄想するしかない)
「伝染すと治るって言うだろう」
言いながら、阿久津さんはにやりと笑うと、彼のベッドの淵に腰掛ける。
「俺に伝染して治っちまえよ」
「で、でも。そしたら君が」
「お前を看病するより、看病される方が得だろ」
「またそんなことをーー」
言い合いながら、阿久津さんは上体を彼に近づけ、その唇と唇が重なってーー
「あああああ!」
脳内で始まる成人向けな展開に、私はドキドキする胸を押さえながらうずくまった。
「ど、どうしたの?」
突然のことに、テレビを見ていた母が驚く。
「な、何でもない」
母は怪訝そうに眉を寄せた。私はすっくと立ち上がり、真顔でテレビ画面を見る。
そこに写る俳優さんは、女優さんのお見舞いに喜んでいる。
「母上。リアルBL展開を目にしたとき、女子はどう反応すべきなのでしょう」
「はっ? リアル……何ですって?」
「いえ、何でもありません」
私はできるだけ難しい表情を浮かべ、「しからば御免」と自分の部屋へ向かった。
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