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第一章 ギャップ萌えって、いい方向へのギャップじゃなきゃ萌えないよね。
02 独身アラサーOL代表吉田里沙、よろしくお願いしまーす!
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はいどーもどーも、絶賛瞼が腫れ放題の吉田が通りますよー。
こうなりゃ開き直るしかないと、オシャレを気取って衝動買いしてみた最近流行りの丸眼鏡をかけて出社してみる。
もちろん伊達メよ。私、目は無駄にいいの。裸眼で一・五見えるのが自慢なのよ。小っさい自慢と言わないで。やっぱり目のいいお母さんは老眼が早いって言ってるから今から心配してるけどね。
眼鏡なしだと、普段は便利でも、こういうときはちょっと不便よね。
まあでもオフィスらしい格好を気にしなくても大丈夫。我が社はおもちゃとゲームを作る、夢ある会社。服装規定だってユルユルで、ジーパンとTシャツだって許されちゃう。おかげでオンオフ両方の服を買わずに済むから経済的でしょ。
でも営業さんはさすがにそうも行かなくて、社員ジャンパーかスーツを着てる。ジーパンにチェックの衿シャツを着てるのはたいがいSEさんたち。何で理工系の人ってああいう格好好きなのかしら。大学のときから疑問なんだけど。
まあ営業でもSEでもない私にはいずれも関係のない話。総合職として入り、今は家庭用ゲームの企画を担当している。と言っても、シナリオはシナリオライターがいるので、ターゲットの設定やどういう世界観にするか、ざっくりしたキャラクター設定などを考えるのだ。今日のプレゼンは新企画のためのもので、私を含めた三人が担当する予定だ。
っていうか、元々はおもちゃ部門で入社したのに、去年まさかのゲーム部門への異動だったの。元々別会社だったおもちゃメーカーと合併したから、社風も人事も基本的には別立てなのに、何故か大異動しちゃった私。またいつか向こうに帰れるのかなぁ。帰りたいなぁ。そんな想いを抱きつつも、健気にがんばり、彼氏に振られるワタクシでした。とほほ。
もう笑うしかないよねー、なんて思いながら、いつもと同じかそれ以上にハイテンションでおはようの挨拶を振り撒く。にこにこ笑う私にみんなも笑顔を返してくれるわ。挨拶って大事よね。
時々照れ臭そうに頬を染める男性社員もいるけど、私、顔立ちは悪くないって言われるの。女子大出身なことも手伝って、お嬢様的な?コンサバチブな雰囲気の?レディに見えるんだって。ありがとうよく言われる。でも外見だけでしょ。
ご覧のあなたにはお分かりだろう。内面はこんな女だということ。え?よく分からない?ええとね、今まで言われたのは、お前しゃべらなければいい女だよなとか、観賞用がちょうどいいとか、そんな感じ?って思い出して凹むわやめれー。
まあそんなガッカリ女子の吉田ですよ。吉田里沙、友達にはサリーって呼ばれてるの、よろしくね。どうしてサリーかって、もちろんどっかの民俗衣装が由来なわけじゃなくて、りさりさりさりさりーさーりーさりー、さりー、ね、分かった?
とりあえずコーヒーでも飲んで気合いを入れようとコーヒーメーカーの前に立ってみたけど、カフェオレのボタンが準備中。いやん。私コーヒーは苦くて飲めないのよぅ。
悔しいから隣に置いてあるオフィスおやつボックスからコーヒー風味のチョコレートをとりだして、百円をちゃりんと入れ込む。オフィスおやつはどれも一つ百円。ついつい財布に小銭をストックする癖がついちゃったわ。百円がないと不安になるの。ところでこういうのって、入れると賽銭箱気分で両手をぱんと叩きたくなるよね。ってこれも私だけ?手紙の投函とかもお手々ぽんぽんしちゃうの。
チョコを一つ口に投げ入れて、自分のデスクに向かいながら午後のプレゼン資料に想いを馳せる。
今回はアラサー女子向けの恋愛シュミレーションゲームの企画だ。想定対象、ひとり暮らしの独身女性、仕事に追われて日々の癒しを求めつつも、休みに外出する体力も気力もないので家で癒されたい。ってそれ私か。共感出来過ぎて哀しくなるわ。
まあね、独身アラサーお金あるからね。はまるとグッズとか着信ボイスも買っちゃうよね。任せろ。
企画書とプレゼン用のスライドを見ながらふと思い立った。こんなスパイスのない企画じゃなくて、もっとぶつかっていこう。今ならできる。アイキャンドゥイッ。
「佐々マネ、資料の差し替えっていつまでオッケーですかぁ?」
上司の佐々木マネージャー、通称佐々マネに問うと、黒ぶち眼鏡の上司はうーんと首をひねった。
「どうせ端末に表示するだけだし、午前中に上がればいいんじゃない」
今日は担当とマネージャーレベルのプレゼンだから、そんなにお堅いものじゃない。これをたたき台にして新たなものを作ることも多い。元々、たたき台作りなら任せろ!というざっくり気質の私にとっては、気軽にがつがつ作れるのでありがたい。
とはいえ、こんなに自由な企画なんてなかなかないのも知っている。ゲーム会社ではどちらかというと大手とはいえ、同じゲーム会社の請け負いをすることもある。今はスマホアプリも席巻してるから、家庭用ゲーム機もなかなか大変だ。
私は気合いを入れて、資料をほとんど作り直す勢いで作業を始めた。
こうなりゃ開き直るしかないと、オシャレを気取って衝動買いしてみた最近流行りの丸眼鏡をかけて出社してみる。
もちろん伊達メよ。私、目は無駄にいいの。裸眼で一・五見えるのが自慢なのよ。小っさい自慢と言わないで。やっぱり目のいいお母さんは老眼が早いって言ってるから今から心配してるけどね。
眼鏡なしだと、普段は便利でも、こういうときはちょっと不便よね。
まあでもオフィスらしい格好を気にしなくても大丈夫。我が社はおもちゃとゲームを作る、夢ある会社。服装規定だってユルユルで、ジーパンとTシャツだって許されちゃう。おかげでオンオフ両方の服を買わずに済むから経済的でしょ。
でも営業さんはさすがにそうも行かなくて、社員ジャンパーかスーツを着てる。ジーパンにチェックの衿シャツを着てるのはたいがいSEさんたち。何で理工系の人ってああいう格好好きなのかしら。大学のときから疑問なんだけど。
まあ営業でもSEでもない私にはいずれも関係のない話。総合職として入り、今は家庭用ゲームの企画を担当している。と言っても、シナリオはシナリオライターがいるので、ターゲットの設定やどういう世界観にするか、ざっくりしたキャラクター設定などを考えるのだ。今日のプレゼンは新企画のためのもので、私を含めた三人が担当する予定だ。
っていうか、元々はおもちゃ部門で入社したのに、去年まさかのゲーム部門への異動だったの。元々別会社だったおもちゃメーカーと合併したから、社風も人事も基本的には別立てなのに、何故か大異動しちゃった私。またいつか向こうに帰れるのかなぁ。帰りたいなぁ。そんな想いを抱きつつも、健気にがんばり、彼氏に振られるワタクシでした。とほほ。
もう笑うしかないよねー、なんて思いながら、いつもと同じかそれ以上にハイテンションでおはようの挨拶を振り撒く。にこにこ笑う私にみんなも笑顔を返してくれるわ。挨拶って大事よね。
時々照れ臭そうに頬を染める男性社員もいるけど、私、顔立ちは悪くないって言われるの。女子大出身なことも手伝って、お嬢様的な?コンサバチブな雰囲気の?レディに見えるんだって。ありがとうよく言われる。でも外見だけでしょ。
ご覧のあなたにはお分かりだろう。内面はこんな女だということ。え?よく分からない?ええとね、今まで言われたのは、お前しゃべらなければいい女だよなとか、観賞用がちょうどいいとか、そんな感じ?って思い出して凹むわやめれー。
まあそんなガッカリ女子の吉田ですよ。吉田里沙、友達にはサリーって呼ばれてるの、よろしくね。どうしてサリーかって、もちろんどっかの民俗衣装が由来なわけじゃなくて、りさりさりさりさりーさーりーさりー、さりー、ね、分かった?
とりあえずコーヒーでも飲んで気合いを入れようとコーヒーメーカーの前に立ってみたけど、カフェオレのボタンが準備中。いやん。私コーヒーは苦くて飲めないのよぅ。
悔しいから隣に置いてあるオフィスおやつボックスからコーヒー風味のチョコレートをとりだして、百円をちゃりんと入れ込む。オフィスおやつはどれも一つ百円。ついつい財布に小銭をストックする癖がついちゃったわ。百円がないと不安になるの。ところでこういうのって、入れると賽銭箱気分で両手をぱんと叩きたくなるよね。ってこれも私だけ?手紙の投函とかもお手々ぽんぽんしちゃうの。
チョコを一つ口に投げ入れて、自分のデスクに向かいながら午後のプレゼン資料に想いを馳せる。
今回はアラサー女子向けの恋愛シュミレーションゲームの企画だ。想定対象、ひとり暮らしの独身女性、仕事に追われて日々の癒しを求めつつも、休みに外出する体力も気力もないので家で癒されたい。ってそれ私か。共感出来過ぎて哀しくなるわ。
まあね、独身アラサーお金あるからね。はまるとグッズとか着信ボイスも買っちゃうよね。任せろ。
企画書とプレゼン用のスライドを見ながらふと思い立った。こんなスパイスのない企画じゃなくて、もっとぶつかっていこう。今ならできる。アイキャンドゥイッ。
「佐々マネ、資料の差し替えっていつまでオッケーですかぁ?」
上司の佐々木マネージャー、通称佐々マネに問うと、黒ぶち眼鏡の上司はうーんと首をひねった。
「どうせ端末に表示するだけだし、午前中に上がればいいんじゃない」
今日は担当とマネージャーレベルのプレゼンだから、そんなにお堅いものじゃない。これをたたき台にして新たなものを作ることも多い。元々、たたき台作りなら任せろ!というざっくり気質の私にとっては、気軽にがつがつ作れるのでありがたい。
とはいえ、こんなに自由な企画なんてなかなかないのも知っている。ゲーム会社ではどちらかというと大手とはいえ、同じゲーム会社の請け負いをすることもある。今はスマホアプリも席巻してるから、家庭用ゲーム機もなかなか大変だ。
私は気合いを入れて、資料をほとんど作り直す勢いで作業を始めた。
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